ウクライナ

ウクライナ
Україна(ウクライィーナ) (ウクライナ語)
Ukraine (ユークレイン) (英語)

Flag_of_Ukraine.png

ウクライナは東ヨーロッパに位置し、南部に黒海を抱える国です。かつては東スラヴ3大民族(ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人)の祖とされるルーシという民族が栄え、9世紀から14世紀頃にかけて首都キエフはヨーロッパ東部におけるスラヴ圏の一大拠点になったことで知られますが、その後は長らくウクライナ人独自の国家は存在せず、中世はモンゴルやポーランド、近代以降はロシアの勢力下に置かれました。1917年のロシア革命に伴う混乱の中、この地にはウクライナ人民共和国を中心に「ウクライナ」を名乗る多くの政権が誕生し、内戦状態に陥ったもものの、1919年に成立したソビエト政権が地域の支配権を握り、1922年のソ連成立によりその構成共和国の1つとなりました。ウクライナがようやく独立国としての地位を獲得するのは、ソ連が崩壊した1991年末のことです。

ウクライナの国土は広大かつ肥沃な平原で覆われており、西部を中心に古くからヨーロッパ有数の穀倉地帯として知られてきました。それだけに歴史上、様々な民族や国家に狙われ、特に寒冷なロシアにとってはウクライナの獲得こそが文字通り死活問題でした。このような背景もあり、ソ連時代にはカザフスタンと並んで連邦の食料生産拠点として開発されています。一方、石炭や鉄鉱石などの鉱産資源の豊富な東部では、ソ連政府が推し進めた大規模な工業化により、多くのロシア人が労働者として送り込まれています。よって農耕を中心とした伝統的な生活様式が比較的守られ、ウクライナ人の比重が高い西部に比べると、東部にはウクライナ国籍ではあるものの民族的にはロシア人という人々が多く、文化的にもロシア化が進んでいます。

国旗は独立翌年の1992年にウクライナ最高会議(国会)で制定されたもので、ウクライナ人の民族色である青と黄による横二分割旗となっています。この二色は前述のキエフを拠点としたルーシ国家において、9世紀後期から10世紀初期に王座に就いていたヴォロディーミル1世が制定した紋章の色とされ、ロシア革命後の混乱期には民族主義が盛り上がっていたウクライナ人の各勢力が自分の政権の象徴として使うようになりました。また、当時は色の順番が逆で、黄が上で青が下だったといいます。一般的に、青はウクライナの青空を、黄は穀倉地帯ウクライナで実る豊富な小麦を表すとされていますが、青は水、黄は火または向日葵という解釈をする場合もあります。

縦横比:2対3

【旧国旗】
Ukraine (1949-1991)
ソ連を構成していた15共和国の1つ、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の国旗です。1949年から1992年まで用いられました。ソ連時代の各共和国の国旗はソ連国旗にそれぞれの意匠を盛り込んだものでしたが、この旗ではウクライナの伝統色である青、黄のうち、青い線が引かれています。

ちなみにソ連時代に特例として、ソ連の枠とは別枠で、ウクライナと白ロシア(ベラルーシ)は国連に加盟していました。よってソ連の他の共和国に比べると、この旗は見る機会が多かったのかもしれません。


ウクライナ
Україна (ウクライィーナ)
Ukraine (ユークレイン)

Map_of_Ukraine.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。分離状態にあるクリミア半島を含む。

[地理]
位置:ヨーロッパ
面積:約60.4万km² (日本の約1.6倍)
人口:約4465万人
都市人口率:69.7%
首都・最大都市:キエフ (ウ:Київ 英:Kiev)
主要民族:ウクライナ人78%
       ロシア人17% (クリミア半島在住者が大半)
       少数のベラルーシ人、モルドバ人、クリミア・タタール人など。
主要言語:ウクライナ語が公用語で、西部を中心に、国民の6割前後が
       母語としている。ロシア語も東部とクリミアで広く通用し、3割
       の国民が母語としているが、公的な地位は与えられていない
       ため、通常はウクライナ語と併用される。他にベラルーシ語や
       クリミア・タタール語などの少数民族言語。
主要宗教:無宗教62%
       キリスト教34%
        正教会27%
        カトリック教会(東方典礼カトリック教会とローマ・カトリック教会)6%
        プロテスタント諸派1%
       少数のイスラム教、ユダヤ教など。

[政治・軍事]
独立:1991年8月24日
国連加盟:1945年10月24日 (原加盟国、注1)
政治体制:共和制、半大統領制
元首:大統領
    直接選挙制。任期5年。3選禁止。
政府:内閣
    首相は大統領が任命するが、議会の承認が必要。
    他の閣僚は首相が指名し、大統領が任命。
議会:一院制の最高会議
    450議席。直接選挙制(小選挙区比例代表並立制)。
    選出枠は比例代表と小選挙区制が半々。任期5年。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:徴兵制
       2013年に志願制に移行したが、クリミア・東部紛争を受けて、
       翌2014年に徴兵制が復活した。
国防費:44億1000万米ドル
軍組織:ウクライナ軍
     陸軍25万人
     海軍6500人
     空軍3万6300人
     特殊部隊4000人

