ホンジュラス

ホンジュラス
Honduras (スペイン語・英語)

Flag_of_Honduras.png

南北アメリカ大陸の接合部を成す中米地域に位置する山岳国ホンジュラスは、他の中米諸国と同様、16世紀よりスペインの植民地支配を受けてきました。1821年に北方でメキシコ帝国が独立すると一旦その一部となり、1823年には帝政崩壊を機にグアテマラエルサルバドルニカラグアコスタリカと共に中米連邦を樹立。しかし連邦の政治は主導権争いのため不安定で、特に自由主義の風潮が強いエルサルバドルと、保守主義者の牙城であったグアテマラの対立は激しく、1830年代後半から連邦は騒乱状態に陥ります。結局、こうした状況に嫌気がさしたホンジュラスが1838年にいち早く連邦からの分離を宣言すると、他の構成国もそれにならって次々と連邦から独立。最後まで体制維持に固執していたエルサルバドルも1841年に連邦の解体を承認し、旧構成国はそれぞれ個別の国としての歴史を歩むことになりました。以後も中米の再統合に向けた運動はエルサルバドル人を中心に度々行われてきたものの、いずれも失敗に終わり、現在は共同市場の採用や出入国管理の簡素化(共同パスポートの導入が代表的)、将来的な通貨統合といった、分野別の緩やかな連帯を構築する路線にシフトしています。

独立後のホンジュラスには北の大国アメリカの資本が流入し、プランテーション農業を軸とした経済運営が進められました。特にアメリカのユナイテッド・フルーツ社資本によるバナナの輸出は国家の基幹産業となり、特定の第一次産品の輸出に依存するホンジュラスは「バナナ共和国」と呼ばれたそうです。しかしその恩恵はアメリカ人とごく一部の地主層、そして都市部の貿易業者にのみ集中し、国民の大多数は貧農として過酷な労働を強いられる時代が続きます。歴代政権も大国アメリカの意向に反抗することは不可能と判断し、外資支配に基づく不公平な社会制度を黙認したため、不満により次第に政情も不安定化。その結果、20世紀のホンジュラスはクーデターと内乱、軍事独裁、更には周辺国との国境紛争といった暗い歴史を刻み続けることになります。1980年代に入るとようやく民政が根付き、安定化に向けて歩み出しましたが、2009年には大統領選の結果をめぐって再び騒乱が発生するなど、治安は依然として回復されていません。経済も近年伸張しつつある繊維産業を除いて、バナナやコーヒー豆の輸出に頼る農業依存が続いており、ホンジュラス国民の半数以上が貧困線以下の生活を余儀なくされているとのこと。経済成長の速度も遅く、今や南北アメリカ大陸全ての国・地域の中でワースト5に入る貧しい国となってしまっています。

苦しい事情を抱えるホンジュラスですが、国旗はかつて希望に満ちた独立を祝った中米連邦時代の国旗を色濃く反映したものとなっています。上下の青帯はホンジュラスの国土を囲むカリブ海と太平洋を、白は統一と平和、そして山がちな国土から山頂を彩る積雪を象徴します。中央に置かれた5つの星は、かつて中米連邦を構成していた5つの国(左上がグアテマラ、左下がエルサルバドル、右上がニカラグア、右下がコスタリカ、そして中央がホンジュラス)を示すもので、中米が再び一体となって共に発展していく様子を表します。実は中米連邦から最初に脱退し、連邦解体の原因を作ったホンジュラスですが、連邦の不安定な政治体制の改善、構成国間の対立解消という条件さえ満たされれば復帰しようと考えていたようで、独立後も長らく独自の国旗は制定せず、1866年に現国旗に移行するまで中米連邦の国旗を維持していました。後にエルサルバドルを中心に連邦再結成の動きが強まると、ホンジュラスは終始これを支持し、1920年代には実際に再統合の寸前までこぎつけたこともありました。結局、この試みを最後に再結成の動きは沈静化したものの、この国旗は現在までホンジュラスが中米の連帯に向けて並々ならぬ意気込みを持っていることを示しています。

縦横比:1対2

【旧国旗】
Central_American_Federal_Flag_and_Former_Flag_of_Honduras.png
かつての中米連邦で1824年に連邦旗として採用された国旗です。1838年にホンジュラスは連邦から脱退しましたが、1866年に現国旗を制定するまではこの旗を用い続けました。配色の意味は現国旗と同じですが、青が薄く、水色となっています。もとは南米で同じく連邦国家として成立したリオ・デ・ラプラタ連合州(現アルゼンチン共和国)の国旗をモチーフにした旗とのこと。

