朝鮮 (北朝鮮)

朝鮮 (北朝鮮)
조선 (チョソン) (朝鮮語)
North Korea (ノース・コリア) (英語)

DPR_Korea_(North_Korea).png

東アジアに位置する朝鮮半島のうち、北部を統治する社会主義国です。朝鮮半島は1945年の第二次大戦終結後、日本の植民地支配から解放されましたが、今度は南部がアメリカ、北部がソ連の占領下に置かれ、ドイツと並んで冷戦による国家・民族分断の典型例となりました。当初はしかるべき時期に南北同時選挙を実施し、新たに招集された議会に新政府を組織させ、いずれは統一国家として独立させる予定でしたが、米ソはここでも選挙方法や選挙後の体制をめぐって激しく対立したため、選挙を実施できる状況は醸成されず、1948年5月には遂にアメリカの主導で南部が単独選挙を強行。これを受け、同年8月には南部を施政圏とする大韓民国(韓国)の建国が宣言されました。当然、この一方的な動きにソ連は反発し、同年9月に北部を朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)として独立させ、双方は自身の正統性をめぐって激しく対立。1950年には朝鮮戦争が勃発し、同じ民族が3年間にわたって壮絶な戦闘が繰り広げるという悲劇に陥ります。1953年に両者は休戦に至ったものの、この戦争で南北は自らの支配地を荒廃させることとなり、長い間その後遺症に苦しむことになります。以後も南北関係は基本的に敵対関係を修復出来ておらず、和解や統一に向けた話し合いも一進一退のまま推移しており、当分は現状の分断状態が固定化される見通しです。

一方、内政では朝鮮労働党の一党独裁と軍事優先路線のもと、建国から1994年まで金日成(キム・イルソン)、1994年から2012年まで金正日(キム・ジョンイル)、以後は現在に至るまで金正恩(キム・ジョンウン)と、指導者の世襲が3代にわたって続いています。本来、全人民の平等を謳う社会主義国において、1つの家系により最高権力者の地位が世襲されるのは例が無く、金王朝と揶揄されることもしばしばだとか。経済面では石炭や鉄鉱石といった豊富な地下資源を軸に、鉄鋼の生産など重工業に偏重した路線が採られているものの、寒冷な気候と科学的根拠を無視した恣意的な開墾が続けられたことにより農地は荒れ、低調な食糧生産によりしばしば飢饉が発生しています。それでもソ連・東欧社会主義圏が存在していた頃には、数々の援助や無償に近いバーター貿易によって、貧しいながらもある程度の経済運営は行えていましたが、1980年代後半から1990年代初期にかけてそれらが消滅したことで最大の援助元を失い、北朝鮮当局すら90年代を「苦難の行軍」と呼んで停滞期だった事実を認めています。この状態を打破しようと、漸進的ながら改革路線も試みられるようになりましたが、硬直した社会主義体制と徹底した情報封鎖、そしてアメリカを中心とする西側諸国への敵視政策のもとでは外資も思うように呼び込めず、業を煮やした北朝鮮は軍拡と周辺国へのミサイル発射、更には核開発を進めて国際社会に危機感を募らせ、それらを止める替わりに援助を引き出すという恫喝外交を繰り広げるようになりました。このミサイル問題は北東アジアの安全保障における最大の懸案事項となり、2006年からは国連からも経済制裁の対象とされていますが、一度決めた事をなかなか改めない(指導者の誤りを認めることになるため)ことで知られる北朝鮮政府にこの路線を放棄するつもりは無いようで、現在も関係各国を悩ませています。