[経済・通信・その他]
中央銀行:ウクライナ国立銀行
通貨:フリヴニャ (hryvnia, UAH)
国内総生産(GDP):906億1500万米ドル
1人当たりGDP:2005米ドル
GDP構成比:農林水産業13.3%
        鉱工業24.4%
        サービス業62.3%
労働人口:1740万人
失業率:9.5%
輸出額:355億1000万米ドル
輸出品:鉄鋼、トウモロコシ、小麦、大豆、大麦、鉄鉱石、植物油、野菜、機械類
輸出先:ロシア13%、トルコ7%、中国6%、エジプト6%、イタリア5%
輸入額:389億4000万米ドル
輸入品:天然ガス、精製石油、石炭、機械類、医薬品、自動車、有機化合物
輸入元:ロシア20%、ドイツ10%、中国10%、ベラルーシ7%、ポーランド6%
固定電話回線数:911万3000回線
携帯電話回線数:6072万1000回線
国別電話番号:380
ccTLD:.ua
インターネット利用者数:約1968万人
車両通行:右側通行
平均寿命:72.0歳 (男性67.1歳、女性76.9歳)

[日本との関係]
国交樹立:1992年1月26日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:1945人 (永住者788人、特別永住者2人)
相手輸出額:7億1100万米ドル
相手輸出品:タバコ製品、鉄鉱石、トウモロコシ、大麦、小麦、アルミ製品
日本公館:大使館 (キエフ)
在留日本人数:193人 (永住者18人)
日本輸出額:2億4200万米ドル
日本輸出品:自動車と部品、機械類、繊維原料、ゴム製品、精密機器
現行条約:2004年 技術協力・無償資金協力協定
       2008年 京都議定書共同実施・グリーン投資スキーム協力覚書
       2012年 原発事故後協力協定
       2015年 投資協定

(注1)
国連創設当時はソ連を構成する15共和国の1つだったが、白ロシア(現ベラルーシ)と共に、ソ連の加盟枠とは別枠での加盟が認められた。当初ソ連は15共和国全ての加盟を求めていたが、アメリカがそれに対抗して全48州(当時)の加盟を示唆したため、ソ連も要求をウクライナと白ロシアのみに引き下げた経緯がある。

一方、前身の国際連盟が、アメリカとソ連という2つの超大国を欠いた状態で第二次大戦に突入した結果、国際社会の協調と一貫行動という理念を果たせなくなった反省から、ある程度はソ連の要求も呑まざるを得ない事情もあった。いわばソ連を国連という枠組みに繋ぎとめておくために、国際社会が容認した例外的措置である。


《国歌「ウクライナの栄光は滅びず」》
制定:1992年 (歌詞は2003年に修正)
作曲:ミハイル・ヴェルビツキー
作詞:パヴロ・チュビンスキー

ウクライナの自由と栄光は未だ滅びず。
運命は我らウクライナ人に再び微笑むだろう。
我らの敵は、日の光に晒された朝露のように消え去るだろう。
兄弟たちよ、我らはこの自由の地を自ら治めよう。

我ら、臆することなく自由のために心身を捧げよう。
兄弟たちよ、その身がコサックの末裔であるならば。

《国名の由来》
ロシア語で「辺境」を表すという説と、ウクライナ語で「国」を表すという説がある。

前者の支持者は「地方」を表すロシア語краи(クラーイ)の派生語であるокраина(オクラーイナ。「辺境」の意)を由来とし、ロシアから見てウクライナが南の辺境と見なせたことが語源と主張する。一方後者の支持者は、最初のУ(ウ)は「○○の中」というニュアンスを付加する前置詞で、「地域」や「境界」を表すкраї(クライィー)に接尾語на(ナ)が付いてУкраїна(ウクライィーナ。「境界の中」から転じて「国」)となったと主張している。

英語ではUkraineと表記するが、発音は「ユークレイン」になるので注意。

旧国名
1917-
1921
 ウクライナ人民共和国
(ウ)Українська Народна Республіка
  (ウクライィーンスィカ・ナロードナ・レスプーブリカ)

(英)Ukrainian People's Republic
  (ユークレイニアン・ピーポゥズ・リパブリック)
1919-
1937
 ウクライナ社会主義ソビエト共和国
(ウ)Українська Соцiалiстична
   Радянська Республiка
  (ウクライィーンスィカ・ソツィアリスチーチュナ・
   ラジャーンスィカ・レスプーブリカ)

