ツバル

ツバル
Tuvalu (トゥヴァル) (ツバル語)
Tuvalu (トゥーヴァルー) (英語)

Flag_of_Tuvalu.png

ツバルは南太平洋のポリネシア地域に浮かぶ9つの環礁(隆起した珊瑚礁で出来た島)からなる島国です。国土面積は全ての島を合わせても八丈島の1/3程度で、バチカン、モナコ、ナウルに次ぐ世界で4番目に小さな独立国として知られます。この地には紀元前から既にポリネシア系先住民が暮らし、漁業を中心とした伝統的な生活が営まれてきましたが、ヨーロッパが大航海時代に入った16世紀以降、西洋人がしばしば地域周辺を訪れるようになり、キリスト教を布教しながら交易に従事するようになりました。近代に入ると帝国主義の勃興を受け、太平洋の島々も列強諸国によって植民地化されていき、ツバルも1892年にエリス諸島の名でイギリスが領有。北隣のギルバート諸島と共に一元統治されることとなります。しかしもともと、ポリネシア地域のエリス諸島とミクロネシア地域に属するギルバート諸島では文化・風習が大きく異なるため、第二次大戦終結辺りから徐々に不満が噴出するようになり、同時に独立運動にも繋がりました。1974年には両地の分離を問う住民投票が実施され、賛成が圧倒的多数を占め、1976年元旦に両地は個別の海外領土という地位を確保。更に1978年には、イギリスもツバル(住民投票の翌年にエリス諸島から改称)の独立を承認し、島々は正式に主権国家としての歴史をスタートさせたのです。ちなみにギルバート諸島も翌1979年にキリバス共和国として独立を達成しています。

ツバルは国名によって多大な恩恵を受けた国の1つです。日本なら.jp、アメリカなら.us、オーストラリアなら.auというように、ウェブ上では国別トップレベルドメイン(ccTLD)が割り振られていますが、ツバルでそれに相当するドメインは.tv。テレビを表すこのccTLDに目をつけたツバル政府は、2000年に.tvの使用権をアメリカの企業に5000万米ドルで売却することに成功しました。元来、標高が低く海水の浸入しやすいツバルの土壌は、塩害のため農業には不向きで、産業といえばココナッツを乾燥させたコプラを細々と輸出し、あとは自給自足のための小規模な漁業が存在するだけでした。もちろん極小国とはいえ、それだけで一国の財政を賄いきるのはさすがに不可能で、独立当初から既に外国からの援助に頼りきりだったわけですが、このドメイン売却により、ツバルは一気に国家予算の3倍以上に相当する大きな現金収入を得たのです。そもそも人口1万人の貧しい小国ツバルでは、パソコンの台数もインターネットの使用人口も少なく、ドメインを持て余していました。しかしこれの使用権を売却することにより、ツバルは国連の分担金を支払うメドが立ち、2000年に189番目の国連加盟国という地位を晴れて獲得したのです。この出来事はインターネットが1つの国家の財政を救い、更に国際社会へと送り出すきっかけになった事例として、世界から大きく注目されています。

国旗は1978年の独立と同時に制定されました。ツバルは英連邦王国(独立後も引き続き、イギリスの王を自国の元首として戴く国)であり、イギリスのブルーエンサインを基調としたデザインが採用されています。カントン部に置かれているのはイギリス国旗ユニオン・ジャックで、両国の歴史的な深い紐帯を表すと同時に、地色の水色はツバルを覆う太平洋を象徴します。フライ側の9つの星は、ツバルを構成する9つの島を示しています。1995年まで星の数は8つでしたが、これは独立当時の有人島が8つだったことに由来します。国名もツバル語で「立ち上がる8つの島」という意味ですしね。また1995-1997年の間は、ユニオン・ジャックを用いない、全く異なるデザインの国旗を使用していました。

縦横比:1対2

【旧国旗】
Flag_of_Tuvalu_(1995-1997).png
1995年から1997年まで用いられた国旗です。標高の低い珊瑚礁の島国ツバルは、地球温暖化に伴う海面上昇によって国土が水没する危険性があるとして、世界各国(特に先進国)に予防対策をとるよう求めていますが、その呼びかけに対してイギリスが冷淡であるとして、当時のカムタ・ラタシ首相がユニオン・ジャックを使用しない国旗を公募。また同時に英連邦王国という制度を廃止し、独自の大統領を置く共和制への移行も視野に入れられました。しかし1996年末に政権が交代すると、国旗は翌1997年にもとのユニオン・ジャックをあしらった国旗に戻り、共和制移行論議も白紙に戻りました。

この国旗は約300点にのぼった公募の中から、ツバルの学生フィレモニ・パニシの案を採用したもので、配色は赤が独立を、白が平和を、青がツバルを囲む太平洋を表します。星の数は前国旗の8つが踏襲されています。ホイスト側には国章が配されており、ツバルの青空と伝統的な集会所、海を表す青と黄の波線という意匠が、8つのバナナの葉とムール貝に囲まれています。下部のリボンにはツバル語で「全能者(神)のためのツバル」という、国の標語であり国歌のタイトルにもなっている言葉が書かれています。


