スイス

スイス
Schweiz (シュヴァイツ) (ドイツ語)
Suisse (シュイス) (フランス語)
Svizzera (ズヴィッツェラ) (イタリア語)
Svizra (ジュヴィーツラ) (ロマンシュ語)
Switzerland (スウィッツァランド) (英語)

Flag_of_Switzerland.png

スイスはヨーロッパ中央部を東西に走るアルプス山脈の北麓に位置する内陸国です。南部のイタリアとの国境地帯にはヨーロッパ屈指の高い山々がそびえるほか、他の地域もおおむね緩やかな台地と高原で構成されており、起伏に富んだ地形とアルプスの雪解け水が作り出す幾多の河川・湖沼は、スイス国内のみならず地域全体の貴重な水源となっています。また、豊かな水資源を抱えるスイスでは農業と畜産業が盛んで、狭い土地を効率良く使った集約的な生産が進められたこともあって、今でもチーズなどの乳製品はこの国の特産品として世界的に知られています。同時に、綺麗な水を利用できる環境は精密機械工業の発展も促し、特に時計と光学機器の生産力は世界屈指の水準を保っています。この他にも貴金属と宝石の精錬・加工業、観光業、医薬品を中核とした化学製品の生産、そして俗に「スイス銀行」と呼ばれる金融システムなど、多様かつ厚みのある産業を持ち、その経済的な安定性は先進諸国の中でも突出しています。このように、一国の力で豊かな国づくりを行えるスイスでは、他国との連携や統合の強化によってかえって不利益を押し付けられるとの懸念から、ヨーロッパ連合(EU)への加盟に否定的な意見が大多数を占めます。2002年まで国連にすら加盟していなかったことを考えると、他のヨーロッパ諸国と比べて孤立主義の傾向が強いとも言えますが、これは1815年以来一貫して永世中立国として独自の道を歩んできたことと、上記のように自らの国力で充分な豊かさを維持できる強みによるもので、今後もこうした政策に大幅な変更が加えられる可能性は少ないでしょう。

スイスの歴史は古く、1291年にウーリ、シュヴィーツ、ウンターヴァルデンの3州が誓約者同盟と呼ばれる緩やかな連合を結成したのが始まりとされます。その後は徐々に加盟州を増やし、中欧の雄であるハプスブルク家の介入や、信仰宗派をめぐる各州間の対立に悩まされながらも、独立を維持してきました。当初、同盟に加入していた州は独立国並みの権限を有する領邦国家のような存在で、州同士の結び付きは非常に緩く、州の権力を超越する機関は置かれませんでした(後述するヘルヴェティア共和国の時代は除く)。しかし19世紀に入ると周辺諸国が次々と近代的な国民国家を形成し、国家機構による強い指導の下で国力を増強させるようになったため、同盟を構成する各州も危機感を強めます。こうした国際情勢の急激な変化に対応すべく、各州の代表者は議論を重ね、最終的に州の利害を調整する機関を設置して同盟を維持し、外圧を防ぐ方針を採用。この指針に基づき、1848年に連邦憲法が発布されました。これにより、州が有していた一部の権限(外交、通商、国防)が新設の連邦議会に移譲され、少なくともこの3分野に関しては各州が共同歩調を取ることで合意。更に1874年には連邦憲法が全面的に改正され、立法府である連邦議会が行政府の性格を兼ねるという特殊な議会統治制が成立し、建国からおよそ600年の歳月を経て、スイスは諸州の緩やかな同盟からようやく1つの連邦国家へと移行しました。この体制は現在まで続いており、各州は高度な自治権を持っているものの、連邦議会の決定の元で一定の結合を保っています。

このように地域間の結び付き自体は古くからあったものの、1つの国家としてまとまるまでに多くの時間を要したスイスでは、長らく国旗というものは制定されてきませんでした(各州の旗はありましたが)。現在のスイス国旗は同盟が連邦化した後の1889年に制定されたもので、1291年の誓約者同盟結成時にその中核となったシュヴィーツ州の旗をモチーフとしています。キリスト教国らしく中央には十字が白抜きで配されていますが、これはもともと同盟加盟州の兵士と他国の兵士を見分けるために軍備品や軍服に縫い付けられていた標章で、その原型は13世紀には既に成立していたとのこと。また地色の赤は、中世から主権と力を象徴する存在として用いられてきた色です。ちなみにスイス国旗といえばバチカン国旗と並んで正方形の国旗として知られていますが、厳密には縦横比を定めた法令は存在せず、あくまで慣例的にその比率を用いているだけです。また、白十字の縦棒は横棒よりも1/6だけ長いものが正式な規格とされています。

縦横比:1対1

【旧国旗】
Flag_of_the_Helvetic_Republic.png
1798年、フランス軍がスイスに侵攻して打ちたてたヘルヴェティア共和国の国旗です。当時のフランスは革命期にあり、革命をヨーロッパに広めようという動きがスイスに向けられたのです。

ヘルヴェティア共和国はそれまでの緩やかな連合体としてのスイスとは打って変わり、中央集権的な政府を持った国として改組されましたが、これはスイスの風土に馴染まず反政府暴動が発生。結局、1799年よりフランスの政権を握ったナポレオンが仲裁に入り、1803年に共和国は廃され、再び誓約者同盟が復活しました。

