コモロ

コモロ
Komori (コモリ) (コモロ語)
جزر القمر (ジャズィール・アル=カマール) (アラビア語)
Comores (コモール) (フランス語)
Comoros (コモロゥズ) (英語)

Flag_of_Comoros.png

アフリカ大陸南東部とマダガスカル島の間に位置するモザンビーク海峡には、グランドコモロアンジュアンモヘリマヨットの主要4島から成るコモロ諸島という小さな島々が存在します。中世、これらの島にはアラブ人やペルシア人が移住し、イスラム教が伝播。土着の黒人と融合しながらイスラム諸王朝を築いていました。しかし19世紀に隣のマダガスカル島がフランスの勢力下に入ると、その付属地としてコモロにもフランスの食指が伸び、マヨット島を皮切りに次々と保護領化されていきます。第二次大戦後はフランス本国が植民地に対して段階的に自治や独立を認める方針にシフトしていき、コモロにも1961年に内政自治権が与えられました。この頃から既に将来的な独立も視野に入れられていましたが、1974年に実施された住民投票ではマヨット島のみが独立に反対し、翌1975年にひとまず残る3島のみで独立を達成しました。独立後のコモロ政府はフランスに対し、一貫してマヨット島の返還を主張していますが、本国からの支援によってある程度の生活水準を保証されたマヨット住民は、貧しいコモロに復帰しても経済基盤の崩壊が待っているだけとしてこれを拒否しており、フランスもこうした住民の声を盾に島の統治を続けています。

こうして独立したコモロですが、各島はもともと単独で勢力圏を形成してきたこともあり、当初から内紛が絶えませんでした。文化的な共通点と言えば宗教(イスラム教)と言語(コモロ語)ぐらいで、それを「諸島」という地理的な概念で無理に統合したため、各島は国政の主導権をめぐって激しく対立。クーデターも頻繁に発生し、政情の不安定さは経済の足かせとなって、独立直後から国家は混乱状態に陥りました。経済的にも、バニラなどの香料、そしてココナッツを乾燥させたコプラ以外に目立った輸出品が無いため常に外貨不足に悩むうえ、食糧自給が難しい小さな国土に過密と言えるほどの人口を抱えており、しばしば飢餓が発生。もはや外国からの援助無しでは生活もままならない状態です。熱帯の島国であることを生かしたリゾート化も、治安への懸念から遅々として進まず、貧困の是正は容易ではない情勢です。また当時の政治家も、このような事態への不満をグランドコモロ島(首都モロニがある)の中央政府の権限強化によって抑え込もうとしたため、アンジュアン島とモヘリ島では反発が強まるばかりでした。1997年には遂にこの2島がフランス領への復帰を求めて分離を宣言し、国の主導権どころかコモロという国家そのものの存続が危ぶまれる事態に発展。結局、1999年にコモロ軍のアザリ大佐が独立後18回目のクーデターで実権を握り、各島の自治権を大幅に強化することで合意。2001年には新憲法を制定し、地方分権色が極めて強い新体制のもとで引き続き独立国家を維持することになりました。しかし世界最低レベルの貧しさは変わらず、2009年には憲法改正により再び各島の自治権が縮小されるなど、火種もくすぶり続けています。

上記のように非常に困難な国情を抱えるコモロは、政治体制の変化に伴い、国旗もコロコロと変わってきました。現国旗は2001年の連合体制への移行に際して作成され、翌2002年の国民投票で承認されたものです。緑、三日月、星は全てイスラム教の伝統的な象徴で、4つ星はコモロ諸島を構成するグランドコモロ、アンジュアン、モヘリ、マヨットの主要4島を表します。この意匠は独立以来、歴代政権によって受け継がれてきたものであり、国内の各勢力が政治的な立場を乗り越えて、建国以来の目標である国家の統合とマヨット島の返還を実現する努力を象徴します。黄、白、赤、青の帯もまた、それぞれの島を象徴(黄=モヘリ、白=マヨット、赤=アンジュアン、青=グランドコモロ)すると同時に、黄は太陽と進歩、白は自由と純潔、赤は独立のために流された血、青は国を囲むインド洋を表します。

縦横比:3対5

【旧国旗】
Comoros 1
フランス領時代の1961年にコモロは自治権を獲得し、2年後の1963年には独自の旗を制定しました。この時から既に緑、三日月、4つの星という意匠は取り入れられており、1975年の独立宣言後もアーメド・アブダラ初代大統領のもとで引き続き使用されましたが、1976年のクーデターで廃止されています。

