パラオ

パラオ
Belau (ベラウ) (パラオ語)
Palau (パラウ) (英語)

Flag_of_Palau_.png

太平洋南西部、ミクロネシア地域に浮かぶ島国パラオは、かつて周辺の北マリアナ諸島ミクロネシア連邦マーシャル諸島といった島々と共に南洋群島と呼ばれ、日本と深く関わってきたことで有名です。というのも、第一次世界大戦の戦後処理のために開かれたパリ講和会議において、ドイツの植民地だったこれらの島々は国際連盟の委任統治下に置かれることが決まり、最も近い戦勝国だった日本がその施政者として選ばれたのです。中でもパラオは、コロールに群島統治機関「南洋庁」が置かれたことから日本との繋がりがとりわけ深く、日本人と現地人の間に生まれた日系人が住み、今でも高い社会的地位を得ている(注1)ほか、今でもパラオ語の語彙には日本語由来の言葉が多く含まれ、統治者として開発を進めた日本への感情も概して好意的とされています。なお、2万人程度の小規模な人口しか持たないパラオにとって、かつて南洋庁が置かれていたコロールは唯一の街らしい街であり、2006年にマルキョクに首都が移転されるまではパラオ政治の中枢として機能していたほか、現在も国民の約6割が集中する国内最大都市という地位を維持しており、経済・文化面では依然としてパラオの中心地であり続けています。

日本による統治は第二次大戦後に終わり、1947年に旧南洋群島は国際連合の信託統治下に置かれ、今度はアメリカがその施政者となりました。アメリカはいずれ群島を「ミクロネシア連邦」として一括独立させるつもりでしたが、マーシャル諸島とパラオは1978年に行われた住民投票で連邦参加を否決し、個別に独立する道を選択。住民投票の翌年にはパラオ独自の自治政府が成立し、1981年の元旦には独自の憲法が施行され、自治国家パラオ共和国が成立するなど、自治権は段階的に拡大していきました。そして1994年、国防権を引き続きアメリカに委ねる換わりに、多額の経済援助を得る「自由連合協定」を締結した上で、パラオは晴れて主権国家として独立することを認められたのです。国土・人口共に小規模な遠隔の島国パラオにとって、この莫大な支援は財政上の核心的利益と見なされていますが、一方でそれだけに頼る脆弱な国家経済から抜け出そうという努力も続けられており、ココナッツの栽培と近海でとれるマグロの輸出、そして最大の外貨獲得源(援助を除く)となっている観光業を三本柱として産業育成を図っています。特にマグロの対日輸出がパラオの総輸出額に占めるシェアは圧倒的であり、日本による統治終了から半世紀以上が経過した現在でも、依然としてパラオと日本は強い結び付きを保っています。

パラオは1979年の自治政府発足に伴い、独自の国旗を公募。選考の結果、水色の地色に黄(金色)の円を配したジョン・ブラウ・スキーボング氏のアイデアが採用され、1981年の元旦に正式に制定されました。水色はパラオを囲む太平洋を表すと同時に、外国による支配からの脱出を、黄の円はパラオの夜空に浮かぶ満月と国家の成熟を象徴します。パラオ人は伝統的に月が動植物を含む自然のサイクルを支配しているという文化を持ち、重要な行事も基本的に月の満ち欠けを基準に実施されていました。そのような大切な存在が、海の上に満月という形で浮かぶ様子が、パラオが円熟の時を迎えて遂に独立国として国際社会に船出する姿と重なり、採用されたとのことです。ちなみに、日章旗(日の丸)とデザインが似ているため、長らく日本では「親日国パラオの国旗は、日の丸をモデルにしている」という説が流布されてきましたが、これは国旗製作者であるスキーボング氏自らが「特別にそれを意識してデザインしたわけではない(注2)」として否定しているほか、パラオ政府も公式にそのような文書・声明は出していません。また、満月は旗がなびいた際にちょうど中央に見えるよう、少しホイスト側にずらされています。他にこのような工夫がされている国旗の例に、バングラデシュ国旗があります。

縦横比:5対8


パラオ共和国
Beluu er a Belau (ベルー・エラ・ベラウ)
Republic of Palau (リパブリック・オブ・パラウ)


Map_of_Palau.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:オセアニア
面積:約459km² (種子島よりわずかに大きい)
人口:約2.1万人
都市人口率:87.1%
首都:マルキョク (パ・英:Melekeok)
最大都市:コロール (パ・英:Koror, 2006年まで首都)
主要民族:ミクロネシア系パラオ人70%
       東南アジア系(フィリピン人の出稼ぎ労働者がほとんど)15%
       他に北東アジア系(日系人が最大)など。
主要言語:パラオ語と英語が公用語で、主に政府機関や教育、ビジネス
       といった公的な場では英語が、その他の日常的な場面ではパ
       ラオ語が用いられる傾向が強い。他にフィリピンからの出稼ぎ
       労働者はフィリピン語(フィリピノ語)も話すほか、日本の委任
       統治時代を経験した高齢層は日本語も理解可能。南部のアン
       ガウル州はパラオ語と英語に加え、日本語も州公用語に指定
       しているが、州内での使用者は国勢調査によるとゼロであり、
       形の上だけの公用語に留まっている。
主要宗教:キリスト教76%
        ローマ・カトリック教会49%
        プロテスタント諸派27%
       無宗教14%
       モデクゲイ教9% (注2)
       少数の仏教、土着の精霊信仰など。