国旗は緑、赤、黄の横三色旗で、中央にフランス語で「ヘルヴェティア共和国」と書かれていました。それぞれの配色の意味は不明ですが、三色旗を採用したという時点で、かなりの程度フランス国旗の影響を受けていることがわかります。


スイス連邦
Schweizerische Eidgenossenschaft
(シュヴァイツェリッシェ・アイトゲノッセンシャフト)

Confèdèration suisse (コンフェデラシオン・シュイス)
Confederazione Svizzera (コンフェデラツィオーネ・ズヴィッツェラ)
Confederaziun svizra (コンフェデラツィウン・ジュヴィーツラ)
Swiss Confederation (スウィス・コンフェデレイション)

Map_of_Switzerland.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:ヨーロッパ
面積:約4.1万km² (九州より少し大きい)
人口:約824万人
都市人口率:73.9%
首都:ベルン (独・英:Bern 仏:Berne 伊・ロ:Berna)
最大都市:チューリッヒ (独:Zürich 仏・英:Zurich)
              (伊:Zurigo ロ:Turitg)
主要民族:スイス国籍77%
        ●ドイツ系51%
        ●フランス系13%
        ●イタリア系12%
        ●ロマンシュ系1%
       外国籍23%
        ●旧ユーゴ諸国系(セルビア、マケドニア、ボスニアなど)4%
        ●イタリア人4%
        ●ドイツ人3%
        ●ポルトガル人3%
        ●フランス人1%
        ●南アジア系(スリランカ、インドなど)1%
        他にトルコ人、スペイン人、アルバニア人など。
主要言語:ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4公用語。
       ドイツ語が最も広く通じ、住民の6割以上が理解可能だが、
       フランス語も西部、イタリア語も南部では主要言語として話
       される。ロマンシュ語は南東部の一部で用いられる土着の
       言語だが、理解率は1%未満に過ぎない。外国語の中では
       英語が最も広く通用し、国民の6割前後が第二言語として
       習得している。
主要宗教:キリスト教72%
        ローマ・カトリック教会38%
        スイス改革派教会(福音派諸教会の連合体)26%
        正教会2%
        スイス改革派教会に属さない福音派1~2%
        他に少数のルター派教会、聖公会など。
       無宗教22%
       イスラム教(スンナ派がほとんど)5%
       少数のヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教など。

[政治・軍事]
建国:1291年8月1日
国連加盟:2002年9月10日
政治体制:共和制、議会統治制、連邦国家
元首:連邦参事会 (内閣に相当、首相職なし)
    (注2)を参照のこと
政府:連邦参事会のもとに連邦の官庁が置かれ、政府機関を兼任。
議会:二院制の連邦議会
    ●全州議会(上院)
     46議席。国家を構成する20州が2名、6準州が1名ずつ選出。
     選出方法は州・準州ごとに独自の制度が認められるが、連邦
     憲法では民主的な方法でなければならないと定められており、
     現在では全ての州・準州が直接選挙により代表者を選定して
     いる。任期4年。
    ●国民議会(下院)
     200議席。直接選挙制(比例代表制)。任期4年。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:徴兵制
国防費:50億6500万米ドル
軍組織:スイス軍
     平時は3000~4000人規模の士官級軍人で構成される指揮
     機構が存在するのみだが、国民皆兵の徴兵制度が敷かれた
     国家であり、戦時には即応戦力だけで20~30万人規模の兵
     員が動員可能とされる。

[経済・通信・その他]
中央銀行:スイス国立銀行
通貨:スイス・フラン (franc, CHF)
国内総生産(GDP):6647億3800万米ドル
1人当たりGDP:8万186米ドル
GDP構成比:農林水産業0.7%
        鉱工業25.7%
        サービス業73.6%
労働人口:511万人
失業率:3.2%
輸出額:3035億米ドル
輸出品:金、宝飾品、医薬品、精密機器、機械類、鉄鋼、精錬ダイヤ、銀、電力
輸出先:ドイツ14%、米国11%、香港9%、インド7%、中国7%
輸入額:2477億米ドル
輸入品:貴金属、宝石、化学薬品、機械類、自動車、精製石油、プラスチック類
輸入元:ドイツ21%、英国13%、米国8%、イタリア8%、フランス7%
固定電話回線数:414万1000回線
携帯電話回線数:1170万9000回線
国別電話番号:41
インターネット利用者数:約730万人
ccTLD:.ch
車両通行:右側通行
平均寿命:82.7歳 (男性80.3歳、女性85.0歳)

