トルクメニスタン

トルクメニスタン
Türkmenistan (テュルクメニスタン) (トルクメン語)
Туркменистан (トゥルクメニスタン) (ロシア語)
Turkmenistan (タークメニスターン) (英語)

Flag_of_Turkmenistan.png

中央アジアに位置するトルクメニスタンは、トルコ人の近縁民族であるトルクメン人を主体とする砂漠の国です。もともとトルコ系諸民族の祖先は、ユーラシア大陸の北中部に分布する遊牧民族でしたが、6世紀頃になるとその一部が南下し、中央アジア全域を生活圏とする騎馬民族へと移行していきました(南下後、更に西進しアナトリアを拠点としたのが現在のトルコ人)。13世紀以降はモンゴルやペルシア、19世紀以降はロシアの支配下に入ったものの、ロシア革命を経て1922年にソビエト連邦が成立すると、行政の効率化を求める共産党の指導下で、トルコ系各民族が入り乱れていた中央アジアの「民族境界画定」作業が行われ、トルクメン人はこの地に定住することが決められました。そして作業終了後の1924年、ソ連を構成する共和国の1つとしてトルクメン・ソビエト社会主義共和国が成立し、ソ連共産党の支部であるトルクメン共産党のもとで、現在に続くトルクメン人国家の基礎が築かれていったのです。

1991年のソ連崩壊に伴い、この地はトルクメニスタンとして独立しましたが、政治的には旧トルクメン共産党が名称を変えただけのトルクメニスタン民主党による一党支配が続いており、旧ソ連諸国の中で最も改革・民主化のスピードが遅い国として知られます。その分、改革に伴う大混乱や紛争で国力を減退させた他の旧構成国と異なり、石油や天然ガスといった豊富なエネルギー資源の輸出によって堅調な経済建設を遂げたことも事実で、独立から2006年末の死去まで一貫して独裁的な権力を握り続けたサパルムラト・ニヤゾフ初代大統領は、「トルクメンバシュ(トルクメン人の長)」の名で、死去後の現在に至るまで国父の地位を占めています。また外交面では、ロシアや欧米諸国との関係をめぐって、時に国を割る政争が起こる旧構成国が多い中、どちらに加担することもなく、外国との関わりをほぼ貿易・経済関係のみに絞った一種の鎖国政策が採られています。さすがに国連には加盟していますし、オリンピックなどの国際スポーツ大会には参加するものの、外国人の入国には極めて消極的であり、その異質な国家運営が逆に諸外国の関心を集めています。「メロンは神がトルクメニスタンに与えた賜物であり、世界に誇る特産品である」として8月の第2日曜日を「メロンの日」という祝日に指定したり、「田舎者は本など読まない」と首都と大学以外の図書館を閉鎖したりと、個人的な思いつきに基づく恣意的な政策もニヤゾフ政権下では数多く実行されましたが、とにもかくにも衣食住に困らない安定した国を作り上げた実績は大きいらしく、今でもなお、ニヤゾフの著書『ルーフナーマ(魂の書)』はイスラム教の聖典『クルアーン(コーラン)』と同格の書物とされ、国民の必読書に位置付けられています。なお、現在のトルクメン人は一般にイスラム教スンナ派を信仰する民族とされていますが、ソ連時代の無神論と独立後のニヤゾフに対する徹底した個人崇拝の影響から、宗教が社会に与える力は極めて小さく、女性の外出や酒の販売に関しても特に規制は無いとのこと。

独立翌年の1992年に制定されたトルクメニスタン国旗は、世界で最も複雑な国旗と言われます。イスラム教のシンボルかつ希望に満ちた未来を象徴する三日月と星、そしてイスラム教の神聖な色である緑を使った国旗であり、5つの星はトルクメニスタンを構成する5州を表します。ホイスト部に配された5つの絨毯模様は、トルクメン人の中でも特に代表的な5部族の紋章で、上から順にテケ族、ヨムト族、アルサリ族、チョウドル族、サリク族を表します。1997年には、部族の5つの紋章の下に平和を表すオリーブの枝が付け加えられましたが、これは1995年にトルクメニスタンが国際社会から永世中立国と認められたことを記念するものであり、「中立」という言葉はトルクメニスタンでは国歌にも用いられるなど、特別な意味を持ちます。その後、2001年に縦横比を1対2から2対3に改め、現在の国旗となりました。

縦横比:2対3

【旧国旗】
Turkmen_SSR.png
ソ連を構成していた15共和国の1つ、トルクメン・ソビエト社会主義共和国の国旗です。1953年から1992年まで用いられました。ソ連時代の各共和国の国旗はソ連国旗にそれぞれの意匠を盛り込んだものでしたが、2本の青線は中央アジアを流れる主要な2つの大河川(アムダリヤ川とシルダリヤ川)を象徴しています。もっとも、トルクメニスタン国内に流れているのはアムダリヤ川のみですけどね。