[政治・軍事]
独立:1981年1月1日(自治国)、1994年10月1日(完全独立)
国連加盟:1994年12月15日
政治体制:共和制、大統領制
元首:大統領
    直接選挙制、任期4年、3選禁止。
政府:内閣(首相職なし)
    閣僚は大統領が任命。
議会:二院制の国民議会(単に国会とも)
    ●元老院(上院)
     13議席。直接選挙制(大選挙区制)。任期4年。
    ●代議院(下院)
     16議席。直接選挙制(小選挙区制)、任期4年。
政党制:無党制 (注3)
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:なし (正規軍なし)
備考:小規模な警察隊を除き、軍事力を持たない。
    国防に関してはアメリカが責任を負う。

[経済・通信・その他]
中央銀行:無し
通貨:米ドル (dollar, USD)
国内総生産(GDP):2億5100万米ドル
1人当たりGDP:1万4350米ドル
GDP構成比:農林水産業3~4%
        鉱工業15~20%
        サービス業76~81%
労働人口:不明 (9500人~1万人前後と推計される)
失業率:不明 (5%未満と推計される)
輸出額:1850万米ドル
輸出品:魚介類、船舶、ココナッツ製品、再輸出品
輸出先:日本42%、インド21%、米国14%、トルコ11%、グアム7%
輸入額:1億6300万米ドル
輸入品:機械類、精製石油、飲料、自動車、船舶、米、肉類、鉄鋼、医薬品
輸入元:米国34%、シンガポール13%、日本12%、中国8%、台湾7%
固定電話回線数:7400回線
携帯電話回線数:2万4000回線
国別電話番号:680
ccTLD:.pw
インターネット利用者数:不明 (1万人前後と推計される)
車両通行:右側通行
平均寿命:73.2歳 (男性69.9歳、女性76.5歳)

[日本との関係]
国交樹立:1994年11月2日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:51人 (永住者11人)
相手輸出額:783万米ドル
相手輸出品:魚介類が9割半以上
日本公館:大使館 (コロール)
在留日本人数:370人 (永住者79人)
日本輸出額:1920万米ドル
日本輸出品:機械類、自動車と部品、船舶、鉄鋼、精密機器、ゴム製品
現行条約:2005年 技術協力協定

(注1)
特に政界における日系パラオ人の影響力は強く、初代大統領ハルオ・レメリク、第6代大統領クニオ・ナカムラは国家の最高指導者を務めたほか、ピーター・スギヤマ、サンティ・アサヌマ、ハーシー・キョータ、ジョシュア・コシバといった多くの日系政治家が、歴代総選挙を通過し、政府の要職を務めてきた。

(注2)
日本における旗章学研究の第一人者として国旗に関する多くの著書を残している、世界の国旗普及協会の吹浦忠正(ふきうら・ただまさ)理事が、2010年にスキーボング氏との対談で日の丸とパラオ国旗の類似性・関連性についてたずねたところ、このような返答があったという。詳細は同理事のブログに記されているため、「パラオ国旗の作者との対話」で検索のこと(当方から勝手にリンクを張るのは申し訳ないため、このような回りくどい誘導となっています)。

(注3)
モデクゲイ教は土着の伝統宗教とキリスト教の教義が混合した、パラオ独自の宗教。

(注4)
伝統的に政党を結成する政治文化が無く、議会選後に近しい主義の議員が集まって緩やかな会派を形成するに留まる。政党の結成そのものは禁止されていない。


《国歌:「我らがパラオ」》
制定:1980年
作曲:イメセイ・エゼキエル
作詞:複数人による合作

パラオは強さと力を以って前進する。
古来の習慣を守り続けながら。
一つの国家で、安全かつ確かな、一つの政府が、
輝きのもとで、柔らかな光にたゆたう。

《国名の由来》
パラオ語ではBelau(ベラウ)、英語ではPalau(パラウ)と表記される。1994年にパラオが正式に独立するまでは、日本で発行される地図でもベラウと表記するか、もしくは両者を併記することが多かったという。20世紀初頭まではPelew(ペリュー)という表記も見られたが、現在はほとんど用いられない。

パラオはマレー語で「島」を意味するpulau(プラウ)を由来とする。しかしベラウの語源については詳しい資料が無く、一般的にプラウもしくはパラオが現地語に転化したとする説が唱えられているのみである。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

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