Comoros_2.png (★See below)
独立翌年の1976年、早くもクーデターが発生し、アブダラ大統領は放逐されました。替わって成立した新政府は国家の社会主義化を進め、国旗にもソ連国旗に倣って社会主義の象徴である赤を導入しています。しかし保守的なイスラム圏の一部であるコモロでは急進的な改革は受け入れられず、1978年にアブダラ率いる前政権派のクーデターが発生し、新政府はわずか2年で崩壊。アブダラが大統領に復帰するのに伴い社会主義路線も放棄され、この国旗も廃止されました。

Comoros 3
1978年のクーデターで再び指導者の地位に復帰したアブダラ大統領は、同年に新憲法を制定し、国名をコモロ・イスラム連邦共和国と改称。それに伴い、イスラムの色である緑を押し出した国旗を制定しました。

しかし連邦制とは名ばかりで、国家の主導権は首都モロニを抱えるグランドコモロ島に集中。またアブダラ大統領は自身が党首を務めるコモロ進歩連合(UCP)の一党制のもとで独裁体制を固め、反対派を次々と弾圧していきました。結局、このような体制は国情を更に不安定なものとし、1989年のクーデターでアブダラ大統領は殺されてしまいます。その後、1992年に複数政党制を盛り込んだ新憲法が制定され、上記の国旗にもマイナーチェンジが施されました。

Comoros 4
1992年に制定された国旗は、三日月は4つの星を下から抱え込むようなデザインとなっています。しかし1995年にまたまたクーデターが発生すると、翌1996年に再度国旗も変更されました。

Comoros 5 (★★See below)
1996年制定の国旗は、上部にアッラー、下部にムハンマド(どちらもアラビア文字)と記された非常にイスラム色の強い国旗となっています。各島の数少ない共通点であるイスラム教の聖なる名に求心力を見出し、国家の統合を図る狙いがあったとのこと。しかし同年就任したモハメド・タキ大統領は首都モロニがあるグランドコモロ島への権限集中を進め、旧アブダラ政権時代のように連邦制はまたもや形骸化。他の島は猛反発し、困窮する経済もあいまって、翌1997年にアンジュアン島とモヘリ島は独立とフランス領への復帰を宣言。コモロは国家解体の危機に瀕しました。

その後、タキ大統領の急死や独立以来通算18回目のクーデターといった紆余曲折を経て、2001年には各島に大幅な内政自治権を認めた新憲法を制定。アンジュアン、モヘリ両島も新憲法のもとならばとコモロに残留。国名はコモロ連合となり、国旗も各島を尊重した現在のものに移行しました。


コモロ連合
Udzima wa Komori (ウズィマー・ワ・コモリ)
الاتحاد القمر (アル=イッティハード・アル=カマーリー)
Union des Comores (ユニオン・デ・コモール)
Union of the Comoros (ユニオン・オブ・ザ・コモロゥズ)

Map_of_the_Comoros.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:アフリカ
面積:約1862km² (香川県とほぼ同じ, 注1)
人口:約77万人
都市人口率:28.3%
首都・最大都市:モロニ (コ・仏・英:Moroni ア:موروني)
主要民族:コモロ人(黒人とアラブ人の混血)がほとんど。コモロ人は更に
       下部の小部族に分かれるが、民族としてのアイデンティティと
       してはどの島の出身者かが重要視される。
主要言語:コモロ語、フランス語、アラビア語の3公用語。コモロ語は東ア
       フリカの共通商用語であるスワヒリ語のコモロ方言と言うべき
       言語で、国民の9割半が母語とする筆頭公用語だが、政府機
       関や教育の場ではフランス語が、宗教的な場ではアラビア語
       が優先される傾向がある。
主要宗教:イスラム教98%
        スンナ派(国教)97%以上
        極少数のシーア派
       キリスト教2%
        ローマ・カトリック教会1%
        わずかにプロテスタント諸派も存在

[政治・軍事]
独立:1961年12月22日(自治国)、1975年7月6日(完全独立)
国連加盟:1975年11月12日
政治体制:共和制、大統領制、連邦国家
元首:大統領
    直接選挙制、連合を構成する3島から輪番制で選出、任期4年。
政府:閣僚評議会(内閣に相当、首相職なし)
    閣僚は大統領が任命。
議会:一院制の連合議会
    33議席。24議席は直接選挙(小選挙区制)によって選出。
    残る9議席は連合を構成する3島の議会が3名ずつ選出。
    任期5年。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:不明 (500万米ドル以下と推計される)
軍組織:コモロ軍
     陸軍に相当する国家発展軍と治安軍(武装警察隊)、事実上の
     海軍に当たる沿岸警備隊の総称。それぞれの規模は不明だが、
     全部隊の合計は1000人前後と推測される。

