リベリア

リベリア
Liberia
(英語)

Flag_of_Liberia.png

リベリアはアフリカ大陸西部、大西洋岸に位置する共和国です。19世紀以降、アフリカ大陸は帝国主義下の欧州列強による領土獲得競争の波にさらされ、20世紀初頭にはリベリアとエチオピアを除く全ての地域が植民地化、ないしは保護国化されました。そんな中で何故小国であるリベリアが独立を保ち続けられたかというと、当時既に世界有数の大国となっていたアメリカのバックアップが関係しています。19世紀以降、アメリカは段階的に黒人奴隷制を廃止していましたが、後に一部の白人たちの間で自由になった黒人のアフリカへの帰還を支援しようという運動が拡大し、実際に1820年代からこの地への解放奴隷の入植を進めました。1824年には最大の居住区がモンロヴィアと改称され、後に首都となるこの街を中核に解放奴隷たちの勢力圏は飛躍的に発展・拡大。1833年には地域全体が「自由の地」を意味するリベリアと名付けられ、1845年にモンロヴィアで憲法制定会議が開催されました。こうして独立に向けた準備が着々と進められた結果、2年後の1847年には遂にリベリア共和国の建国が宣言されたのです。すなわち、大国アメリカの意向によって強力に推進された黒人国家建設運動を踏みつぶすわけにもいかず、欧州諸国もリベリアにだけは手を出すことができなかったというわけですね。

さて、こうして解放奴隷(アメリカ系リベリア人=アメリコ・ライベリアン)の新天地として建国されたリベリアは、当然のように自分たちの国家建設に協力したアメリカと緊密な関係を築き、安定した外交関係を享受していましたが、内政面では別の問題を抱えていました。アメリコ・ライベリアンがこの地に定住する前に住んでいたクペレ族などの先住民との関係です。国民の大多数を占める先住民にとっては、例え同じ黒人であろうと、彼らによる土地の占有はまぎれもなく侵略行為であり、各地で反乱が続出。しかしリベリア政府もこれに対して武力による鎮圧と徹底的な差別政策で応じたため、双方は融和することなく、「自由の地」であるはずのリベリアは、アメリコ・ライベリアンによる一党制に基づいた圧政国家となってしまったのです。この体制は先住民出身の軍人サミュエル・ドウ曹長によるクーデターが発生した1980年まで、建国から実に133年間にわたって維持され、リベリア国民としての統一した意識形成を妨げることとなりました。また、クーデター後の政情も安定せず、1989年からは武装勢力が国内各地を跋扈する内戦に突入。中央政府側でも独裁者が生まれては倒れる無政府状態が続き、戦争一色の荒れ果てた国土だけがリベリアを覆うことになりました。隣国シエラレオネの反政府武装勢力(革命統一戦線)の介入もあって内戦は長期化し、国民の実に1/4が死亡、もしくは難民として国外に逃れる凄惨な状況に陥ります。結局、この内戦は米軍を中核とする平和維持部隊の上陸により2003年に終結し、2年間の暫定政権による統治を経て2005年に大統領選を実施。アフリカ初の民選女性大統領としてエレン・ジョンソン=サーリーフが当選し、ようやく安定化に向けて動き出しました(リベリア再建への功績から、大統領は2011年にノーベル平和賞を受賞)。当然、内戦で荒廃しきった国土を復興させるのは、貧しいこの国の力のみでは不可能であり、リベリアは国際社会からの援助を受けながら、今度こそ自由な国を築くため、少しずつ歩み始めています。幸いにもダイヤモンドなどの鉱産資源は豊富なため、経済成長の潜在力はありますから。

リベリアの国旗は1847年の独立宣言と同時に制定されたものです。前述のようにアメリカの強い影響下で建国した歴史から、国旗も一目でアメリカ国旗(星条旗)を参照したことが分かるデザインとなっています。1961年に改めて意匠を定めた国旗法によれば、配色は青が自由、正義、友愛を、赤が堅固さ、勇気、情熱を、そして白が純潔と誠実さを象徴するとのこと。赤と白の縞模様は11本(アメリカ国旗は13本)ですが、これは独立宣言に署名した11人の有力なアメリコ・ライベリアンを表します。カントン部の青地の中にある一つ星は、国旗制定当時のリベリアが、アフリカ大陸唯一の黒人共和国として独立した歴史を意味します。リベリアは便宜置籍船(注1)制度を積極的に採用している国として知られ、リベリア国民以外が保有する船舶にも積極的に船籍を与えていることから、この旗も世界中の船上で船籍識別旗として掲げられています。

