パプアニューギニア

パプアニューギニア
Papua Niugini (パプア・ニウギニ) (トクピシン語)
Papua-Matamata Guinea (パプア=マタマタ・グィネア) (ヒリモツ語)
Papua New Guinea (パプア・ニュー・ギニー) (英語)

Papua_New_Guinea.png

パプアニューギニアは太平洋南西部のメラネシア地域に浮かぶ、世界第2位の面積を持つ島であるニューギニア島の東半部、並びにその周辺の島々を領土とする国です。ニューギニア島の中央部は険しい山脈が東西に走り、国土を地勢的に分断しているほか、例え地図上は近い集落同士であっても、深い熱帯雨林や縦横無尽に走る河川に阻まれて相互の陸上交通が困難だったことも相まって、この国の人々は他国のように文化や部族慣習を融合させて「1つの民族」という意識を醸成する経験を持たないまま、集落ごとに培われた独自の伝統的な生活様式を現代まで保ち続けてきました。この状態は独立国家となった現在も、首都ポートモレスビーなど一部の都市圏を除いて基本的に変わっていないため、とにかく部族数が多く、世界で最も複雑かつ多様な文化を持つ国とされています。ただそんな中でも、国家として必要な「パプアニューギニア国民」という意識の醸成が怠られたわけでなく、旧宗主国オーストラリアの言語である英語と、現地のメラネシア系言語が融合して発生したトク・ピシン語を公用語の1つに定めたり、陸上交通が困難ならばと各集落に飛行場を設置して格安の航空路を発達させ、部族間の相互連絡を簡易化したりと、1つの国家としての統一性を生み出す政策は適宜行われています。

パプアニューギニアの近代史は19世紀末、ニューギニア島の東半部のうち、山脈を挟んだ北部と島嶼部(ニューギニア地域)をドイツが、南部(パプア地域)をイギリスが植民地化したことに始まります(なお、西半部は同世紀半ばまでにオランダが植民地化し、オランダ領東インドに組み込んでいました。現インドネシア領)。1901年になると、イギリスの自治領として連邦を結成したオーストラリアがパプア地域の施政権を引き継ぎ、次いで第一次大戦の敗北によりドイツが全植民地を喪失したため、国際連盟がニューギニア地域を委任統治地域とし、その施政者にオーストラリアを選択することとなりました。両地域は共にオーストラリアの統治下にありながらも、行政上は別個の海外領土として扱われてきましたが、統治の効率化と将来的な独立を見越して1949年に統合され、新たにオーストラリア領パプアニューギニアが成立。以後、段階的に自治権が付与され、1964年には初の統一選挙を実施。これにより、現地の自治議会による独自法の制定権が認められたほか、自治議会が選出する現地政府の元で独立に向けた準備が進められ、1975年には遂にパプアニューギニア独立国の樹立が叶いました。その後は大半が部族慣習を守って生活する地方の国民と、植民地時代に新たに建設された都市で暮らす国民の双方の権益を侵さない範囲で、少しずつパプアニューギニアという1つの国の建設を進めており、豊富な地下資源をテコに経済成長を目指しています。

独立4年前の1971年に制定されたパプアニューギニアの国旗は、自治政府が数年中に実現する独立を見越して新国旗案を公募し、数ある作品の中から、当時15歳の女学生だったスーザン・カリケの作品を選抜したものです。赤と黒はこの国に数多く存在する諸部族が、相互の交流が極めて限られているにもかかわらず、伝統的に共通の部族シンボルとして用いてきた色で、赤はこの国に燦々と照りつける太陽と人々の血潮溢れる活力を、黒はパプアニューギニア国民の肌の色を象徴します。フライ側に黄色で描かれた意匠は、極楽鳥の別名でも知られる国鳥のアカカザリフウチョウですが、この鳥には金色の羽を持ち、風を食べて生きるという伝説があり、古くから自由と飛躍に通ずる鳥とされてきたほか、現在では富と幸福、そして親善のシンボルとされます。ホイスト側の南十字星は、旧宗主国オーストラリアの国旗にも見られるように、南半球に位置する太平洋諸国の多くが共通の意匠として用いているものであり、太平洋諸国の連帯意識を表します。

縦横比:3対4


パプアニューギニア独立国
Independen Stet bilong Papua Niugini
(インデペンデン・ステト・ビロング・パプア・ニウギニ)
Gau Hedinarai ai Papua-Matamata Guinea
(ガウ・ヘディナライ・アイ・パプア=マタマタ・グィネア)
Independent State of Papua New Guinea
(インディペンデント・ステイト・オブ・パプア・ニュー・ギニー)


