ジョージア

ジョージア (グルジア)
საქართველო (サカルトヴェロ) (ジョージア語)
Georgia (ジョージア) (英語)

Flag_of_Georgia.png

(2015年に日本政府による呼称がグルジアからジョージアへと改められましたので、当面はジョージア表記をしつつ、歴史的文脈等で必要がある場合はグルジアを併記することと致します。ご了承下さい)

カフカス(コーカサス)山脈の南部に位置し、黒海とカスピ海に挟まれたこの地域には、ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニアという3つの独立国が存在します。そのうち最も北に位置するのがジョージアで、4世紀頃にキリスト教を受け入れ、アルメニア人に次いで世界で2番目にこれを国教化したことで有名です。12世紀から13世紀にかけてはバグラティオニ朝と呼ばれる強大な王国が築かれ、全盛期を迎えましたが、その後はモンゴル、トルコ、ペルシアといった諸民族の版図となり、19世紀には北の大国ロシアに併合されました。しかしいずれの時代も、ジョージア人は特徴的な固有の文字といった民族文化を守り、ロシア革命後の1918年にはジョージア(グルジア)民主共和国の名で一時的に独立を達成しています。この試みはロシアの混乱が収まったことで失敗に終わり、後にソ連を構成する共和国の1つとなったものの、ここでもジョージア人の独自色は他の構成共和国と比べて非常に強く、強権的な支配体制が揺らいだ1980年代になると再び民族主義が勃興。独立に向けた機運が高まり、1991年の連邦崩壊に伴い独立を達成しました。一方、独立に際して、ジョージア国内にあったアブハジア、南オセチア、アジャリアという3つの自治地域が、ジョージア人中心の支配を拒否して分離運動を展開し、うち前者2地域はロシアの支援下で未承認国家を樹立しています(詳細はアブハジア南オセチアの記事を参照して下さい)。

ジョージアは山岳地でありながら温暖な気候を持ち、古代から葡萄など各種果物の一大生産地として知られていました。近代以降は鉄鋼や肥料の生産といった工業部門も成長したものの、現在でもジョージアは基本的に農業国であり、豊かな葡萄生産に伴うワインの製造が盛んです。また、ソ連時代には穏やかな気候と美しい海が保養地に適しているとして重点的に開発され、今でもこれらを求める観光客が多く訪れます。特に寒冷な土地が多いヨーロッパ人にとっては、キリスト教圏としてある程度文化を共有し、しかも地理的にさほど遠くないという好条件もあって、この地でバカンスを楽しむ人々も多いようです。ちなみに、グルジアのゴリは、後にソ連共産党書記長として独裁権力を欲しいままにしたヨシフ・スターリンの出身地として有名で、当地には彼の生家と記念博物館があります。

ジョージアの現国旗は2004年に制定されたもので、キリスト教色が色濃く反映されています。この旗は前述のバグラティオニ朝時代に用いられた旗がモチーフとなっており、全体で聖エルサレム十字と呼ばれます。中央の大きな十字はイングランド旗にも用いられる聖ジョージ十字であり、四隅の小さな十字は4人の福音記者(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)を象徴します。また配色にもそれぞれ意味があり、白は清純さと賢明さ、赤は勇気と愛を表します。ソ連からの独立後は初代大統領ズヴィアド・ガムサフルディア、そして第2代大統領エドゥアルド・シェワルナゼのもとで、ロシア革命直後に短期間だけ存在したジョージア(グルジア)民主共和国の国旗が復活していましたが、2003年11月の議会選で政権による不正への抗議運動が盛んとなり、野党「国民運動」の主導でバラ革命と呼ばれる政権交代が実現。すると翌年1月、国民運動の党旗として用いられていたこの旗が新国旗として制定されました。

縦横比:100対147

【旧国旗】
Flag_of_Georgian_SSR.png
ソ連を構成していた15共和国の1つ、ジョージア(グルジア)・ソビエト社会主義共和国の国旗です。1951年から1990年まで用いられました。ソ連時代の各共和国の国旗はソ連国旗にそれぞれの意匠を盛り込んだものでしたが、他の共和国の国旗に比べるとジョージアの旗は派手ですね。このようなデザインになった理由に関する公式な説明はありませんが、一般的には青は黒海、鎌と槌を囲む光は澄み渡る空を象徴するとのことです。

Flag_of_Georgia_(1990-2004).png
ソ連から独立する直前の1990年に、前述の社会主義色の強い赤旗は廃棄され、エビ茶色をメインとしたこの旗が制定されました。黒はロシアに支配された暗黒の時代を、白は平和と自由を象徴します。また旗の面積の大半を占めるエビ茶色は、ジョージアの国土と独立を表します。現国旗が制定された2004年に廃止。