中央部には同じ長さの辺で構成されていることから転じて平等を表す正三角形が配され、その中にはラテンアメリカで自由を象徴するフリギア帽、平和を示す虹、連邦構成国を表す5つの火山が描かれています。この意匠は現在もニカラグア国旗に受け継がれ、中米統合の象徴的な役割を果たしています。この正三角形はスペイン語で「中央アメリカ連邦共和国」と書かれた帯で周囲を覆われ、その上部には勝利と栄光を表す月桂樹の葉が飾られています。


ホンジュラス共和国
República de Honduras
Republic of Honduras


Map_of_Honduras.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:北アメリカ (大陸部)
面積:約11.2万km² (本州のおよそ半分)
人口:842万人
都市人口率:54.7%
首都・最大都市:テグシガルパ (Tegucigalpa)
主要民族:メスティーソ(先住民と白人の混血)90%
       先住民(インディオ)7%
       アフリカ系黒人2%
       ヨーロッパ系白人1%
主要言語:スペイン語が公用語で、国民のほとんどが大半が母語として
       使用する。他にミスキート語などの先住民言語も一部で用いら
       れるが、他言語の話者も家庭・コミュニティ外ではスペイン語を
       共通語として話すことがほとんど。バイーア諸島では特有の英
       語系クレオール言語も使われる。
主要宗教:キリスト教90%
        ローマ・カトリック教会49%
        プロテスタント諸派(福音派が大半)41%
       無宗教8%
       少数のイスラム教、ユダヤ教など。

[政治・軍事]
独立:1821年9月15日(スペインから)、1838年11月5日(中米連邦から)
国連加盟:1945年11月17日(原加盟国)
政治体制:共和制、大統領制
元首:大統領
    直接選挙制。任期4年。再選禁止。
政府:内閣(首相職なし)
    閣僚は大統領が任命。
議会:一院制の国民議会
    128議席。直接選挙制(比例代表制)。任期4年。
政党制:ホンジュラス国民党とホンジュラス自由党による二大政党制
     だが、近年は「自由と再建」という名の第三党の伸長も著しく、
     多党制への移行傾向がみられる。
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:3億2900万米ドル
軍組織:ホンジュラス軍
     陸軍8300人
     海軍1400人
     空軍2300人

[経済・通信・その他]
中央銀行:ホンジュラス中央銀行
通貨:レンピラ (lempira, HNL)
国内総生産(GDP):201億5200万米ドル
1人当たりGDP:2494米ドル
GDP構成比:農林水産業13.8%
        鉱工業26.6%
        サービス業59.6%
労働人口:363万人
失業率:3.9%
輸出額:81億6500万米ドル
輸出品:繊維製品(主に衣類)、コーヒー豆、バナナ、魚介類、パーム油、機械部品
輸出先:米国36%、ドイツ9%、エルサルバドル8%、グアテマラ6%、ニカラグア6%
輸入額:112億5000万米ドル
輸入品:石油製品、繊維原料、機械類、化学製品、鉄鋼、穀物、自動車
輸入元:米国35%、中国14%、グアテマラ9%、メキシコ7%、エルサルバドル5%
固定電話回線数:49万7000回線
携帯電話回線数:804万8000回線
国別電話番号:504
ccTLD:.hn
インターネット利用者数:176万人
車両通行:右側通行
平均寿命:71.2歳 (男性69.5歳、女性72.8歳)

[日本との関係]
国交樹立:1935年2月
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:169人 (永住者78人)
日本公館:大使館 (テグシガルパ)
在留日本人数:148人 (永住者46人)
現行条約:1974年 査証(ビザ)相互免除取極
       1975年 青年海外協力隊派遣取極
       2007年 技術協力協定


《国歌「ホンジュラス国歌」》
制定:1915年
作曲:カルロス・アルトリング
作詞:アウグスト・コエージョ

そなたの旗は空の輝き。
一塊の雪が横切り、その深淵には5つの聖なる青き星。
そなたの紋章には海がさざめき、荒々しき波が湛えられる。
剥き出しの火山の頂(いただき)には、
清らかなる輝きを放つ星がある。

この聖なる紋章を守るため、
我らは行進せん、おお祖国よ、死に向かいて。
我らが天命、豊かならんことを。
そなたの愛を胸に死すならば、
その聖なる旗を守り、
その栄光に身を包まれながら、
数多の民が、ホンジュラスよ、死に勇まん。
栄誉と共に。

《国名の由来》
スペイン語、英語共に表記はHondurasだが、公用語であるスペイン語では最初のHの発音が欠落してオンドゥラスと読む。日本語表記のホンジュラスは英語読みのホンデューラスに基づく。

16世紀初頭にこの地への上陸を試みた探検家クリストファー・コロンブスが船から錨(いかり)をおろそうとしたところ、錨が海底に辿り着かなかったため、近辺の海域を「深み」を意味するスペイン語のhondura(オンドゥーラ)と称したことが由来とされている。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

ツイッターやってます。基本的に更新情報はここでつぶやいてます。

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