Map_of_Papua_New_Guinea.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:オセアニア
面積:約46.3万km² (日本の約1.2倍)
人口:約763万人
都市人口率:13.0%
首都・最大都市:ポートモレスビー (ト:Pot Mosbi 英:Port Moresby)
主要民族:700以上の部族が混在。系統上はメラネシア系、パプア系、
       ネグリト系、ポリネシア系、ミクロネシア系の5大系統に大別
       されるが、一体意識は薄く、小規模な諸部族に対する学術上
       の総称に過ぎない。
主要言語:トク・ピシン語(ピジン英語)、ヒリモツ語、英語の3公用語。
       他に850にも及ぶ諸部族語が混在し、相互の意思疎通は
       困難である。基本的に政府機関、教育、メディアなど公的
       な場では英語が用いられる傾向があるが、母語率は2%
       以下に過ぎず、高等教育を受けた少数のエリート層が使う
       上流階級の言語と見なされている。他方でトク・ピシン語は
       英語とメラネシア系言語をベースとして成立したクレオール
       言語であり、国民の半数以上が理解可能で、諸部族をまた
       ぐ国家規模の共通語として機能する。ヒリモツ語も南部では
       ある程度通用するが、トク・ピシン語に比べると共通語として
       の地位は弱い。
主要宗教:キリスト教95%
        ローマ・カトリック教会26%
        パプアニューギニア福音ルター派教会18%
        セブンズデー・アドヴェンティスト教会13%
        ペンテコステ派10%
        パプアニューギニア・ソロモン諸島合同教会(長老派)10%
        パプアニューギニア福音同盟6%
        パプアニューギニア聖公会3%
        バプテスト教会3%など。
       各部族固有の伝統的な精霊信仰の影響も非常に強く、
       表向きはキリスト教徒を名乗りつつも、実質的にはキリ
       スト教と精霊信仰が融合した独自の信仰体系を奉ずる
       教会が多い。他に少数のバハーイー教、イスラム教など。

[政治・軍事]
独立:1975年9月16日
国連加盟:1975年10月10日
政治体制:立憲君主制(英連邦王国)、議院内閣制
元首:国王
    イギリスの国王が兼任、世襲制。
    国王の名代として総督が元首の権限を代行。
    総督は議会の指名に基づき、国王が任命。
政府:国家行政評議会(内閣に相当)
    総督が議会最大会派の指導者を首相に任命。
    他の閣僚は首相の指名に基づき、総督が任命。
議会:一院制の国民議会(単に国会とも)
    111議席。直接選挙制(小選挙区制)。任期5年。
    うち22議席は各州の知事選を兼ねる(注1)。
政党制:多党制。小党乱立の傾向が強い。
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:1億600万米ドル
軍組織:パプアニューギニア国防軍
     陸軍1600人
     海軍200人
     空軍100人

[経済・通信・その他]
中央銀行:パプアニューギニア銀行
通貨:キナ (kina, PGK)
国内総生産(GDP):169億2900万米ドル
1人当たりGDP:2222米ドル
GDP構成比:農林水産業23.0%
        鉱工業37.8%
        サービス業39.2%
労働人口:427万人
失業率:不明 (2~3%と推計される)
輸出額:90億6000万米ドル
輸出品:天然ガス、金、原油、木材、銅鉱、パーム油、ニッケル製品、魚介類、コーヒー
輸出先:日本27%、豪州24%、中国19%、台湾6%、ドイツ3%
輸入額:45億4000万米ドル
輸入品:機械類、精製石油、船舶、自動車、鉄鋼、米、化学薬品、肉類、衣類
輸入元:豪州25%、中国22%、シンガポール13%、マレーシア8%、韓国4%
固定電話回線数:15万回線
携帯電話回線数:356万1000回線
国別電話番号:675
ccTLD:.pg
インターネット利用者数:約91万人
車両通行:左側通行
平均寿命:67.3歳 (男性65.0歳、女性69.5歳)

