レソト

レソト
Lesotho
(ソト語・英語)

Flag_of_Lesotho.png

レソトはアフリカ南部に位置する山岳の王国であり、周囲全方面を南アフリカ共和国に囲まれた内陸国です。国土の全てがドラケンスバーグ山脈の中にあり、標高1400m以上の高山地帯を領土とすることから、「天空の王国」「アフリカのスイス」の異名を持ち、国土の中には一旦南アフリカ領内に出ないとたどり着けない地域もあるなど、土地の起伏の激しさは世界屈指です。一見すると人の居住には不向きな場所と思われがちですが、レソトはアフリカでも珍しく全土が温帯に属する過ごしやすい環境で有名で、適度な降雨と肥沃な土壌もあって、農業と畜産業に非常に適した土地柄でもあります。国土面積が小さいため、急増する人口の全てをまかなうほどの食糧は生産できませんが、それでも国民の8割は農業と畜産業に従事しており、首都マセルなど数少ない都市部を少し離れれば、古きレソト文化の息吹を現在まで色濃く伝える存在であり続けています。またアフリカでは例外的に、国民の99%以上をバントゥー系のソト族が占める、極めて単一民族色の強い国であることも作用して、政情は他のアフリカ諸国に比べると相対的に安定しており、民族問題が健全な経済建設の足かせにならないという強みも持っています。もっとも、同族という内向きのまとまりだけで社会の安定を保てるわけはなく、1986年に当時アパルトヘイト(人種隔離)政策を敷いて国際的に孤立状態にあった南アフリカが、自国に有利な政権をレソトに建てようとして、レソト軍幹部にクーデターをけしかけたり、2014年には政党同士の対立から議会を停止した首相が、軍主導の騒乱で国外に脱出する(その後、議会再開を条件に帰国と復職を許される)といった、外的要因や社会的不満に基づく政争は存在しており、政情が必ずしも安定的とは言い難い状況ではあります。

レソトの地は古くから狩猟採集を基軸としたサン族(かつてブッシュマンと呼ばれた人々)の拠点の1つとなっていましたが、16世紀に入ると北方の支配地をズールー族などに奪われたソト族が南下し、支配権争いを繰り広げました。結果、19世紀初頭にサン族は駆逐され、ソト族がこの地の新たな支配者となり、初代国王モショエショエ1世のもとで王権を樹立。その後はイギリスの進出により南アフリカにおける支配地を脅かされたボーア人(オランダ系白人)が、新たな居住地を求めてソト族の土地を圧迫し始めたため、ソト族はイギリスに保護を要請。これに基づき、イギリスは「バストランド」の名で1868年にこの地を保護国化しました。しかしイギリスは1871年にはバストランドの植民地化を宣言して保護の名目を撤回、また周辺でもボーア人の権力が打ち破られ、外圧が緩まったこともあり、第二次大戦後からは徐々に独立に向けた動きも見え始めました。その中核となったのが、レアブア・ジョナサン率いるバストランド国民党(独立後はバソト国民党)で、1959年に領域の自治が認められてから一貫して支持を集め、1966年にレソト王国として独立してからも、ジョナサンは首相として、事実上の一党制のもとで国を支配しました。その後、前述の南ア主導のクーデターでジョナサン政権は崩壊し、軍と政党、更には王室まで巻き込んだ政争が続きましたが、1990年代半ばにようやく安定し、議会制民主主義に基づく立憲君主国として、現在まで独立国としての地位を維持しています。

現在の国旗は3代目に当たり、独立40周年を記念して2006年に制定されました。青は「天空の王国」たるレソトが戴く広大な空と豊かな雨、白は平和、緑は肥沃な国土と国家の繁栄、黒はレソトがアフリカの黒人国家の一員であることを表します。また同時に、白・青・緑はレソトが独立以来一貫して国旗に用い続けた民族色でもあります。中央に置かれているのはモコロトロ(英語でBasotho hat)と呼ばれるソト人の伝統的な装束帽で、麦わら編みの円錐形を特徴とし、国内では国王と民族の権威を象徴する存在として広く普及しています。

縦横比:2対3

【旧国旗】
Lesotho_First_flag.png
1966年の独立に伴い制定された初代国旗です。配色は独立を主導し、1986年までの長期政権を担ったバソト国民党の党旗から採用されました。青、白、緑の意味は現在と同じですが、赤は信頼と信仰心を表していました。また、中央部のややフライ側寄りには白抜きのモコロトロが配されています。1986年のクーデターで廃止。

Lesotho_second_Flag.png
1986年、レソト陸軍のジャスティン・レハンヤ司令官率いる軍事クーデターが発生。レハンヤは軍事政権を樹立し、自らその議長に就任。王政自体は存続したものの、翌1987年に王権の象徴であるモコロトロを削除した新国旗を制定しました。

軍事政権が制定した2代目国旗は、青、白、緑(意味は現在と同じ)の配色に、ソト族の伝統的な武器を配した猛々しい意匠となっています。武器は中央の盾に投げ槍と投げ棒を交差させたもので、全体で国土防衛を象徴します。軍人主導で制定された旗らしさが出ていますね。

