クウェート

クウェート
الكويت (アル=クワイト) (アラビア語)
Kuwait (クーウェイト) (英語)

Flag_of_Kuwait.png

西アジアのアラブ世界に属するクウェートは、アラビア半島とイランに挟まれたペルシア湾(アラビア湾)の最奥部に位置する君主国です。この一帯はかつてオスマン帝国の間接統治下に置かれ、現在のイラク南東部に相当するバスラ州の一部とされていましたが、アラビア半島中部からこの地に進出したサバーハ家が18世紀後半に土着の部族を駆逐し、支配権を確立しました。しかしその領土は小さく、また大国に脅かされやすい位置のため、1899年にサバーハ家はイギリスとの間で保護条約を締結。イギリスに外交や国防を委任し、保護国になることで国土の維持を図りました。これは見事に成功し、イギリス軍が撤退した1961年にはクウェート国として改めて独立国となったものの、隣国イラクは歴史的にクウェートを自国領であるバスラの付属地と見なしており、独立に強く反発しました。イラクがサッダーム・フセイン政権下にあった1990年には、石油の利権や価格をめぐってイラクの意向を無視し続けたクウェートに対し、遂に不満が爆発。戦力で圧倒的優位に立つイラク軍がクウェートの制圧を行い、強制的に併合してしまいます。これはイラクにとっては失地回復という大義面分がありましたが、国際社会にとっては紛れも無く主権国家に対する侵略行為であり、翌1991年にアメリカを中心とする多国籍軍がイラク軍を攻撃しました。これがいわゆる湾岸戦争で、結局多国籍軍がイラク軍を撃退し、クウェートは解放されましたが、クウェート人のイラクに対する不信感は根強く残り、両国の国交回復はフセイン政権崩壊後の2004年までずれ込んでいます。

クウェートの土地は砂漠気候のため農業に不向きで、かつては真珠の養殖と遊牧、そして交易が細々と行われるだけの貧しい地域でした。しかし1938年に南部で世界第2位の埋蔵量を持つとされるブルガン油田が開発され、1946年に石油の輸出を開始したことから、クウェートの経済、社会、文化は激変します。経済的自立の術を手に入れたクウェートは1961年の独立後、産油国として国際的な地位を高め、現在では世界有数の豊かな国となりました。一方、いくら油田が巨大でも資源は有限。いつか枯渇の時を迎える石油に過度に依存することへの危機感も強く、クウェート政府は来たるべき将来を見越して、石油化学工業や金融業、観光業など様々な面で産業の多角化を推進しています。幸い、今のところはオイルマネーが潤沢に存在するため、産業振興に向けた巨額の投資が容易に行えますしね。また、こうした政策に必要な労働力が圧倒的に不足しているため、他のアラブ諸国やアジア系の出稼ぎ労働者を積極的に受け入れており、クウェートの総人口の実に7割近くが外国人によって占められています。クウェートのみならずアラブの産油国全体の問題ですが、豊かな生活に慣れた自国民は公務員をはじめとする事務職や、特定の専門職にしか就きたがらないため、基礎的なインフラを建設するブルーカラー労働を外国人に任せざるを得ないという状況があり、雇用対策上の重要な課題となっています。

クウェートの国旗は1961年の独立と同時に制定されたもので、隣国イラクとの歴史的な結び付きから、王政時代のイラク国旗に強く影響されたデザインとなっています。もっとも、クウェート独立3年前の1958年にイラク王国はクーデターで崩壊し、新たにイラク共和国が成立していましたけどね。赤、白、黒、緑の配色は汎アラブ色と呼ばれ、アラブ世界全体の連帯を表す色としてアラブ諸国によく使われています。クウェート国旗の場合は更に、緑は国土と平和、白は純潔と国民の偉業、赤は勇気と敵の流血、黒は聖戦とイスラムの勝利をそれぞれ表します。また黒が台形で表されるのは、もともと遊牧民だったアラブ人にとって戦友である馬が、砂埃をあげながら疾走する様子を象徴しているとのこと。

縦横比:1対2


クウェート国
دولة الكويت (ダウラット・アル=クワイト)
State of Kuwait (ステイト・オブ・クーウェイト)

