セントルシア

セントルシア
Saint Lucia (セイント・ルーシャ)
(英語)

Flag_of_Saint_Lucia.png

中米のセントルシアは1979年にイギリスから独立した島国で、いわゆるカリブ諸国の1つです。セントルシア島も他のカリブの島々同様、大航海時代初期にスペイン人によって発見されたことからヨーロッパ人の入植がはじまった地です。正式な植民地化は1660年、フランスが現地の先住民と結んだ条約によって成され、主にサトウキビや各種フルーツの生産地として開発されましたが、同時にこの海域の覇権を狙うイギリスと熾烈な領有権争いも起き、17世紀から18世紀にかけて実に14回も支配者が入れ替わる事態に陥ります。結局、この紛争はフレンチ・インディアン戦争後に締結された1814年のパリ条約でイギリスに軍配が上がり、以後セントルシア島はイギリスの植民地支配のもとで引き続き各種農産品の供給地という役割を担うことになりましたが、フランスの影響下に置かれた時期が長かった歴史の名残として、今でも国民のほとんどは日常的にはフランス語系のクレオール言語(異なる言語が融合して生まれた人工言語)であるセントルシア・クレオール語を話します。一応、独立後のセントルシア政府は英語を国家唯一の公用語と定めており、ビジネス・教育・報道など公的な言語として習得している人は多いのですが、英語そのものが母語という人は少なく、総人口の2割程度に過ぎません。

第二次大戦後にイギリスが世界各地の植民地を維持する能力を喪失すると、1958年にカリブ海のイギリス領の島々は共同で西インド連邦という自治国を創設。セントルシアもその一員となりました。しかし連邦は主導権争いのため早々に有名無実化し、1962年には正式に解散。セントルシアは1967年に改めて単独の自治領に昇格し、1979年には晴れて正式な独立を達成しました。独立後のセントルシアは英連邦王国(独立してもイギリス国王を引き続き自国の元首に指定し続ける国)として、イギリス政治を基本とした議会制民主主義国となり、二大政党制のもとで安定した政情を享受しています。一方、経済的には植民地時代の名残であるサトウキビの生産こそ廃れたものの、依然としてバナナやココナッツの栽培を中心とする農業国であり続け、主に米英や周辺国に輸出しています。しかし特定の作物に依存する経済は国際価格の変動の影響を直に受けるほか、この海域でよく見られるハリケーンの襲来によって安定的な供給が難しいこともあって、セントルシア政府は1980年代から1990年代にかけて代替産業の育成に積極的に取り組むようになりました。中でも最も重要なのが、カリブの海と気候を生かした観光業で、大国アメリカに近く、英語文化圏に属し、また小国ながらこれまでノーベル賞受賞者を2人輩出している行き届いた国民教育システムと安定的な治安もあって、2010年には遂に年間外国人観光客数が100万人(総人口の5倍以上)を超える快挙を達成しています。また、外資の呼び込みも積極的に行っていますが、中でも特に成功した例が米国石油大手のヘス社の誘致であり、同社はセントルシアに石油精製施設と備蓄基地を設置して、米州各地から輸入した原油を石油製品に加工し、付加価値を付けて輸出する事業を営んでいます。この事業は農業と観光業一辺倒だったセントルシアの経済・貿易構造に大きな変化をもたらし、雇用促進や港湾・道路などのインフラ整備に繋がったほか、石油製品はセントルシア最大の輸出品となり、産業の多角化に貢献しています。

独特なデザインで知られるセントルシアの国旗は、1967年の自治権獲得時に既に作られていました。当時は地色が水色ではなく青で、中央の意匠も一回りほど大きかったのですが、まず独立時に中央の意匠が今と同じサイズになり、次いで2002年には地色も現行の水色に変更されました。地色である水色はカリブ海を、中央の三角形はセントルシア島を象徴します。この三角形は三色で構成されており、黄は太陽と輝く砂浜を、黒はセントルシア国民の大半を占める黒人を、白は少数派の白人を表します。また2つの三角形(黒白と黄)は、双子の活火山として世界遺産にも登録された国内最高峰ピトン山をイメージしています。

縦横比:1対2


セントルシア
Saint Lucia (セイント・ルーシャ)