レハンヤ軍事政権はアパルトヘイト政権下の南アフリカと親密な関係を築きましたが、それは国際的な非難と孤立を招くことにもなり、1991年の無血クーデターで崩壊。1993年にはレソトは再び議会中心の立憲君主国に戻ったものの、国旗は長らく変更されてきませんでした。しかし旧軍事政権が制定した国旗を使い続けることに、議会制民主主義を国是とするレソト国内では批判が高まり、独立40周年を迎える2006年にモコロトロを復活させた現国旗に移行しました。


レソト王国
Muso oa Lesotho
Kingdom of Lesotho


Map_of_Lesotho.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:アフリカ
面積:約3.0万km² (中国地方より少し小さい)
人口:212万人
都市人口率:27.3%
首都・最大都市:マセル (Maseru)
主要民族:バントゥー系黒人のソト族が総人口の99%以上。他にヨーロッ
       パ系白人や他のバントゥー系黒人の諸民族も存在するが、極
       めて少数である。
主要言語:ソト語と英語が公用語。ソト語はほとんどの国民が母語として
       使用する筆頭言語となっている。英語も政府機関や教育など、
       公共性の高い分野では用いられるが、あくまで第二言語として
       の使用に留まり、一般国民の理解率は3割前後である。
主要宗教:キリスト教90%
        プロテスタント諸派(福音派と聖公会が主)45%
        ローマ・カトリック教会45%
       伝統宗教(ソト族固有の精霊信仰)8%
       少数のイスラム教、バハーイー教など。

[政治・軍事]
独立:1966年10月4日(外交権の回復。内政権はそれ以前より保持)
国連加盟:1966年10月17日
政治体制:立憲君主制、議院内閣制
元首:国王
    セーイソ(モシェシュ)家による世襲制。原則として終身制だが、
    ソト族の有力部族長で構成される「首長会議」が廃位権を持つ。
政府:内閣
    下院最大会派の指導者が自動的に首相に就任。
    他の閣僚は首相が任命する。
    (他の立憲君主国のような、国王による形式的な任命は無い)
議会:二院制の国会
    ●元老院(上院)
     33議席。ソト族の有力部族長の家系が22議席を占有。
     残る11議席は与党の指名に基づき、国王が任命する。
     任期は無く、与党指名枠は下院総選挙の度に選定される。
    ●会議院(下院)
     120議席。直接選挙制(小選挙区比例代表並立制)。任期5年。
     80議席は小選挙区から、40議席は比例代表に基づき選出する。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:4900万米ドル
軍組織:レソト国防軍
     陸軍2000人 (一部に航空隊を含む)

[経済・通信・その他]
中央銀行:レソト中央銀行
通貨:ロティ (loti, LSL 複数形はマロティ Maloti)
国内総生産(GDP):21億8100万米ドル
1人当たりGDP:1019米ドル
GDP構成比:農林水産業7.4%
        鉱工業31.1%
        サービス業61.5%
労働人口:92万人
失業率:不明 (25~30%と推計される)
輸出額:8億5200万米ドル
輸出品:繊維製品、飲料水、木材、家畜と畜産品(特に羊毛)、電力
輸出先:南アフリカと米国が大半 (割合不明)
輸入額:16億8800万米ドル
輸入品:食料品(特に穀物)、自動車、機械類、石油製品、鉄鋼、医薬品
輸入元:南アフリカが9割以上
固定電話回線数:4万5000回線
携帯電話回線数:223万7000回線
国別電話番号:266
ccTLD:.ls
インターネット利用者数:45万人
車両通行:左側通行
平均寿命:53.0歳 (男性52.9歳、女性53.1歳)

[日本との関係]
国交樹立:1971年7月
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:13人 (永住者無し)
日本公館:無し (駐南アフリカ大使館が兼轄)
在留日本人数:4人 (永住者3人)
現行条約:1977年 査証(ビザ)相互免除取極


《国歌「レソト、父祖の地よ」》
制定:1966年
作曲:フェルディナン=サムエル・ロール
作詞:フランソワ・コワラール
備考:曲はスイスの歌謡集から。歌詞はフランス人宣教師の作。

レソト、父祖の地よ。
世で最も美しい地よ。
我らを生み、我らを育みし、愛する地。

神よ、レソトを護りたまえ。
我らを争いと困難から解き放ちたまえ。
おお、この地、我らが父祖の地に、
平和が保たれんことを。
平和と、雨と、繁栄のもとで。

《国名の由来》
国の最大民族ソト族の名に由来し、「ソト人の国」を意味する。ソトとは「黒人」や「黒い肌」を意味し、それに「○○の国」や「○○の土地」を表す定冠詞Le(レ)が付加された国名。これがバソトとなると「ソト族」そのものを表し、セソトだと「ソト語」を意味するようになる。植民地時代の旧称バストランド(Basutoland)は、バソトが英語発音的に転訛した上で、landが付加されたもの。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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