グレナダ

グレナダ
Grenada (グレナーダ) (英語)

Flag_of_Grenada.png

グレナダは中米のカリブ海地域に浮かぶ島国で、首都セントジョージズを有するグレナダ島と、その北に位置するグレナディーン諸島の一部、そして周辺の島々を領土としています。この地は1649年よりフランスの植民地支配を受け、反発したカリブ先住民が次々と虐殺された一方、農業奴隷としてアフリカから多くの黒人が移入されました。しかし18世紀半ばにヨーロッパと北米大陸で行われた七年戦争の最中、混乱に乗じてイギリスが占領し、1763年には条約で正式にイギリス領へと移行しています。第二次大戦後になるとこの地域でも自治の拡大や独立を求める動きが活発化し、1958年にカリブ海のイギリス領の島々は共同で西インド連邦という自治国を形成、グレナダもその一員となりました。この自治国は将来的に1つの国として正式に独立する予定でしたが、連邦内のリーダー格だったジャマイカとトリニダード・トバゴによる主導権争いが激化したため、1962年に解体。グレナダは1967年に単独で自治領への昇格を果たし、1974年に英連邦王国(独立後もイギリス国王が元首の座を兼ね続ける国)として独立を達成しました。

独立後のグレナダは初代首相エリック・ゲイリーの独裁政権下にありましたが、汚職の蔓延と首相傘下のギャング団の跋扈による治安の悪化で国民の不満が高まり、1979年にクーデターが発生。モーリス・ビショップ率いる人民革命政府(PRG)が成立しました。PRGは中米随一の反米・社会主義国として知られるキューバに接近し、冷戦期にあって東側陣営の一員となることを目指しましたが、カリブ海を「自国の庭」と見なすアメリカはこれに猛反発し、経済制裁を科したほか、周辺諸国に有事の際の先遣隊となる集団安全保障機構を設立させるなど、グレナダを孤立化させる政策を推し進めました。これにより、次第に追い詰められていったPRG内では、穏健な社会主義化を目指したビショップ首相派と、より急進的なバーナード・コード副首相の路線対立が激化し、1983年には副首相側についた軍によってビショップ首相が監禁(後に殺害)される事態が発生。この混乱に乗じてアメリカは「グレナダの民主主義と在留アメリカ人の安全を守るため」としてカリブ諸国と共にグレナダに軍を投入し、社会主義勢力を壊滅させることに成功しました。これが世界史用語としての、いわゆるグレナダ侵攻の顛末ですが、混乱の収拾において多数の国際法違反があったとされ、現在でもその歴史的意義については評価が分かれています(なお、1984年のロサンゼルスオリンピックに対する東側諸国の集団ボイコットは、名目上、このグレナダ侵攻への抗議という意味で成されました)。一方、現在のグレナダは議会制民主主義体制のもと、親米路線が根付き、政情も安定化。経済的にも、暖かな気候と美しい海を生かしたリゾート地としての地位が高まり、多くの外国人観光客を惹きつけ、今では毎年グレナダの総人口を上回る12万人もの人々がこの国を訪れるなど、観光業が最大の産業として経済を牽引するようになりました。また観光業の伸びが著しい中でも、農業は依然として重要な産業であり続け、特に料理の臭み消しや焼き菓子作りなどに用いられるナツメグの生産は、小さな島国でありながら世界有数の規模を持っています。

1974年の独立に伴い制定されたグレナダの国旗は、旗の周囲を特定の色で縁取りした独特な意匠で知られます。このような意匠を旗章学用語ではボーダーと呼び、グレナダの他にはモンテネグロが採用しています。国民の大半がアフリカ系黒人であることから、配色にはエチオピア国旗に範を取った汎アフリカ色(赤、黄、緑)が採用されており、赤は勇気と統一、黄は国土と輝く太陽、緑は肥沃な土壌と農業を表します。中央部に1つ、上部に3つ、下部に3つ、合計7つの星がありますが、これはグレナダを構成する7つの行政区分を象徴し、特に中央の星は首都セントジョージズを表すとのこと。国旗のホイスト部に描かれた植物の実は前述のナツメグで、グレナダがいかにこの特産品に誇りを持っているかがうかがい知れます。ちなみに正式な縦横比は3対5ですが、横長なイギリス国旗に倣った1対2の旗も民間ではよく使われるようです。

縦横比:3対5


グレナダ
Grenada

Map_of_Grenada.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:北アメリカ (カリブ海)
面積:約344km² (五島列島の福江島よりわずかに大きい)
人口:約10.7万人
都市人口率:35.6%
首都・最大都市:セントジョージズ (英:Saint George's)
主要民族:アフリカ系黒人82%
       ムラート(白人と黒人の混血)13%
       インド系3%
       ヨーロッパ系白人2%
主要言語:英語が公用語だが、標準的な英語は政府機関で用いら
       れる程度で、国民の大半は英語と西アフリカ系諸言語の
       語彙が融合したグレナダ・クレオール語を日常言語として
       使用する。他に「パトワ」と呼ばれるフランス語系のクレオ
       ール言語も、国民の1~2割が話す。
主要宗教:キリスト教88%
        ローマ・カトリック教会45%
        聖公会11%
        ペンテコステ派11%
        セブンズデー・アドヴェンティスト教会10%
        バプティスト派3%など。
       無宗教4%
       極少数のヒンドゥー教、イスラム教など。