トルクメニスタン
Türkmenistan
Turkmenistan

Map_of_Turkmenistan.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:アジア
面積:約48.8万km² (日本の約1.3倍)
人口:約537万人
首都・最大都市:アシガバート (ト:Aşgabat 露:Ашхабад)
                   (英:Ashgabat)
都市人口率:50.0%
主要民族:トルクメン人(トルコ系)91%
       ウズベク人(トルコ系)3%
       ロシア人(スラヴ系)2%
       少数のカザフ人、タタール人、アゼルバイジャン人など。
主要言語:トルクメン語が公用語。ロシア語もソ連崩壊前に教育を
       受けた世代には広く通用するが、政府はトルクメン語を
       唯一の国家言語として全年齢層・全分野に普及させる
       方針を採っている。他にウズベク語など。
主要宗教:イスラム教90%
        スンナ派89%以上
       キリスト教(正教会がほとんど)8%
       少数のヒンドゥー教、バハーイー教など。

[政治・軍事]
独立:1991年10月27日
国連加盟:1992年3月2日
政治体制:共和制、大統領制
元首:大統領
    直接選挙制。任期7年。再選制限無し。
政府:内閣
    閣僚は大統領が任命(首相は大統領が兼任)。
議会:一院制の国会
    125議席。直接選挙制(小選挙区制)。任期5年。
政党制:トルクメニスタン民主党による事実上の一党独裁
     (形式上は多党制だが、民主党の友党以外は
      認可されず、野党は事実上禁止されている)
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:徴兵制
国防費:不明 (2~4億米ドルと推計される)
軍組織:トルクメニスタン軍
     陸軍1万8500人
     海軍500人
     空軍3000人

[経済・通信・その他]
中央銀行:トルクメニスタン中央銀行
通貨:トルクメン・マナト (manat, TMT)
国内総生産(GDP):373億3400万米ドル
1人当たりGDP:6952米ドル
GDP構成比:農林水産業13.1%
        鉱工業48.4%
        サービス業38.5%
労働人口:231万人
失業率:不明 (10%前後と推計される)
輸出額:103億8000万米ドル
輸出品:天然ガスが8割、他に精製石油、泥炭、原油、綿花
輸出先:中国75%、トルコ6%、アフガニスタン5%、イタリア3%、ジョージア2%
輸入額:81億9800万米ドル
輸入品:機械類、鉄鋼、自動車、化学薬品、プラスチック製品、木材、穀物、船舶
輸入元:トルコ25%、ロシア12%、中国11%、UAE9%、カザフスタン5%
固定電話回線数:64万8000回線
携帯電話回線数:784万2000回線
国別電話番号:993
ccTLD:.tm
インターネット利用者数:約79万人
車両通行:右側通行
平均寿命:70.2歳 (男性67.1歳、女性73.3歳)

[日本との関係]
国交樹立:1992年4月22日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:51人 (永住者1人)
相手輸出額:9万7000米ドル
相手輸出品:衣類と絨毯のみ
日本公館:大使館 (アシガバート)
在留日本人数:26人 (永住者無し)
日本輸出額:3150万米ドル
日本輸出品:機械類、鉄鋼、ゴム製品、精密機器、自動車
現行条約:特に無し


《国歌「独立、中立、トルクメニスタン国歌」》
制定:曲は1996年、歌詞は2008年
作曲:ヴェリ・ムハトフ
作詞:複数人による共作
備考:1996年に初代大統領ニヤゾフの書いた歌詞が制定されたが、
    2006年に死去したのに伴い、2008年に複数の国民代表が
    作成した歌詞に改められた。

我らは生を授かりしこの祖国に、命を与えん。
祖先の魂は子孫に知れ渡る。
我が土地は神聖にして、我が旗は世界にはためく。
偉大なる中立国の象徴がはためく。

連綿たる民が作り上げし偉大な創生物、
これぞ父祖の地、この主権国家。
永遠なれ、輝かしき魂の歌よ。
永久にあれ、栄華を極めよ、トルクメニスタン!

《国名の由来》
トルクメン人の民族名にペルシア語で「○○の国、土地」を意味するstanが合わさった国名で、「トルクメン人の国」を意味する。トルクメンとはトルコ語で「トルコ風、トルコに似た」を意味し、トルクメン人がトルコ系民族であることをうかがわせる。稀にトルクメニア(Turkmenia)という表記も見られる。

旧国名
1924-
1991
 トルクメン・ソビエト社会主義共和国
(ト)Türkmenistan Sovet Sotsialistik Respublikasy
  (テュルクメニスタン・ソヴェト・ソツィアリスティク・レスプブリカシィ)

(露)Туркменская Советская
   Социалистическая Республика
  (トゥルクメンスカーヤ・サヴィエツカーヤ・
   サツィアリスチーチェスカーヤ・リスプーブリカ)

(英)Turkmen Soviet Socialist Republic
  (タークメン・ソヴィエト・ソーシャリスト・リパブリック)

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

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