[日本との関係]
国交樹立:1975年9月16日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:72人 (永住者6人)
相手輸出額:24億6000万米ドル
相手輸出品:天然ガスが8割、他に原油、銅鉱、精製石油、コーヒー豆、魚介類
日本公館:大使館 (ポートモレスビー)
在留日本人数:170人 (永住者無し)
日本輸出額:1億6700万米ドル
日本輸出品:自動車と部品、機械類、ゴム製品、セメント、鉄鋼
現行条約:1979年 青年海外協力隊派遣取極
       1997年 航空協定
       2014年 投資協定

(注1)
パプアニューギニアの最高行政区画は20州、1自治州、1国家首都地区(ポートモレスビー)の3種類に分けられる。各区画の首長は知事だが、州民全体による直接選挙や中央政府による任命ではなく、国会総選挙の際に各区画に1つずつ設けられた特別選挙区から選出される。特別選挙区はその区画の中核となる地域に置かれ、この選挙区から当選した国会議員が、自動的に各区画の知事に就任するという仕組みである。すなわち、パプアニューギニアでは知事が必ず国会議員の役職を兼務する。

なお、独立を目指すブーゲンヴィル自治州だけは事情が異なり、知事とは別に、州民全体の直接選挙で選出した独自の自治州大統領が置かれる。ブーゲンヴィルでは知事の権限は中央政府と自治州政府との連絡など名目的なもので、実際には自治州大統領が内政自治権を行使する。


《国歌「おお、立ち上がれ、全ての息子たちよ」》
制定:1975年
作曲・作詞:トーマス・シャクレイディー
備考:作曲と作詞を手掛けたシャクレイディーはイギリス国籍を持ちながら
    も、オーストラリアの海兵隊員として勤務し、なおかつ当時オースト
    ラリアの統治下にあったパプアニューギニアの警察音楽隊を率いて
    いた人物である。

おお、立ち上がれ、この地に生きる全ての息子たちよ
自由であることの喜びを歌おう
神を讃え、そこにあることを祝いながら
パプアニューギニア

山岳から海に至るまで叫ぼう
パプアニューギニア

声高らかに響かせ、告げ知らそう
パプアニューギニア

《国名の由来》
トクピシン語ではPapua Niugini(パプア・ニウギニ)、ヒリモツ語ではPapua-Matamata Guinea(パプア・マタマタ・グィネア)、英語ではPapua New Guinea(パプア・ニューギニー)と表記される。英語名の頭文字をとってPNGと略される場合も多い。

パプアはメラネシア系の言葉で「縮れ毛」を意味するpapuwah(パプワ)に由来するが、これは現地人の髪の毛が実際に細かく縮れている様子から。ニューギニアはスペイン人探検家イニゴ・オルティス・デ・レテスが現地の住人を見た際、かつて彼が探検したアフリカのギニア湾周辺の黒人とよく似ていたため、「新しいギニア」を表すNueva Guinea(ヌエバ・ギネア、英語でNew Guinea)と名付けたことに由来する。「ギニア」の語源についてはギニア共和国の記事を参照のこと。


【おまけ:ブーゲンヴィル自治州
Otonomos region bilong Bogenvil
(オトノモス・レギオン・ビロング・ボゲンヴィル)
(トクピシン語)
Autonomous Region of Bougainville
(オートノモス・リージョン・オブ・ブーゲンヴィル)
(英語)
Flag_of_Bougainville.png   Map_of_Bougainville.gif
ニューギニア島の東部に浮かぶブーゲンヴィル島の旗です。この島はパプアニューギニア国内の他の地域とは異なり、2005年より独自の自治政府を持っています。これは1975年から続けられた同島の独立運動の結果であり、自治政府発足から10-15年程度の移行期間を経た後、独立を問う住民投票が実施される予定です。

旗は独立運動旗として1975年より用いられてきたものであり、2005年の自治政府発足を受けて自治州の旗となりました。青は海と平和を、緑はブーゲンヴィルの土地を表し、中央には光を放つ太陽と、島の成人の儀式で使われる頭の飾りを図案化した意匠が描かれています。

ちなみにパプアニューギニアの政治体制は、イギリスの国王を元首として戴く立憲君主制(英連邦王国)であり、首相職はありますが大統領職はありません。しかしブーゲンヴィル自治政府は独自の政治体制として共和制を採用しているため、中央政府には無い大統領職が存在します。

人口:約26万人
言語:トク・ピシン語(ピジン英語)と英語が公用語
州都:ブカ (ト・英:Buka, 注1)
通貨:キナ (kina, PGK)
ccTLD:.pg

(注1)
ブカは臨時州都。将来的には島内最大都市であるアラワに移転する予定。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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