北朝鮮の国旗は1948年の建国に伴い制定されました。白、青、赤は朝鮮人の伝統的な民族色であり、北朝鮮、韓国ともにこの配色を国旗に使用しています。北朝鮮国旗は正式には藍紅色共和国旗と呼ばれますが、韓国では侮蔑的な意味合いを込めて人共旗(人民共和国旗の略)と呼ぶことが多いようです。韓国国旗と同様、北朝鮮国旗も易学の思想に基づいた宇宙生命を表す円(太極)を持ち、その中の赤い星は社会主義革命と人民の団結を象徴します。また上部と下部の青い帯は独立、友好、勝利、輝く未来を、白い帯は純潔、光明、民族の優位性を、赤い帯は愛国心と社会主義の実現、祖国解放のために戦った人民の血をそれぞれ象徴します。ちなみにこの国旗を縦に掲揚する場合、白円の中の星が横倒しにならないよう、星の向きを通常の横掲揚旗に比べて反時計回りに90度回転させた縦掲揚旗を使用します。

縦横比:1対2


朝鮮民主主義人民共和国
조선민주주의인민공화국
(チョソン・ミンジュジュウィ・インミン・コンファグッ)
Democratic People's Republic of Korea
(デモクラティック・ピーポゥズ・リパブリック・オブ・コリア)


Map_of_the_DPR_Korea_(North_Korea)

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:アジア
面積:約12.1万km² (北海道の約1.4倍)
人口:約2515万人
都市人口率:60.9%
首都・最大都市:平壌 (Pyongyang)
主要民族:朝鮮人99%以上。
       中国系も極めて少数だが存在する。
主要言語:朝鮮語が公用語。単一民族国家の色彩が強く、他言語の
       使用はほぼ見られないが、貿易業関係者はある程度の中
       国語やロシア語能力を身に着けている場合が多い。
主要宗教:無宗教65%(注1)
       巫俗(朝鮮半島古来の精霊信仰)16%
       天道教(注1)13%
       仏教5%
       キリスト教2%

[政治・軍事]
独立:1948年9月9日
国連加盟:1991年9月17日 (韓国と同時加盟)
政治体制:共和制、社会主義国
元首:国務委員会(注2)委員長
    議会が選出、任期5年、再選制限なし。
政府:内閣
    首相と閣僚は議会が選出。
議会:一院制の最高人民会議
    687議席。直接選挙制(小選挙区制)。任期5年。
政党制:朝鮮労働党による一党独裁
     他に2つの小政党が存在するが、労働党と統一戦線を
     結成している衛星政党であり、野党の機能は持たない。
国政選挙権:17歳以上の国民全て。ただし軍人は年齢に関係無く
        選挙権を与えられる。また、国政選挙の運営実態上、
        実質的には義務投票制である。
兵役制度:徴兵制
国防費:不明 (85~105億米ドルと推計される)
軍組織:朝鮮人民軍 (核兵器保有国)
     陸軍95万人
     海軍6万人
     空軍11万人
     他に独立兵科として、弾道ミサイルの運営を統括する戦略ロケ
     ット軍(人員数不明)や、国境警備と治安任務を担当する内務軍
     (約18万人)を含め、民間人も取り込んだ多数の準軍事組織も保
     有しており、詳細な数値は測定不可。

[経済・通信・その他]
中央銀行:朝鮮民主主義人民共和国中央銀行
通貨:朝鮮ウォン (won, KPW)
国内総生産(GDP):173億9600万米ドル (2014年推計)
1人当たりGDP:696米ドル (2014年推計)
GDP構成比:農林水産業22%
        鉱工業47%
        サービス業31% (2014年推計)
労働人口:不明 (1400万人前後と推計される)
失業率:不明 (建前上存在しないため、統計データが無い)
輸出額:28億3000万米ドル
輸出品:石炭、衣類、魚介類、鉱石(鉄、鉛、銀等)、鉄鋼、ナッツ類、化学薬品
輸出先:中国83%、インド4%、パキスタン2%
輸入額:34億7000万米ドル
輸入品:機械類、繊維原料、精製石油、鉄鋼、ゴム製品、自動車、医薬品
輸入元:中国85%、インド3%、ロシア2%、タイ2%
固定電話回線数:117万9000回線
携帯電話回線数:324万1000回線
国別電話番号:850
ccTLD:.kp
インターネット利用者数:不明
車両通行:右側通行
平均寿命:70.6歳 (男性66.6歳、女性74.5歳)