Map_of_Saint_Lucia.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:北アメリカ (カリブ海)
面積:約18万人
首都・最大都市:カストリーズ (英:Castries)
主要民族:アフリカ系黒人85%
       ムラート(白人と黒人の混血)11%
       インド系2%
       少数のヨーロッパ系白人、先住民(インディオ)、中国系など。
主要言語:英語が公用語だが、母語率は2割程度で、多くの国民にと
       っては生活上の必要性から、第二言語として後から習得す
       る言語に過ぎない。国民の大半はフランス語に西アフリカ系
       諸語が融合したセントルシア・クレオール語を使用する。
主要宗教:キリスト教90%
        ローマ・カトリック教会70%
        セブンズデー・アドヴェンティスト教会7%
        ペンテコステ派6%
        聖公会2%
        福音派2%など。
       無宗教7%
       少数のヒンドゥー教、イスラム教など。

[政治・軍事]
独立:1979年2月22日
国連加盟:1979年9月18日
政治体制:立憲君主制(英連邦王国)、議院内閣制
元首:国王
    イギリスの国王が兼任、世襲制。
    国王の名代として総督が元首の権限を代行。
    総督は現地人有識者の中から国王が任命。
政府:内閣
    総督が下院最大会派の指導者を首相に任命。
    他の閣僚は首相の指名に基づき、総督が任命。
議会:二院制の国会
    ●元老院(上院)
     11議席。総督による任命制だが、6議席は首相(与党党首)の、
     3議席は最大野党党首の、2議席は宗教界、経済界、社会団体
     などの各種団体からの助言に基づいて任命されなければならな
     い。任期はなく、総選挙や欠員が出る度に適宜補充される。
    ●会議院(下院)
     17議席。直接選挙制(小選挙区制)。任期5年。
政党制:セントルシア労働党と統一労働者党による二大政党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:なし (正規軍なし)
備考:小規模な警察隊を除き、軍事力を持たない。

[経済・通信・その他]
中央銀行:東カリブ中央銀行 (注1)
通貨:東カリブ・ドル (dollar, XCD, 注1)
国内総生産(GDP):14億400万米ドル
1人当たりGDP:7558米ドル
GDP構成比:農林水産業2.9%
        鉱工業13.8%
        サービス業83.3%
労働人口:8.1万人
失業率:不明 (10~20%と推計される)
輸出額:2億700万米ドル
輸出品:精製石油、酒類、バナナ、鉄くず、再輸出品
輸出先:ドミニカ共和国25%、米国16%、スリナム9%、アンティグア・バーブーダ7%、
     ドミニカ国7%
輸入額:5億4080万米ドル
輸入品:原油、精製石油、機械類、穀物、肉類、自動車、医薬品、鉄鋼、船舶
輸入元:ブラジル35%、米国26%、トリニダード・トバゴ14%、コロンビア11%、
     英国2%
固定電話回線数:3万5000回線
携帯電話回線数:18万8000回線
国別電話番号:1-758
ccTLD:.lc
インターネット利用者数:約10.9万人
車両通行:左側通行
平均寿命:77.9歳 (男性75.0歳、女性80.7歳)

[日本との関係]
国交樹立:1980年1月11日
相手公館:無し (日本を兼轄する他国駐在公館も無し)
駐日相手国人数:6人 (永住者3人)
相手輸出額:1万900米ドル
相手輸出品:調味料、蒸留酒
日本公館:無し (駐トリニダード・トバゴ大使館が兼轄)
在留日本人数:15人 (永住者4人)
日本輸出額:1170万米ドル
日本輸出品:自動車、機械類、鉄鋼
現行条約:1994年 青年海外協力隊派遣取極

(注1)
カリブ海に浮かぶ小島嶼のうち、6つの独立国とイギリス領の3地域は、東カリブ諸国機構(OECS)という地域統合組織を結成し、東カリブ・ドル(ECドル)という共通通貨を使用している。これはセントキッツ・ネイビスの首都バセテールに本店が置かれる東カリブ中央銀行によって発行され、通貨価値は1米ドル=2.7ECドルに固定されている。


《国歌「セントルシアの息子たち、娘たち」》
制定:1979年
作曲:リートン・トーマス
作詞:チャールズ・ジェシー

セントルシアの息子たち、娘たちよ。
生を授けたるこの地を愛そう。
砂浜、丘陵、そして渓谷を持つ、
世界で最も美しいこの島を。
君たちがどこに居ようと、
愛そう、おお、我らの祖国たるこの島を愛そう。

《国名の由来》
「聖ルチア」の意味。スペイン人探検家がこの地を1502年12月13日に発見したことから。12月13日はキリスト教ローマ・カトリック教会の聖女「聖ルチア」の祝日である。ナポリ民謡の「サンタ・ルチア」と語源は同じ。

英語における発音はセイント・ルーシャに近い。セントルシア・クレオール語の母体であるフランス語ではSaint-Lucieと表記し、サン・ルスィーと発音する。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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