この旗の原型はロシア革命直後の1918年から1921年まで短期間存在したジョージア(グルジア)民主共和国の国旗で、新国旗というよりは当時の旗の復活と言えます。ただ民主共和国時代は、黒と白の配置が逆になることがしばしばあったほか、縦横比も上記の画像のものより横長だったようです。


ジョージア
საქართველო
Georgia

Map_of_Georgia_.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。数値は原則として分離独立状態にあるアブハジア、南オセチアを除いたもの。

[地理]
位置:アジア (ヨーロッパに分類されることもある)
面積:約5.7万km² (九州の約1.6倍)
    分離地域を含むと約7.0万km² (九州の約1.9倍)
人口:約372万人
都市人口率:53.6%
首都・最大都市:トビリシ (ジ:თბილისი 英:Tbilisi 注1)
主要民族:ジョージア人(アジャール、ミングレルを含む)83%
       アゼルバイジャン人6%
       アルメニア人5%
       少数のロシア人、オセット人、クルド人など。
主要言語:ジョージア語が公用語で、国民の7割が母語としている。
       ジョージア系少数民族のミングレル族が話すミングレル語
       も北西部で使われるが、ほとんどがジョージア語との併用
       者である。他にアゼルバイジャン語、アルメニア語など。
主要宗教:キリスト教87%
        正教会83%
        アルメニア使徒教会3%
        ローマ・カトリック教会1%
       イスラム教11%
        シーア派6%
        スンナ派5%
       少数のバハーイー教、ユダヤ教など。

[政治・軍事]
独立:1991年4月9日
国連加盟:1992年7月31日
政治体制:共和制、議院内閣制
元首:大統領
    直接選挙制、任期5年、3選禁止。
政府:内閣
    大統領が議会最大会派の指導者を首相に任命。
    他の閣僚は首相が任命。
議会:一院制の国会
    150議席。直接選挙制(小選挙区比例代表並立制)。任期4年。
    77議席は比例代表で、73議席は小選挙区によって選出。
政党制:多党制だが、「ジョージアの夢」と「統一国民運動」による
     緩やかな二大政党制と見なす資料もある。
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:徴兵制
国防費:3億2400万米ドル
軍組織:ジョージア軍
     陸軍1万8000人
     空軍1300人
     特殊部隊1500人
     沿岸警備隊900人 (海軍は2009年に廃止)
     国家警備隊1600人

[政治・通信・軍事]
中央銀行:ジョージア国立銀行
通貨:ラリ (lari, GEL)
国内総生産(GDP):165億3000万米ドル
1人当たりGDP:3795米ドル
GDP構成比:農林水産業9.2%
        鉱工業22.1%
        サービス業68.7%
労働人口:250万人
失業率:16.7%
輸出額:30億4300万米ドル
輸出品:銅鉱、精製石油、鉄鋼、ナッツ類、ワイン、蒸留酒、有機化合物、金
輸出先:アゼルバイジャン11%、ブルガリア10%、トルコ8%、アルメニア8%、ロシア7%
輸入額:73億6300万米ドル
輸入品:機械類、精製石油、医薬品、自動車、鉄鋼、タバコ製品、小麦、肉類
輸入元:トルコ17%、ロシア8%、中国8%、アゼルバイジャン7%、ウクライナ6%
固定電話回線数:95万1000回線
携帯電話回線数:555万1000回線
国別電話番号:995
ccTLD:.ge
インターネット利用者数:約210万人
車両通行:右側通行
平均寿命:76.4歳 (男性72.1歳、女性80.6歳)

[日本との関係]
国交樹立:1992年8月3日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:56人 (永住者12人)
相手輸出額:1020万米ドル
相手輸出品:衣類、宝石くず、ワイン、飲料、精錬アルミ
日本公館:大使館 (トビリシ)
在留日本人数:41人 (永住者無し)
日本輸出額:3億9100万米ドル
日本輸出品:自動車が9割、他にゴム製品、機械類、精密機器
現行条約:2007年 技術協力協定

(注1)
政府の中枢機能は首都である東部のトビリシに置かれているが、国会議事堂のみ2012年に西部の古都クタイシに移転された。


《国歌「自由」》
制定:2004年
作曲:ザカリア・パリアシュヴィリ/ヨセブ・ケチャクマゼ
作詞:ダヴィド・マグラゼ

祖国、それは我が聖像。それを支えるは全世界。
聖なる山々と渓谷は、神から分け与えられたもの。
今日(こんにち)我らの自由は、未来の栄光を歌う。
夜明けの星々が昇り、2つの海の間で光輝く。
自由を讃えよ! 自由を讃えよ!