ツバル
Tuvalu

Map_of_Tuvalu.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:オセアニア
面積:約26km² (八丈島のおよそ1/3強)
人口:約1.1万人
都市人口率:59.7%
首都・最大都市:フナフティ (ツ・英:Funafuti)
主要民族:ポリネシア系ツバル人96%
       少数のミクロネシア系キリバス人など。
主要言語:ツバル語と英語が公用語だが、英語が使用される機会は
       公私の別を問わず少なく、政府機関も外交分野以外では
       母語であるツバル語の使用を推奨している。他には東部
       のヌイ島で話されるキリバス語。
主要宗教:キリスト教98%
        ツバル・キリスト教会(会衆派。事実上の国教)97%
        他にローマ・カトリック教会、セブンズデー・アドヴェンティスト教会など。
       バハーイー教1%
       極少数のイスラム教など。
       ※ツバル憲法は信教の自由を認めているが、国民の大半が
        信仰するツバル・キリスト教会については国家行事上の特
        権を与えており、実質的に国教として扱っている。

[政治・軍事]
独立:1978年10月1日
国連加盟:2000年9月5日
政治体制:立憲君主制(英連邦王国)、議院内閣制
元首:国王
    イギリスの国王が兼任、世襲制。
    国王の名代として総督が元首の権限を代行。
    総督は現地人有識者の中から首相が推薦し、国王が任命。
政府:内閣
    議会が首相を指名し、総督が任命。
    他の閣僚は首相の指名に基づき、総督が任命。
議会:一院制の国会
    15議席。直接選挙制。任期4年。国家を構成する9島のうち、
    7島から2名ずつ(大選挙区)、人口の少ないヌクラエラエ島は
    1名(小選挙区)を選出。最南端のニウラキタ島は独自の選挙
    区と見なされず、ニウタオ島の大選挙区に内包されている。
政党制:無党制 (注1)
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:なし (正規軍なし)
備考:小規模な警察隊を除き、軍事力を持たない。

[経済・通信・その他]
中央銀行:無し
通貨:オーストラリア・ドル (dollar, AUD, 注2)
国内総生産(GDP):3800万米ドル
1人当たりGDP:3800米ドル
GDP構成比:農林水産業10~20%
        鉱工業20~30%
        サービス業50~60%
        (2002年を最後に統計が発表されていないため、推計値)
労働人口:不明 (4000人前後と推計される)
失業率:不明 (統計なし)
輸出額:640万米ドル (2014年)
輸出品:魚介類、ココナッツ製品(コプラが大半)、再輸出品
輸出先:日本36%、タイ30%、フィジー5%、豪州4%
輸入額:1億1300万米ドル (2014年)
輸入品:船舶、精製石油、鉄鋼、穀物、肉類、木材、衣類、家具
輸入元:フィジー40%、日本20%、中国15%
固定電話回線数:2000回線
携帯電話回線数:4000回線
ccTLD:.tv
インターネット利用者数:約5000人
車両通行:左側通行
国別電話番号:688
平均寿命:66.6歳 (男性64.3歳、女性68.8歳)

[日本との関係]
国交樹立:1979年4月
相手公館:無し (日本を兼轄する他国駐在公館も無し)
駐日相手国人数:2人 (永住者無し)
相手輸出額:233万米ドル
相手輸出品:魚介類のみ
日本公館:無し (駐フィジー大使館が兼轄)
在留日本人数:2人 (永住者無し)
日本輸出額:2170万米ドル
日本輸出品:船舶が9割以上、他に機械類、化学薬品
現行条約:1986年 漁業協定
       1990年 民間漁業協定

(注1)
伝統的に政党を結成する政治文化が無く、議会選後に近しい主義の議員が集まって緩やかな会派を形成するに留まる。政党の結成そのものは禁止されていない。

(注2)
硬貨のみツバル・ドル(dollar, TVD)が存在し、ツバル国内ではオーストラリア・ドルと等価の貨幣として使用することも出来るが、実際に日常通貨として広く流通しているのはオーストラリア・ドルである。ツバル・ドルは海外の収集家向けの記念品という傾向が強く、しばしば奇抜なデザインの記念硬貨が発行され、人気を集めている。小国であるが故に発行数が少なく、入手が困難になることも多いが、収集家の旺盛な需要は産業基盤の脆弱なツバルにとって貴重な外貨獲得手段にもなっている。また、紙幣に関してはオーストラリア・ドルのみが流通している。


《国歌「全能者のためのツバル」》
制定:1978年
作曲・作詞:アファエセ・マノア

全能者のためのツバル。
それは我らの最も敬愛する言葉。
ツバルの民として、またその指導者として、
我らは皆、知っている。
天より常なる神のご加護を受けし我らは、
その愛のもとで、この地で団結せんことを。
我ら、神の偉大なる定めを信じ、強固な礎を築かん。
全能者のためのツバル。
永久に我らの歌であれ。

《国名の由来》
ツバル語で「立つ」を意味するtuと「8」を意味するvaluが合わさり、「8つの島々」を表す。現在ツバルは9つの島から成るが、独立時は領内で人が住む島が8つだったため、このような国名となった(当時無人島だったのは最南端のニウラキタ島)。かつて日本語では原語に近いトゥヴァルと表記されていた。

1975年までの旧称であるエリス諸島(Ellice Islands)は、1819年にこの地を訪れた貨物船レベッカ号の所有者だった、イギリスの豪商エドワード・エリスから。

コメント

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役立ちました。

すごく役に立ちました!
宿題で悩んでいたので、よかったです。
ありがとうございました。

Re: 役立ちました。

お役に立てて幸いです。ネット以外にも色んな文献を探してみてくださいね。国に関する面白い本は世の中にたくさんありますから。
プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

ツイッターやってます。基本的に更新情報はここでつぶやいてます。

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