[政治・軍事]
独立:1974年2月7日
国連加盟:1974年9月17日
政治体制:立憲君主制(英連邦王国)、議院内閣制
元首:国王
    イギリスの国王が兼任、世襲制。
    国王の名代として総督が元首の権限を代行。
    総督は現地人有識者の中から首相が推薦し、国王が任命。
政府:内閣
    総督が下院最大会派の指導者を首相に任命。
    他の閣僚は首相の指名に基づき、総督が任命。
議会:二院制の国会
    ●元老院(上院)
     13議席。10議席は政府与党が、3議席は最大野党が任命。
     任期は無く、総選挙や欠員が出る度に適宜補充される。
    ●代議院(下院)
     15議席。直接選挙制(小選挙区制)。任期5年。
政党制:新国民党と国民民主会議による二大政党制。
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:なし (正規軍なし)
備考:小規模な警察隊を除き、軍事力を持たない。

[経済・通信・その他]
中央銀行:東カリブ中央銀行 (注1)
通貨:東カリブ・ドル (dollar, XCD, 注1)
国内総生産(GDP):8億8400万米ドル
1人当たりGDP:8891米ドル
GDP構成比:農林水産業6.2%
        鉱工業14.3%
        サービス業79.5%
労働人口:不明 (5万人前後と推計される)
失業率:不明 (20~30%と推計される)
輸出額:4380万米ドル
輸出品:香料(特にナツメグ)、魚介類、小麦粉、カカオ豆、果物、再輸出品
輸出先:ナイジェリア45%、セントルシア11%、アンティグア・バーブーダ7%、
     セントキッツ・ネイビス7%、ドミニカ国7%
輸入額:3億1040万米ドル
輸入品:機械類、有機化合物、肉類、乳製品、穀物、自動車、木材、鉄鋼
輸入元:トリニダード・トバゴ50%、米国16%、中国7%、英国6%、マレーシア6%
固定電話回線数:2万7000回線
携帯電話回線数:11万9000回線
国別電話番号:1-473
ccTLD:.gd
インターネット利用者数:約4.2万人
車両通行:左側通行
平均寿命:74.4歳 (男性71.7歳、女性77.1歳)

[日本との関係]
国交樹立:1975年4月11日
相手公館:無し (日本を兼轄する他国駐在公館も無し)
駐日相手国人数:3人 (永住者1人)
相手輸出額:1万1000米ドル
相手輸出品:カカオ豆が8割、他に蒸留酒
日本公館:無し (駐トリニダード・トバゴ大使館が兼轄)
在留日本人数:0人
日本輸出額:951万米ドル
日本輸出品:自動車、機械類、精密機器、ゴム製品
現行条約:特に無し

(注1)
カリブ海に浮かぶ小島嶼のうち、6つの独立国とイギリス領の3地域は、東カリブ諸国機構(OECS)という地域統合組織を結成し、東カリブ・ドル(ECドル)という共通通貨を使用している。これはセントキッツ・ネイビスの首都バセテールに本店が置かれる東カリブ中央銀行によって発行され、通貨価値は1米ドル=2.7ECドルに固定されている。


《国歌「グレナダ万歳」》
制定:1974年
作曲:ルイス・マサント
作詞:イルヴァ・バプティスト

グレナダ万歳! 我らの土地。
我らはこの身を以って汝に誓う。
この頭、この心、そしてこの手を1つにすることを。
運命に立ち向かって行くために。

絶えず神を意識し、
遺産を誇りとし、
信念と勇気を持つ我らが、
志を持ち、国を築き、前進せんことを。
1つの民、1つの家族として。
神よ、我が国を祝福したまえ。

《国名の由来》
スペイン南部の都市グラナダ(Granada)に由来。この地を訪れた大航海時代のスペイン人探検家が母国の街を懐かしんで付けたという。グラナダとはザクロの学名Punica granatum(プニカ・グラナトゥム)から採られた名称だが、これはスペインのグラナダ周辺にザクロの木が多かったことから付いた名前であり、この国にザクロが多く生えているわけではない。

ちなみに北部がセントビンセント・グレナディーン領、南部がグレナダ領となっているグレナディーン諸島も、グレナダと同じ語源を持つ。

コメント

非公開コメント

プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

ツイッターやってます。基本的に更新情報はここでつぶやいてます。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

外部リンク
QRコード
QRコード
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
Flag counter