キルギス

キルギス (キルギスタン)
Кыргызстан (キルギス語)
Киргизия (Киргизстан) (ロシア語)
Kyrgyzstan (英語)

Flag_of_Kyrgyzstan.png

中央アジアの内陸に位置するキルギス共和国(キルギスタン)は、1991年にソ連から独立した国です。国土の4割が標高3000mを超える山岳国で、東隣の中国との国境を形作る天山山脈や、南隣のタジキスタンに向かって広がる「世界の屋根」パミール高原などを抱え、その他の地域も大半は高原地帯です。その一方、イシク湖を中心とする数多くの湖沼と河川を持つ水の国でもあり、澄んだ水と肥沃な土地に恵まれ、自給用穀物のほかに綿花や葉タバコなど輸出用作物も盛んに栽培されています。他にも金や水銀、アンチモンなどの鉱業、土地の高低差と豊富な水を利用した水力発電が盛んですが、内陸国かつ高地のため陸路でのアクセスに不利という地理的な弱点と、不安定な政情が経済発展の足かせとなっており、旧ソ連圏ではタジキスタンに次いで貧しい国です。

現在のキルギスの領域は、古くから匈奴、突厥、ウイグル、モンゴル帝国といった遊牧国家の一部としての歴史を刻んできた場所であり、16世紀にトルコ系遊牧民の一派であるキルギス人が移住してきてからも、その伝統はほとんど変わりませんでした。しかし19世紀に入ると、北の大国ロシアが中央アジアの領有を目指して南下し、1876年までに併合を完了。これに伴い文化・風習のロシア化、そして遊牧民の定住化が進み、ロシア革命後にソ連の一部となった後も、しばらくは連邦最大の共和国であるロシア共和国に付属する自治州として扱われました。連邦を構成する共和国の1つとしてロシアと対等な地位に昇格するのは、1936年になってからのことです。それから55年後の1991年、ソ連崩壊に伴いキルギスタン共和国として独立を達成し、1993年には現在のキルギス共和国へと改称しています。

キルギスは独立翌年の1992年、それまで使われてきた社会主義色が強い赤旗を廃止し、公募に基づいて新国旗を制定しました。中央に置かれているのは、長らく草原で遊牧生活を営んできたキルギス人が移動式住居として用いてきたユルトの天井部分で、その周囲を40本の光線を放つ太陽が囲んでいます。この太陽は民族叙事詩として口承されてきた「マナス」と呼ばれる物語に由来するもので、英雄マナスが契丹やオイラト族といったモンゴル系民族と戦った際、40の部族が彼のもとで勇敢に戦い、その子孫が後にキルギスと呼ばれるようになったという伝説をモチーフとしています(下記の国名の由来も参照のこと)。また地色の明るい赤も、マナスがこよなく愛した色とされ、民族の尚武と勇気を象徴します。自らをマナスとその同盟者の子孫と位置付けるキルギス人にとって、この国旗は民族の精神と誇りに強く関連付けられた旗として愛され、独立後に数度あった政変を通じても、変わることなく用いられ続けています。首都ビシュケクにある空港もマナス国際空港と名付けられているぐらいですしね。

縦横比:3対5

【旧国旗】
Kyrgyz SSR
ソ連を構成していた15共和国の1つ、キルギス・ソビエト社会主義共和国の国旗です。1952年から1992年まで用いられました。ソ連時代の各共和国の国旗はソ連国旗にそれぞれの意匠を盛り込んだものでしたが、キルギスの場合は青が湖と河川、白は主要な農産物の1つである綿花を表します。

ソ連時代の各共和国の国旗は民族の由来や伝統とは関係なく、単に地理的特性や特産物に基づいて機械的に作成されたものがほとんどのため、マナスをはじめとするキルギス人の象徴はこの旗には組み込まれていません。


キルギス共和国
Кыргыз Республикасы
Киргизская Республика
Kyrgyz Republic

Map_of_Kyrgyzstan_.gif

統計データは原則として2016年時点のもの。

[地理]
位置:アジア
面積:約20.0万km² (日本のおよそ半分)
人口:約602万人
都市人口率:36.0%
首都・最大都市:ビシュケク (キ・露:Бишкек 英:Bishkek)
民族:キルギス人(トルコ系)72%
   ウズベク人(トルコ系)14%
   ロシア人(スラヴ系)9%
   ドンガン人(中国系、注1)2%
   ウイグル人(トルコ系)1%
   タジク人(ペルシア系)1%
   少数のカザフ人、ウクライナ人など。
言語:キルギス語が国語、ロシア語が公用語。キルギス語は最大民
   族キルギス人の母語として話され、政府も普及に努めている
   が、実際にはロシア語が各民族をまたぐ共通語として広く用
   いられており、両言語の並立制が続いている。他にウズベク
   語などの各民族語。
宗教:イスラム教80%
    スンナ派79%以上
    極少数のシーア派、アフマディーヤ教団も存在
   キリスト教17%
    正教会16%
    他にローマ・カトリック教会、プロテスタント諸派など
   少数の仏教、ユダヤ教など。

[政治・軍事]
独立:1991年8月31日
国連加盟:1992年3月2日
政治体制:共和制、議院内閣制
元首:大統領
   直接選挙制、任期6年、再選禁止。
政府:閣僚評議会(内閣に相当)
   首相は議会の指名に基づき、大統領が任命。
   他の閣僚は首相の指名に基づき、大統領が任命。
   ただし国防・治安系の閣僚のみ大統領が直接選任する。
議会:一院制の最高会議
   120議席。直接選挙制(比例代表制)。任期5年。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:徴兵制
国防費:2億1200万米ドル
軍組織:キルギス共和国軍
    陸軍8500人
    空軍2400人
    国境警備隊5000人
     