(英)Ukrainian Socialist Soviet Republic
  (ユークレイニアン・ソーシャリスト・ソヴィエト・リパブリック)
1937-
1991
 ウクライナ・ソビエト社会主義共和国
(ウ)Українська Радянська
   Соцiалiстична Республiка
  (ウクライィーンスィカ・ラジャーンスィカ・
   ソツィアリスチーチュナ・レスプーブリカ)

(英)Ukrainian Soviet Socialist Republic
  (ユークレイニアン・ソヴィエト・ソーシャリスト・リパブリック)
1991-
1996
 ウクライナ共和国
(ウ)Республіка Україна
  (レスプーブリカ・ウクライィーナ)

(英)Republic of Ukraine
  (リパブリック・オブ・ユークレイン)

※1919-1921年の間は2つの政権が並立し、内戦状態にあった。


【おまけ:クリミア自治共和国
ウ:Автономна Республiка Крим
  (アヴトノムナ・レスプーブリカ・クルィム)

露:Автономная Республика Крым
  (アフタノームナヤ・リスプーブリカ・クルィム)

英:Autonomous Republic of Crimea
  (オートノモス・リパブリック・オブ・クリミア)

Flag_of_Crimea.png   Crimea-map.gif

(以下の解説はクリミア共和国として独立を宣言した2014年3月17日、並びにロシアへの編入手続きが完了した同3月21日以前のもの。情勢が固まり次第、更新予定)

国の南部、黒海に突き出たクリミア半島を領土とする自治共和国で、ロシア系住民が多いウクライナ東部の中でも特にその傾向が強い地域として知られます。もとは15世紀から、オスマン帝国の保護下でタタール人がクリミア・ハン国という独自の政権を築いていたものの、黒海を睨む軍事的要衝であるこの地を狙った帝政ロシアによって1783年に併合され、以後はスラヴ系民族(ロシア人が大半。一部にウクライナ人)の入植が盛んとなりました。ソ連時代に入るとロシアの管轄下で自治共和国へと昇格しましたが、少数派となり不満を募らせたタタール人が、第二次大戦でドイツに協力したとの嫌疑をかけたスターリンにより、多くのタタール人が中央アジアへと追放され、クリミアのロシア人比率は更に高まりました。また同時に、クリミアからは自治共和国という地位も取り上げられ、単なる州へと降格されています。

こうして名実共にロシアのものとなったクリミアですが、共産党の一党支配に対する反発心が強いウクライナを懐柔するため、ソ連政府の主導で1954年にウクライナへと管轄権が委譲されることになりました(名目上の理由はロシアによるウクライナ領有300周年記念)。この頃は両国ともソ連という同じ国の一員だったため問題にはならなかったものの、ソ連末期になるとウクライナの独立が現実味を帯びるようになり、18世紀以来一貫して優位を保持してきたロシア系住民は危機感を募らせます。1991年1月には住民投票でクリミア自治共和国の復活が決まり、同年12月のソ連崩壊後にウクライナが正式に独立すると、翌1992年にはクリミア共和国として分離独立を宣言。更にはロシアへの再併合を求めて反政府闘争を繰り広げるようになりました。ロシアも当初、自国の黒海艦隊の母港があるクリミアの編入に積極的で、分離派を支援していましたが、他国の分離派を支援する一方で自国の分離派(特にチェチェン)を武力で鎮圧していることに対して国際社会から非難されたため、支援を停止。最大の援助元を失ったクリミア分離派は独立を諦め、1995年より再びウクライナ内の自治共和国という地位に復帰しています。

クリミアの国旗は1992年、ウクライナからの独立を宣言した際に掲げられたもので、独立運動が収束した現在でも、自治共和国の国旗として公式に用いられ続けています。1999年にはクリミア議会により正式に国旗として法制化されました。青、白、赤の配色はロシア国旗を参考にしたものであると同時に、クリミアの過去、現在、未来を象徴します。

[地理]
面積:約2.6万km²; (ウクライナ全土の約4.32%)
人口:約196万人
首都:シンフェロポリ (ウ:Сімферополь 露:Симферополь)
             (英:Simferopol)
主要民族:ロシア人59%
       ウクライナ人25%
       クリミア・タタール人12%
主要言語:形式的にはウクライナ語、実質的にはロシア語が公用語。
       他にクリミア・タタール語など各民族語。
主要宗教:ロシア・ウクライナ人はキリスト教(正教会)と無宗教。
       タタール人はイスラム教スンナ派。

[政治]
自治共和国成立:1991年2月26日
政府:閣僚評議会(内閣に相当)
    首相はクリミア議会議長とウクライナ大統領の協議
    に基づき推薦され、議会の承認によって就任する。
    他の閣僚は議会が選出する。
議会:一院制の自治共和国最高会議
    直接選挙制、任期4年。
政党制:多党制

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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