[経済・その他]
中央銀行:コモロ中央銀行
通貨:コモロ・フラン (franc, KMF)
国内総生産(GDP):6億2400万米ドル
1人当たりGDP:790米ドル
GDP構成比:農林水産業49.7%
        鉱工業12.7%
        サービス業37.6%
労働人口:26万人
失業率:不明 (5~10%と推計される)
輸出額:1890万米ドル
輸出品:香料(特にクローヴとバニラ)、香油、木炭、鉄くず
輸出先:インド29%、フランス17%、ドイツ9%、サウジアラビア7%、シンガポール7%
輸入額:1億9600万米ドル
輸入品:野菜、米、繊維原料、家具、鉄鋼、飲料、肉類、機械類、精製石油
輸入元:中国19%、パキスタン16%、フランス15%、UAE11%、インド6%
固定電話回線数:2万4000回線
携帯電話回線数:42万2000回線
国別電話番号:269
ccTLD:.km
インターネット利用者数:約5.9万人
車両通行:右側通行
平均寿命:64.3歳 (男性61.9歳、女性66.6歳)

[日本との関係]
国交樹立:1977年11月14日
相手公館:無し (駐中国大使館が兼轄)
駐日相手国人数:4人 (永住者無し)
相手輸出額:3万9400米ドル
相手輸出品:香油のみ
日本公館:無し (駐マダガスカル大使館が兼轄)
在留日本人数:3人 (永住者無し)
日本輸出額:252万米ドル
日本輸出品:機械類、自動車と部品、二輪車、化学薬品
現行条約:特に無し

(注1)
マヨット島を含めると2235km²(沖縄県とほぼ同じ)。


《国歌「偉大なる島の連合」》
制定:1978年
作曲:カミルディーヌ・アブダラ/サイード・ハーシム・シディ・アブドルマヌ
作詞:サイード・ハーシム・シディ・アブドルマヌ

旗が翻る。完全なる自由を知らせる旗が。
国が起こる。コモロ人の心に眠る信仰によって。
さぁ、我らの偉大なる島々に献身を。
我らコモロ人は1つの血を持ち、
我らコモロ人は1つの信仰を持つ。

我らはこの島々で生まれ育った。
神(アッラー)が我らを救いたまわんことを。
さぁ、固く誓おう。祖国を愛するために。
我らの宗教と、この世界を愛するために。

旗が翻る。7月6日(独立記念日)から。
国が起こる。マホレ、ンズワニ、ムワリ、ンジャジジャ(注2)によって。
さぁ、固く誓おう。祖国を愛するために。

《国名の由来》
「月の島々」を意味するアラビア語جزائر القمر(ジャズィール・アル=カマール)のقمر(カマール、月)が訛って成立した地名。現在でもアラビア語の表記では、「月」単体のカマールではなく、「島々(諸島)」を付けたジャズィール・アル=カマールとして言及される。

古代ギリシャ人はインド洋に「月の山」と呼ばれる幻の島々が存在するという伝説を残したが、その思想が西アジアのイスラム世界に広がり、後にはるか南の海に浮かぶこの島々を発見した際に「この地こそが伝説の"月の山"である」と記したことから、地名として定着した。

一方、他の言語ではカマールの部分のみが地名として扱われ、コモロ語ではKomori(コモリ)、フランス語ではComores(コモール)、英語ではComoros(コモロゥズ)と表記する。

旧国名
1961-
1978
 コモロ国 (1975年まではフランスの自治国)
(コ)資料なし
(ア)دولة القمر (ダウラット・アル=カマール)
(仏)État comorien (エタ・コモリアン)
(英)Comorian State (コモリアン・ステイト)
1978-
2001
 コモロ・イスラム連邦共和国
(コ)資料なし
(ア)جمهورية القمر الإتحادية الإسلامية
  (ジュムフーリーヤ・アル=カマール・
   アル=イッティハーディーヤ・アル=イスラーミーヤ)

(仏)République fédérale islamique des Comores
  (レピュブリック・フェデラール・イスラミック・デ・コモール)

(英)Federal Islamic Republic of the Comoros
  (フェデラル・イスラミック・リパブリック・オブ・ザ・コモロゥズ)


(注2)
全て現地のコモロ語による各島の呼称。マホレはマヨット、ンズワニはアンジュアン、ムワリはモヘリ、ンジャジジャはグランドコモロを指す。


★(c) 2006 Zscout370 CC BY-SA 3.0
★★(c) 2006 Mysid CC BY-SA 3.0

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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