縦横比:10対19


リベリア共和国
Republic of Liberia


Map_of_Liberia.gif

統計データは原則として2013年時点のもの。

[地理]
位置:アフリカ
面積:約11.1万km² (北海道の約1.3倍)
人口:429万人
首都・最大都市:モンロヴィア (Monrovia)
主要民族:アフリカ系黒人(先住民, 16部族)96%
        クペレ族20%
        バッサ族13%
        グレボ族10%
        ギオ族8%
        マノ族8%
        クル族6%
        ロルマ族5%
        キッシ族5%
        ゴラ族4%など。
       アメリカ系黒人(アメリコ・ライベリアン)3%
       極少数のレバノン人、インド人などが都市部に居住。
       特にレバノン人は現地の黒人と混血することが多く、
       首都モンロヴィアではこうした混血者をムラートと呼
       んで、他の民族集団と区別している。
主要言語:英語が公用語で、政府機関や教育、メディア、ビジネスなど
       公共性の高い分野では筆頭言語となっているが、正統英語
       を話せる者はごく一部のエリート層のみであり、国民の大半
       は独特の訛りがあるリベリア英語や、英語と現地語が融合し
       たリベリア・クレオール語を「英語」と称して用いる。国民の大
       半はクペレ語など、自らが属する固有の部族語を母語として
       おり、都市部から離れるほど英語の理解度は低下する。
主要宗教:キリスト教(プロテスタント諸派が大半。一部にカトリック)85%
       イスラム教(スンナ派がほとんど)12%
       無宗教2%
       極少数の伝統宗教、バハーイー教など。

[政治・軍事]
独立:1847年7月26日
国連加盟:1945年11月2日(原加盟国)
政治体制:共和制、大統領制
元首:大統領
    直接選挙制。任期6年。3選禁止。
政府:内閣 (首相職なし)
    閣僚は大統領が任命するが、上院の承認が必要。
議会:二院制の国民議会
    ●元老院(上院)
     30議席。国家を構成する15県から2名ずつ、小選挙区制
     に基づき直接選挙される。任期9年。
    ●代議院(下院)
     73議席。直接選挙制(小選挙区制)。任期6年。
    ※いずれの院も小選挙区制だが、上院の選挙区は県そのものを
     2つの選挙区に分けて選出するのに対し、下院の選挙区は当該
     地域の人口に応じて、適宜改編される。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:2200万米ドル (2012年)
軍組織:リベリア軍
     陸軍2000人
     沿岸警備隊50人

[経済・その他]
中央銀行:リベリア中央銀行
通貨:リベリア・ドル (dollar, LRD)
国内総生産(GDP):19億3300万米ドル
1人当たりGDP:473米ドル
GDP構成比:農林水産業60~65%
        鉱工業5~10%
        サービス業25~30% (2011年推計)
労働人口:不明 (150~200万人前後と推計される)
失業率:不明 (5%前後と推計される)
輸出額:9億3000万米ドル
輸出品:天然ゴム、ダイヤモンド、木材、鉄鉱石、カカオ豆、再輸出品
輸出先:中国24%、米国15%、スペイン11%、アルジェリア6%、タイ4%
輸入額:24億5700万米ドル
輸入品:船舶、石油製品、鉄鋼、食料品(特に米)、機械類、自動車
輸入元:韓国27%、中国24%、シンガポール23%、日本16%、ナイジェリア8%
ccTLD:.lr
インターネット利用者数:15万人 (2012年)
車両通行:右側通行
国別電話番号:231

(注1)
通常、船の所有者は船1つずつの「籍」をどこかの国に置かねばならず、税金の高い国や船員の人件費が厳格に定められている国では運営会社の支出が過重な負担になる場合も多かった。そこで船舶の所持者に対し、税制や給与形態の規定が緩い国が「船籍」を形式的に与え、会社の支出を軽減させるのが便宜置籍船制度である。便宜置籍船の登録を済ませた保有者は、当該国に書類上だけの会社(ペーパーカンパニー)を設置し、一定の登録料と、自国よりはるかに少ない税金さえ払えば、その国の船として航行することが認められる。当該国の港を母港とする必要も無く、船籍を置く国に一度も立ち寄らず寿命を迎える船が大半である。

主に産業基盤が脆弱であったり、特定の産業しか発展の見込みが無い国が採用する制度であり、当該国にとってはわずかながらも税収となるほか、船の保有者にとっては母国の厳しい税制・労使条件から解放される有用な制度として注目されているが、「税金逃れ」「労働者の人権侵害」「国際法違反」といった批判も後を絶たず、便宜置籍船制度の導入国においては国家最大の外交問題となっている場合も多い。


《国歌「万歳、リベリア、万歳!」》
制定:1847年
作曲:オルムステッド・ルカ
作詞:ダニエル・バシール・ワーナー(後の第3代大統領)

万歳、リベリア、万歳! (万歳!)
万歳、リベリア、万歳! (万歳!)
この祝福されし自由の地が、
我らのもとに長くあらんことを。
その名は新しくとも、名声の変わらぬことを。
そしてその力の強からんことを。
そしてその力の強からんことを。
歓喜と幸福の中で、我らは心を一つにし、
闇をまといし人種の自由を叫ばん。
リベリアよ、永久(とわ)に、幸福なる地よ!
神の啓示により祝福されし、自由の故郷よ!
神の啓示により祝福されし、自由の故郷よ!

《国名の由来》
日本語表記のリベリアはLiberiaをそのままローマ字読みしたものであり、英語での発音はライベリアである。英単語liberty(リバティ)に、地名を表す接尾語-iaを付加した国名で、「自由の国」を意味する。

ちなみに首都モンロヴィアはアメリカ合衆国第5代大統領ジェームズ・モンローの名から付けられたもの。モンローは解放奴隷の入植を奨励した「アメリカ植民協会」の協会員であり、また熱烈な支持者だったため。ただ彼自身は人種間の平等や黒人への市民権付与には否定的で、単にアメリカ国内から黒人を減らすことが出来ると考えたが故の支持であった。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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