《国名の由来》
ジョージア語ではსაქართველო(サカルトヴェロ)と表記される。これはジョージア人の自称がカルトヴェリ人であることに由来するが、カルトヴェリとはジョージアの伝承上の建国者ქართლოსი(カルトロス)の名に由来し、「カルトロスの子孫」を意味する。

日本では長らくグルジアと呼称されてきたが、これはロシア語表記Грузия(グルズィーヤ)に基づいたもの。2008年の南オセチア紛争以降、急激に悪化したロシアとの関係から、同国政府は日本をはじめ、ロシア語由来の名称を用いていた国々に対し、英語由来のジョージアと呼ぶよう要請。日本政府も2015年4月にこれを受け入れ、以後辞典や地図帳などでもジョージア表記に置き換えられている(アメリカの州であるジョージア州とスペルが同じであるため、注意が必要)。

ジョージア/グルジアの語源を更に紐解くと、キリスト教の守護聖人ゲオルギウスに由来するとする説と、ペルシア語で「峡谷」を意味するگرج(グルジ)とする2説が有力視されている。前者はグルジアがゲオルギウスを国家の守護者として崇めていること、後者は山がちな国土を根拠としている。

旧国名
1918-
1921
 ジョージア(グルジア)民主共和国
(グ)საქართველოს დემოკრატიული რესპუბლიკა
  (サカルトヴェロス・デモクラティウリ・レスプブリカ)

(英)Democratic Republic of Georgia
  (デモクラティック・リパブリック・オブ・ジョージア)
1921-
1990
 ジョージア(グルジア)・ソビエト社会主義共和国
(グ)საქართველოს საბჭოთა
   სოციალისტური რესპუბლიკა
  (サカルトヴェロス・サブチョタ・ソツィアリストゥリ・レスプブリカ)

(英)Georgian Soviet Socialist Republic
  (ジョージャン・ソヴィエト・ソーシャリスト・リパブリック)
1990-
1995
 ジョージア(グルジア)共和国
(グ)საქართველოს რესპუბლიკა (サカルトヴェロス・レスプブリカ)
(英)Republic of Georgia (リパブリック・オブ・ジョージア)



【おまけ:アジャリア自治共和国
グ:აჭარის ავტონომიური რესპუბლიკა
  (アチャリス・アヴトノミウリ・レスプブリカ)

英:Autonomous Republic of Adjara
  (オートノモス・リパブリック・オブ・アジャラ)

Flag_of_Adjara.png   Map_of_Adjara_.gif

分離状態の地を2つも抱えるジョージアですが、実はかつてもう1つ分離状態にあった場所がありました。黒海に面する港湾都市バトゥミを中心とするアジャリア自治共和国がそれで、血統や言語的にはジョージア人と同一でありながら、信仰する宗教のみを異にする「アジャール」と呼ばれる人々のために設立された自治区画です。一般的にジョージア人には敬虔なキリスト教徒が多いのですが、アジャールは中世の異民族支配の中でイスラム教を受容し、今でもジョージアの総人口の1割程度を占めています。

1991年に自治共和国最高会議議長に就任し、アジャール達の指導者となったアスラン・アバシゼは、独立直後のグルジア政府がアブハジアや南オセチアをめぐって混乱していた情勢を好機と見なし、アジャリアに個人独裁体制を作り上げることに成功。中央政府の支配が及ばない完全自治を実現しました(前述の2地域と違い、独立宣言は出していません)。これはジョージアにとっては非常に不愉快な出来事で、特に主要港の1つとして利用価値の高いバトゥミが施政下から離れることは許容できないことでした。しかしアバシゼの行き過ぎた強権体制と、蔓延する汚職はアジャール達からすら嫌悪され、後ろ盾となっていたロシアからも「やり過ぎ」を懸念されたため、2004年にアバシゼは辞任とロシアへの出国を受容。同年中にジョージア軍がアジャリアに進攻し、再度中央政府の統治下に復帰しました。

アバシゼが追放された現在では、アジャリアの地位はあくまで「ジョージア内の自治共和国」に留まり、自治共和国の国旗でもジョージア国旗を配して中央政府への帰属をアピールしています。青と白の縞模様は、青がアジャリアが面する黒海を、白が純粋さを表しているほか、帯の数が7本なのは、アジャリア自治共和国が7つの行政区(2つの特別市と5つの地区)で構成されることを意味します。なお、アバシゼ政権時代には、黒海を意味する濃紺に7つの星を配した、全く別の旗が使用されていました。

面積:2880km² (ジョージア全土の約5.05%)
    ※分母となる数字からアブハジア、南オセチアは除いている。
人口:約33万人
民族:ジョージア人が大半。ソ連からの独立以降、アジャールのキリスト
    教化が進められ、現在は人口の7割近くが他の地域のジョージア人
    と同様、キリスト教を信仰している。イスラム信仰を守るアジャール
    は内陸部に多く、人口の3割ほどを占める。他に少数のロシア人や
    アルメニア人など。
言語:ジョージア語が公用語
宗教:キリスト教70%
     正教会68%
     アルメニア使徒教会2%
    イスラム教30%
     スンナ派が大半
首都:バトゥミ (Batumi)
通貨:ラリ (lari, GEL)
ccTLD:.ge

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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