[日本との関係]
国交樹立:無し(国連加盟国で唯一未承認)
相手公館:無し(在日本朝鮮人総連合会が実質的に窓口の役割を持つ)
駐日相手国人数:日本は北朝鮮国籍を承認していないため、統計上、
           韓国籍に内包される。詳細は韓国の記事を参照の
           こと。
日本公館:無し
在留日本人数:統計無し
現行条約:無し

(注1)
信教の自由は憲法上は保障されているが、実質的には宗教活動には労働党当局より厳しい制約が設けられているため、無宗教が圧倒的多数を占める。代わりに金一族の権力を正当化するための主体思想と呼ばれる概念が広く国民に流布されており、信仰を持つ者に対しても主体思想から逸脱しない範囲での活動が求められる。

なお、天道教は李朝(李氏朝鮮)末期の東学を継承する宗教で、儒学・仏教・キリスト教の思想に朝鮮半島古来の自然観や人間観が混在したもの。世界には「ハヌルニム」と呼ばれる神に類する上位の存在がいるが、その前では全ての人々が平等であるという教えを基本理念とし、社会主義思想とは相互理解性が高かった。そのため朝鮮戦争の際は北朝鮮を支持し、組織の維持が認められ、北朝鮮国内では例外的に比較的広く受容された宗教となっている。天道教は、朝鮮労働党の施政下で存在が許された2つの衛生政党の1つ(天道教青友党)を結成し、政権の支持母体の1つとなっている。

(注2)
2016年6月の憲法改正に伴い新設された国家機関であり、「最高政策指導機関」と位置付けられる。憲法上、構成員は委員長、副委員長を含めて全員が最高人民会議により5年任期で選出されることとなっている。


《国歌「愛国歌」》
制定:1947年
作曲:金元均 (キム・ウォンギュン)
作詞:朴世永 (パク・セヨン)
備考:現在の大韓民国や旧大韓帝国の国歌もタイトルは同じだが、
    内容はそれぞれ全く違うので注意。

朝は輝け、この江山(河川と山脈のこと)。
金銀の資源豊かな三千里(注1)、美しき我が祖国。
半万年の長き歴史に、燦爛(さんらん)たる文化で育ちたる、
才知に秀でたる人民のこの栄光。
身も心も全て捧げ、この朝鮮、永久に奉じん。

《国名の由来》
朝鮮語では조선(チョソン)と表記される。李朝(李氏朝鮮、1392-1910年)時代の地理志『東国輿地勝覧』によれば、古代中国人がこの地を「朝の光が鮮やかで綺麗な地」を表す朝光鮮麗と呼んだことに由来する。李朝が国号を大朝鮮国とし、1897年に大韓帝国と改称するまで用いたのが、朝鮮を国名に使用した確証のある最初の例である。一方、伝説上の古代王朝が用いていたとする資料もある。

日本では北朝鮮という表記が一般的だが、この国自身は「北朝鮮」という呼称は国家名ではなく地域名であるとして嫌っており、公式国名を用いるか、もしくは朝鮮や「共和国」という呼称を用いる。また、韓国は半島全体が自国領であるとの認識から、朝鮮という名称は用いず북한(プッカン、北韓)と呼ぶ。これは北朝鮮側も同様であり、同国は韓国を남조선(ナムチョソン、南朝鮮)と呼んでいる。

南北共に英語名にはKorea(コリア)を用いているが、これは918年から1392年にかけて存在した高麗(고려、コリョ)王朝を語源としており、通常はそれに「南」を表すSouth(サウス)または「北」を表すNorth(ノース)を付けて区別される。英語の公式国名を略して、DPR KoreaDPRKとする場合もある。

(注1)
三千里は半島の南北の距離を表し、転じて国土全て(朝鮮半島全土)を意味する言葉として扱われる。韓国国歌にも用いられており、双方は半島全域が自国の領域だと主張している。

コメント

非公開コメント

プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

ツイッターやってます。基本的に更新情報はここでつぶやいてます。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

外部リンク
QRコード
QRコード
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
Flag counter