セントキッツ・ネイビス

セントキッツ・ネイビス
Saint Kitts and Nevis (セイント・キッツ・エンド・ネーヴィス) (英語)

Flag_of_Saint_Kitts_and_Nevis.png

カリブ海に浮かぶセントキッツ島(セントクリストファー島とも)とネイビス島の2島から成るこの島国は、1983年にイギリスから独立した、西半球で最も新しい独立国家です。この地にはカリブ族が先住民として長く住み、独自の文化が育まれてきましたが、17世紀になるとイギリスとフランスが相次いで進出し、先住民を虐殺、あるいは追放しつつ、互いに勢力争いを繰り広げていました。やがて2島の支配権はイギリスが掌握し、更には北のアンギラ島を合併して領土を拡大。域内ではアフリカから黒人奴隷を導入して労働力を確保しながら、サトウキビのプランテーション農業を営みました。第二次大戦が終わるとカリブ海のイギリス領の島々が共同で1つの連邦国家を結成し、独立しようという動きが高まり、1958年にイギリス領西インド連邦が樹立され、セントキッツ島、ネイビス島、アンギラ島もその一員となりましたが、連邦は主導権争いですぐに有名無実化し、1962年に解散。この地は改めてセントキッツ・ネイビス・アンギラの名で自治領となりました。しかし今度はアンギラ島がセントキッツ島中心の自治政府に反発し、1969年に分離。結局領域は2島のみとなり、1983年に英連邦王国(独立後も引き続きイギリス国王を元首としている国)として正式な独立を達成しました。

現在のセントキッツ・ネイビスは、植民地時代からの砂糖産業を廃止し、もっぱら観光業と下請け企業による電子機器の組立で経済を維持しています。これは砂糖の生産が奴隷制時代の名残のため民心として抵抗があり、またしばしばハリケーンに襲われる地理的特性から供給が不安定で、利益があがらない状態が続いたことに起因します。その分、カリブ海の美しい海岸と年中温かな熱帯気候、そして超大国アメリカに近いという立地を生かした観光業の振興は、政府が最も力を入れている分野であり、英語が通じる利便性もあって、多い年には年間50万人近くの外国人観光客がこの国を訪れます。これはこの国の総人口の10倍に匹敵し、彼らがもたらす旺盛な消費は、まさに国家経済の要と言えるでしょう。

1983年の独立と同時に制定されたセントキッツ・ネイビスの国旗は、国民の大多数をアフリカ系黒人が占めることもあり、「アフリカ最古の独立国」と呼ばれるエチオピア国旗に範をとった緑、黄、赤の汎アフリカ色が使われています。緑が豊かな土地を、黄が燦々と照りつける太陽の光を、黒が黒人を、赤が奴隷制廃止と独立のために流されてきた祖先の血を象徴し、黒帯の中に置かれた2つの白い星は国を構成するセントキッツ島とネイビス島の2島、および国民の希望と自由を表しています。

縦横比:2対3


セントキッツ・ネイビス連邦
Federation of Saint Kitts and Nevis
(フェデレイション・オブ・セイント・キッツ・エンド・ネーヴィス)


Map_of_Saint_Kitts_and_Nevis_.gif

統計データは原則として2013年時点のもの。

[地理]
位置:北アメリカ (カリブ海)
面積:約261km² (色丹島よりわずかに大きい)
人口:約5.5万人
都市人口率:32.0%
首都・最大都市:バセテール (英:Basseterre)
主要民族:アフリカ系黒人90%
       ムラート(白人と黒人の混血)5%
       インド系3%
       ヨーロッパ系白人1%
主要言語:英語が公用語だが、日常会話では英語に西アフリカ系諸語
       が融合したセントキッツ・クレオール語が広く用いられ、地方
       部では特にその傾向が強い。ただしクレオールは口語として
       の使用がほとんどで、文書化(特に公文書)の必要がある際
       は標準英語が優先される。
主要宗教:キリスト教82%
        プロテスタント諸派(聖公会、メソジスト派など)76%
        ローマ・カトリック教会6%
       無宗教9%
       他に少数のヒンドゥー教、イスラム教、バハーイー教など。

[政治・軍事]
独立:1983年9月19日
国連加盟:1983年9月23日
政治体制:立憲君主制(英連邦王国)、議院内閣制、連邦国家
元首:国王
    イギリスの国王が兼任、世襲制。
    国王の名代として総督が元首の権限を代行。
    総督は現地人有識者の中から国王が任命。
政府:内閣
    総督が議会最大会派の指導者を首相に任命。
    他の閣僚は首相の指名に基づき、総督が任命。
議会:一院制の国民議会
    15議席。11議席は直接選挙(小選挙区制)で選出。3議席は総督
    による任命枠。残る1議席は司法長官の議席。任期5年。
政党制:連邦レベルではセントキッツ・ネイビス労働党と人民行動運動
     による二大政党制だが、ネイビス島議会ではネイビス改革党と
     有志市民運動の二党も有力な地域政党として活動している。
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:不明 (1000万米ドル以下と推計される)
軍組織:セントキッツ・ネイビス国防軍
     総数約300人。陸軍と沿岸警備隊で構成されるが、
     それぞれの内訳は不明。