[経済・エネルギー]
中央銀行:キルギス共和国国立銀行
通貨:ソム (som, KGS)
国内総生産(GDP):65億400万米ドル
1人当たりGDP:1077米ドル
GDP構成比:農林水産業14.3%
      鉱工業32.5%
      サービス業53.2%
労働人口:284万人
失業率:7.4%
輸出額:15億4400万米ドル
輸出品:金、宝石の原石、豆類、綿花、銅くず、葉タバコ、乳製品、衣類
輸出先:スイス45%、カザフスタン11%、ロシア10%、ウズベキスタン9%、トルコ7%
輸入額:36億4400万米ドル
輸入品:機械類、化学繊維、精製石油、医薬品、鉄鋼、穀物、自動車
輸入元:中国38%、ロシア21%、カザフスタン16%、トルコ5%、米国4%
発電量:128億1000万kWh
    (火力21%、水力79%)
電力消費量:106億8000万kWh (1人当たり1774kWh)
電力輸出量:1億8400万kWh
電力輸入量:7億2900万kWh

[通信・その他]
固定電話回線数:38万2000回線
携帯電話回線数:761万4000回線
国別電話番号:996
ccTLD:.kg
インターネット利用者数:約208万人
車両通行:右側通行
平均寿命:71.1歳 (男性66.8歳、女性75.4歳)

[日本との関係]
国交樹立:1992年1月26日
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:401人 (永住者26人)
相手輸出額:35万米ドル
相手輸出品:蜂蜜、製薬原料、豆類、衣類、木材
日本公館:大使館 (ビシュケク)
在留日本人数:139人 (永住者2人)
日本輸出額:840万米ドル
日本輸出品:ゴム製品、機械類、自動車と部品、紙類、有機化合物
現行条約:2004年 技術協力協定

(注1)
ドンガン(東干)人は中国の最大民族である漢族のうち、イスラム教を信仰する少数集団のこと。かつての清朝に弾圧されたイスラム教徒漢族が中央アジア各地に逃げ込み、散り散りとなりつつも新たな生活を始めた。その子孫が帝政ロシア時代、ソ連時代を経てドンガン人と呼称されるようになり、現在もソ連崩壊後に独立していった中央アジア諸国における少数民族の1つとして、独自の民族アイデンティティを保持しながら、各地に生活基盤を築いている。特にキルギスでは、主要民族の人口統計に現れる程度には居住規模が大きい。

なお、現在の中華人民共和国ではイスラム教徒の漢族は「回族」と呼ばれ、漢族とは別個の民族として扱われた上で、内陸部の寧夏地方で独自の自治区(寧夏回族自治区)を形成しているが、ドンガン人も中華人民共和国の民族政策上は回族と同様の存在と見なされる。


《国歌「キルギス共和国国歌」》
制定:1992年
作曲:ナシル・ダフレソフ/カルィ・モルドバサノフ
作詞:ジャミル・サディコフ/エシュマンベト・クルエフ

高い山々、渓谷、そして草原。
これぞ我らの聖なる故郷。
我らが父祖はアラタウ(注1)の山々に生き、
常に母なる故郷を守り続けてきた。

来たれ、キルギスの民よ。
自由へと向かえ!!
立ち上がり、栄華を極めよ!
幸福なる運命を導け!

《国名の由来》
最大民族キルギス人の民族名に由来。日本語のキルギスという呼び方はロシア語での発音(Киргиз)に由来するものであり、キルギス語ではКыргыз(クルグズ)と表記する。クルグズとは合成語で、「草原」を表すクル(Кыр)と「遊牧民」を意味するグズ(гыз)の組み合わせ、もしくは「40」を表すクルグ(Кырг)と「部族」を意味するウズ(ыз)の組み合わせという説がある。この40は前述した国旗の解説で出てきた、マナスに率いられた部族の数である。

通称はキルギス語でクルグズスタン(Кыргызстан)、ロシア語ではキルギージヤ(Киргизия)キルギズスタン(Киргизстан)、英語ではキルギスタン(Kyrgyzstan)が用いられるが、スタンとは周辺国と同様、「○○の土地」を表すペルシア語に由来する単語であり、いずれの呼称でも「キルギス人の国」を意味する。1991年の独立当時の公式国名はキルギスタン共和国だったが、1993年に外来語であるスタンを外した現在のキルギス共和国に改称された。しかし引き続き、スタンを用いた通称は国内外問わず頻繁に用いられる。

旧国名
1936-
1990
 キルギス・ソビエト社会主義共和国
(キ)Кыргыз Советтик
  Социалисттик Республикасы

(露)Киргизская Советская
  Социалистическая Республика
(英)Kirghiz Soviet Socialist Republic
1990-
1993
 キルギスタン共和国
(キ)Кыргызстан Республикасы
(露)Республика Киргизстан
(英)Republic of Kyrgyzstan


(注1)
現在は天山山脈の支脈であるアラタウ山脈のことを指すが、もとは遊牧民が雪と岩に覆われた中央アジアの山々を漠然と指した言葉で、固有名詞ではなかった。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と2女1男の5人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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