[日本との関係]
国交樹立:1864年2月6日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:2314人 (永住者367人、特別永住者18人)
相手輸出額:69億3000万米ドル
相手輸出品:医薬品、精密機器、機械類、宝飾品、葉タバコ、飲料水、金
日本公館:大使館 (ベルン)
       他にジュネーヴに領事事務所が存在するが、独立した公館の
       地位は持たず、駐ベルン大使館の管轄下で領事事務のみを
       行う。
在留日本人数:1万310人 (永住者5243人)
日本輸出額:35億1000万米ドル
日本輸出品:宝飾品、金、有機化合物、自動車と部品、機械類、二輪車
現行条約:1911年 居住通商条約
       1920年 司法共助取極
       1953年 工業所有権保護協定
       1955年 請求権解決取極
       1956年 航空協定
       1957年 査証(ビザ)相互免除取極
       1971年 租税条約 (2011年に改定)
       2007年 科学技術協力協定
       2009年 経済連携協定(EPA)
       2012年 社会保障協定

(注1)
連邦議会及び連邦政府のほとんどの機関はベルンに置かれているが、最高司法機関である連邦最高裁判所のみローザンヌにある。

(注2)
スイスに単独の国家元首は存在せず、代わりに連邦全体の内閣に相当する連邦参事会の7名の構成員が、共同で国家元首の機能を果たす。構成員は連邦参事と呼ばれ、連邦議会によって選出され、各々が管轄する官庁を1つずつ持ち、列国の閣僚と同等の職責を担う。ただし管轄官庁は毎年元旦に変更され、特定の連邦参事が1つの省を支配し、長期にわたって牛耳ることがないよう定められている。連邦参事は4年に一度の下院選挙(スイス議会に解散は無いため、時期が早まることはない)を受け、各政党の獲得議席に応じて再選定が行われるが、同一個人の連邦参事への再選は許されている。

なお、各連邦参事は連邦参事会を主宰し、形式上の国事行為を担う権利を1年ごとの持ち回り制で獲得し、この権能を連邦大統領と称する。総じて、その年の連邦大統領の権能は、連邦参事会で最も権限が大きいとされる外務担当参事(外相)に与えられ、1年間、連邦参事会の首席として国際社会におけるスイス政府の顔役を務める。国家元首かそれに相当する役職に就く者が開会を宣言する慣例があるオリンピックでは、スイスは過去2度の開催で、いずれも外務担当参事が「スイス連邦大統領」の名のもとで開会宣言を行った。

このことから、スイスの国家元首を連邦大統領個人と見なす資料も少なくない。ただ、どのような場合でも、スイスにおいて連邦大統領個人が単独の国家元首として職責を遂行することはなく、あくまで元首権限の源泉は連邦参事会に属する。連邦大統領の権限自体は名誉職的な色彩が強く、概して儀礼上の概念に過ぎない存在であり、その年の外相が連邦参事会の代表者として、必要に応じて一時的に連邦参事会の委任を受けて国事行為を行うよう求められているだけ、というのが実情である。


《国歌「スイスの賛歌」》
制定:1981年 (1961年より事実上の国歌。1981年に法制化)
作曲:アルベリク・ツヴィッシヒ
作詞:レオンハルト・ヴィトマー (ドイツ語版)
    シャルル・シャテラナ (フランス語版)
    カミッロ・ヴァルサンジャコモ (イタリア語版)
    フルリン・カマシアス (ロマンシュ語版)

空が朝焼けに染まり、
我らの頭上に光が降り注ぐ時、
汝、おお、主の偉容は輝きの中にあらん。
アルプスが紅く壮麗な輝きを帯びたならば、
神に祈ろう、ひれ伏そう。
我らは感じ、理解する。
我らは感じ、理解する。
主がこの地におられることを。
主がこの地にあられることを。

《国名の由来》
国名は建国に当たって中心的な役割を果たしたシュヴィーツ州に由来し、シュヴィーツは古高ドイツ語で「酪農場」を表す。現在もチーズなどの酪農品で有名なスイスだが、それが古くから認知されていたことを物語っている。

上記のように公用語が多く、それに伴い国名表記も多岐に渡ることから、看板や紙面の幅の制限などで4言語を平等に併記出来ない場合が存在する。その際はどの言語にも偏らない中立な表現として、現在は死語となったラテン語でConfoederatio Helvetica(コンフェデラチオ・ヘルヴェティカ)、もしくはその略称のCHHelvetia(ヘルヴェティア)と表記される。かつてのスイスにはケルト系のヘルウェティ族が住んでおり、それにちなんで「ヘルウェティ族の地」の意味するこの地名が付けられた。スイスのインターネット国別ドメインである.ch、スイス・フランの通貨コードであるCHFもこれに由来する。

なお、ドイツ語の公式国名では、建国の経緯から「誓約者同盟」を意味するEidgenossenschaft(アイトゲノッセンシャフト)を用いている。そのためスイス連邦ではなくスイス誓約者同盟と表記する文献もある。

旧国名
1798-
1803
 ヘルヴェティア共和国
(独)Helvetische Republik (ヘルヴェティッシェ・レプブリーク)
(仏)République helvétique (レプブリック・エルヴェティック)
(伊)Repubblica Elvetica (レプッブリカ・エルヴェティカ)
(ロ)Republica helvetica (レプブリカ・ヘルヴェティカ)
(英)Helvetic Republic (ヘルヴェティック・リパブリック)

コメント

非公開コメント

プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

ツイッターやってます。基本的に更新情報はここでつぶやいてます。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

外部リンク
QRコード
QRコード
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
Flag counter