Map_of_Kuwait.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:アジア
面積:約1.8万km² (四国とほぼ同規模)
人口:約358万人
都市人口率:98.3%
首都・最大都市:クウェートシティ (ア:مدينة الكويت 英:Kuwait City)
主要民族:アラブ人60%
        非クウェート国籍32%
        クウェート国籍28%
       南アジア系(インド人、バングラデシュ人など)35%
       ペルシア(イラン)人3%
       アフリカ系黒人2%
主要言語:アラビア語が公用語で、クウェート国籍保有者やアラブ諸国
       からの出稼ぎ労働者にとっての母語となっているが、それ以
       外の人々は自らの属する国や民族の言語を母語としている。
       国籍・民族をまたぐ共通語として英語が広く使用されている。
主要宗教:イスラム教(国教)65%
        スンナ派40~45%
        シーア派15~20%
       ヒンドゥー教18%
       キリスト教13%
       少数のシク教、仏教など。
       ※クウェート国籍保有者はほとんどがイスラム教徒。

[政治・軍事]
政治体制:立憲君主制、君主に実権
独立:1961年6月19日(外交権の回復。内政権はそれ以前より保持)
国連加盟:1963年5月14日
元首:首長
    サバーハ家による世襲制。
政府:閣僚評議会(内閣に相当)
    首相は首長が任命。
    他の閣僚は首相が任命するが、首長の承認が必要。
議会:一院制の国民議会
    65議席。50議席は直接選挙(大選挙区制)で選出される。
    残る15議席には閣僚(首相含む)が自動的に着き、選挙枠
    の議員と共に国会を運営する。任期は選挙枠が4年、閣僚
    は当該役職を解任されるまで在任。
政党制:無党制(政党禁止)
国政選挙権:21歳以上の国民であり、軍人ではなく、かつ国籍を
        得てから20年以上経過している者に選挙権が与えら
        れる。
兵役制度:徴兵制
国防費:41億7400万米ドル
軍組織:クウェート軍
     陸軍1万1000人
     海軍2000人
     空軍2500人
     国家警備隊(国内治安と国境警備を担当)6000人

[経済・通信・その他]
中央銀行:クウェート中央銀行
通貨:クウェート・ディナール (dinar, KWD)
国内総生産(GDP):1128億1200万米ドル
1人当たりGDP:2万8985米ドル
GDP構成比:農林水産業0.4%
        鉱工業59.4%
        サービス業40.2%
労働人口:247万人(うち6割近くが外国人労働者)
失業率:3.0%
輸出額:553億2000万米ドル
輸出品:原油が6割、他に精製石油、天然ガス、有機化合物、再輸出品
輸出先:韓国15%、中国12%、インド12%、日本10%、米国8%
輸入額:273億4000万米ドル
輸入品:機械類、自動車、鉄鋼、航空機、医薬品、穀物、衣類、宝飾品、金
輸入元:中国13%、米国10%、サウジアラビア10%、日本7%、ドイツ5%
固定電話回線数:48万1000回線
携帯電話回線数:830万5000回線
国別電話番号:965
ccTLD:.kw
インターネット利用者数:約320万人
車両通行:右側通行
平均寿命:78.0歳 (男性76.6歳、女性79.4歳)

[日本との関係]
国交樹立:1961年12月8日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:128人 (永住者1人)
相手輸出額:57億5300万米ドル
相手輸出品:原油が8割、他に精製石油と天然ガスが約1割ずつ
日本公館:大使館 (クウェートシティ)
在留日本人数:194人 (永住者63人)
日本輸出額:20億1300万米ドル
日本輸出品:自動車と部品、機械類、鉄鋼、ゴム製品、化学薬品
現行条約:1962年 航空協定
       1967年 司法共助取極
       2013年 租税条約
       2014年 投資協定


《国歌「クウェート国歌」》
制定:1978年
作曲:イブラヒム・アル=スーラ
作詞:アフマド・メシャリ・アル=アドワニ

我が祖国クウェートに、平和と栄誉を!
そなたは絶えず素晴らしき幸運を享受するだろう!
祖国クウェート、祖国クウェート。
祖国クウェートに平和と栄誉を!

我が祖先揺籃(ようらん)の地。
祖先はその記憶を留めん。
調和を絶やさず、永遠を示しながら、
この地のアラブ人は神聖であり続ける。

《国名の由来》
アラビア語で「水場に近い要塞」を表す単語قوة(クート)を語源とするが、この単語は元をたどればサンスクリット語のコト(「城下町」の意)に由来する。これがインド、ペルシアを経てアラビアに持ち込まれたという。

クウェート産の原油を表す際、国名の音感からQ8と石油缶に書かれる場合がある。また日本語ではクエート、クェート、クウェイトといった表記も見られる。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

ツイッターやってます。基本的に更新情報はここでつぶやいてます。

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