[経済・通信・その他]
中央銀行:東カリブ中央銀行 (注1)
通貨:東カリブ・ドル (dollar, XCD, 注1)
国内総生産(GDP):8億5200万米ドル
1人当たりGDP:1万5367米ドル
GDP構成比:農林水産業1.4%
        鉱工業26.5%
        サービス業72.1%
労働人口:2.1万人
失業率:不明 (5%前後と推計される)
輸出額:7990万米ドル
輸出品:機械類、船舶、酒類、再輸出品
輸出先:米国56%、ポーランド23、ドイツ5%、カナダ4%、チェコ2%
輸入額:2億6200万米ドル
輸入品:船舶、自動車、機械類、鉄鋼、宝飾品、肉類、有機化合物、家具
輸入元:米国50%、イタリア7%、英国6%、中国5%、韓国4%
固定電話回線数:1万9000回線
携帯電話回線数:7万3000回線
国別電話番号:1-869
ccTLD:.kn
インターネット利用者数:約3.7万人
車両通行:左側通行
平均寿命:75.8歳 (男性73.3歳、女性78.2歳)

[日本との関係]
国交樹立:1985年1月14日
相手公館:無し (本国常駐の大使のみ存在)
駐日相手国人数:6人 (永住者無し)
相手輸出額:1900米ドル
相手輸出品:機械類のみ
日本公館:無し (駐トリニダード・トバゴ大使館が兼轄)
在留日本人数:1人 (永住者無し)
日本輸出額:1020万米ドル
日本輸出品:自動車が9割、他に船舶、機械類
現行条約:特に無し

(注1)
カリブ海に浮かぶ小島嶼のうち、6つの独立国とイギリス領の3地域は、東カリブ諸国機構(OECS)という地域統合組織を結成し、東カリブ・ドル(ECドル)という共通通貨を使用している。これはセントキッツ・ネイビスの首都バセテールに本店が置かれる東カリブ中央銀行によって発行され、通貨価値は1米ドル=2.7ECドルに固定されている。


《国歌「おお、美しき地よ!」》
制定:1983年
作曲・作詞:ケンリック・ジョージズ

おお、美しき地よ!
平和に満ち満ちた我らの地。
汝の子供たちは強き意思と愛の中で、
自由を謳歌しているぞ。
神と共に立つ我らの闘いの中で、
セントキッツとネイビスは結束している。
運命を共にしながら。

《国名の由来》
セントキッツ島(セントクリストファー島)とネイビス島の合成地名。セントキッツは探検家クリストファー・コロンブスが命名したもので、1493年の「聖クリストフォロスの日」にこの地に到達したことを記念したもの(彼のファースト・ネームからとする説もあるが、有力ではない)とされる。聖クリストフォロスはキリスト教の伝説上の聖人で、これが英語でクリストファーとなり、時代と共にその愛称であるキッツに短縮された。国名が長いためSKNと略される場合もある。

ネイビスはスペイン語で「雪」を意味するNieves(ニエベス)に由来するが、これはこの島が発見された際にネイビス山が雪で覆われていたからとされている。

日本外務省はセントクリストファー・ネイビス(Saint Christopher and Nevis)と呼び、国内の地図でもそのように書かれているが、同国政府や諸外国、そしてほとんどの国際機関はクリストファーではなくキッツ(Kitts)と表記しており、前者の呼称が定着した日本のような国は異例である。一応、同国の連邦憲法はクリストファーとキッツのどちらの表記も公式なものとして認めているものの、長いスペルを要する前者を用いることはあまり無く、歴史上の旧称と捉えている感があり、今では稀に格式の高い場面で雅称として使われる程度だという。


【おまけ:ネイビス島の旗】
Nevis.png

ネイビス島はセントキッツ島の南東に位置し、国土の約3割半、人口のおよそ2割を占めます。公式国名に連邦が付いていることからも分かる通り、ネイビス島には独自の議会と行政府が置かれ、一定の自治権を行使しています。かつてアンギラ島が、首都バセテールを抱え、国の政治・経済の中心となっているセントキッツ島中心の支配に反発して分離したことは前述しましたが、ネイビス島でも同様の動きがあり、1998年には分離独立を問う住民投票が行われました。しかし独立が認められる規定の賛成票(総投票数の2/3)にわずかに及ばず、現在に至るまで連邦に残留し続けています。

ネイビス島の旗は、太陽の光を意味する黄を地色とし、カントン部に連邦旗を、フライ側に島を表す三角形の図形を配しています。この三角形は3色から構成されますが、一番下の青はカリブ海を、緑はその上に立つネイビス島の自然を、白は島の最高峰であるネイビス山を象徴します。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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