グリーンランド

グリーンランド
Kalaallit Nunaat (カラーリット・ヌナート) (グリーンランド語)
Grønland (グレンラン) (デンマーク語)
Greenland (グリーンランド) (英語)

Flag_of_Greenland.png

1つの島としては世界最大の面積を持つグリーンランドは、北大西洋と北極海の境界に位置し、領域の8割以上が氷床に覆われた極寒の地です。その氷の厚さは、沿岸部でも1500m、より寒冷な内陸では3000mを超えることもあるとか。そのような厳しい気候のため、日本の6倍近い面積を持ちながら人口はわずか5万人強。しかもそのほとんどが氷河の及ばない南西部の沿岸地域に集中しています。総人口のおよそ1/4は最大の都市かつ自治政府の所在地であるヌークに居住しているものの、それでも市人口は2万人に届かない程度と非常に小規模であり、いかに人の営みが希薄な土地であるかがうかがい知れます。当然、そんな気候のもとでは農業を振興できるはずもなく、小麦など主食となる食料は輸入に頼らざるを得ませんが、水産業に関しては周辺が世界でも屈指の好漁場であるため好調で、現時点ではグリーンランドの輸出品の実に9割以上が魚介類とその加工品で占められています。更に氷床の下に埋もれた土地には金、銀、ダイヤモンド、プラチナ、ニッケル、鉄、そして石油など多くの鉱産資源が眠ると考えられており、現にその一部は既に採掘事業が展開され、輸出に向けられています。

歴史上、最初にグリーンランドに入植したのは、10世紀後半に島を発見したヴァイキングの首領「赤毛のエイリーク」とされていますが、当時の技術では極めて厳しいこの地の環境に白人は適応出来ず、小氷期に入った15世紀頃には入植者は全滅したといいます。そのため、グリーンランドの先住民といえば、通常はヴァイキングの後に北米からこの地に定住し、環境に適応した黄色人種の人々(現在イヌイットカラーリットと呼ばれる民族)を指します。その後、グリーンランドは長らくヨーロッパ人から忘れ去られていましたが、16世紀に再発見され、18世紀にはデンマーク人が沿岸部に再入植を開始し、植民地経営を開始しました。1953年には本土の県と同格の自治体となり、一定の範囲内でグリーンランド独自の条例を制定できるようになりましたが、本国が1973年にヨーロッパ経済共同体(EEC、現EUの母体)に加盟すると、漁船操業と漁獲高を定めたEECの規定が海外領土にも適用されることとなり、水産業で生計を立てているこの地の人々は激しく反発します。結局、デンマーク政府もこの動きは抑えられず、1979年にグリーンランドは高度な自治権を獲得し、1985年には独自の判断でEECから脱退しました(本国は現在も加盟)。ただ同時に、水産業に頼る脆弱な産業基盤しか持たないグリーンランドが即座に独立することも不可能であり、当面は本国からの援助金が無ければ財政も成り立たないことから、自治政府は段階的な自治権拡大と産業育成期間を経て、しかるべき時期に独立を果たすことを目標としています。2009年にはその大きな一歩として、自治権の更なる拡大と、氷の下に眠るとされる莫大な天然資源の権利を獲得しました。現在、グリーンランド自治政府は外交権の一部と国防権を除くほぼ全ての権限を持っており、内政に関しては半独立国とすら呼べるほどの自立的な立場を手に入れていますが、敢えて早急な独立には踏み込まず、デンマーク人による再入植300周年となる2021年の独立達成をめざし、産業の育成に励んでいます。

エルファラソープト(Erfalasorput、「我々の旗」の意)と呼ばれるグリーンランドの旗は、1985年に行われた公募の結果、島内の最大都市ヌークに住む工芸家トゥエ・クリスチャンセンのデザインが採用されました。配色はデンマーク国旗を参照したもので、白は氷を、赤は海を表します。海を赤で表すのは大変珍しいことですが、グリーンランドの隣国カナダの国旗の赤もこれと同じ用法であり、両者が朝焼けや夕焼けで赤く光る極地の海を共有していることがうかがえます。また、北極海に昇る日の出、もしくは日の入りを象徴するために、ホイスト部で赤と白が互い違いに円を構成しています。

縦横比:2対3


グリーンランド
Kalaallit Nunaat
Grønland
Greenland


Map_of_Greenland_.png

[地理]
位置:北アメリカ
面積:約216.6万km² (日本の約5.7倍)
人口:約5.7万人
都市人口率:86.4%
政庁所在地・最大都市:ヌーク (グ・デ・英:Nuuk, 注1)
主要民族:先住民(イヌイット、カラーリット)88%
       ヨーロッパ系白人(ほとんどがデンマーク人)12%
       ※先住民の統計には、先住民と白人の混血者も含まれる。
主要言語:グリーンランド語が公用語で、先住民系住民の母語として広く
       用いられる。デンマーク語は2009年の自治権拡大に伴い、公
       用語の指定から外されたが、宗主国の言語として実質的に公
       用語と同列の言語として扱われる状態が続いており、住民の
       大半は両言語のバイリンガルである。
主要宗教:キリスト教96%
        デンマーク国教会(福音ルター派)93%
        極少数のローマ・カトリック教会、他のプロテスタント諸派など
       無宗教2~3%
       少数の伝統宗教(先住民固有の精霊信仰)、バハーイー教など

[政治・軍事]
自治権獲得:1979年5月1日 (2009年6月21日に権限拡大)
政治体制:立憲君主制、議院内閣制、デンマークの自治領
元首:デンマーク王国国王
    グリュックスブルク家による世襲制。
    国王の名代として高等弁務官が元首の権限を代行。高等弁務官は
    自治政府並びにデンマーク本国政府の助言を基に国王が任命。
政府:グリーンランド自治政府
    首相は議会が選出。他の閣僚は首相が指名するが、議会の承認
    が必要。正式な任命は国王が行うものの、実務上は元首の権限を
    代行する高等弁務官によって成される場合が大半。
議会:一院制の国会
    31議席。直接選挙制(比例代表制)。任期4年。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制 (本国は徴兵制だが、グリーンランドは対象外)
備考:自治政府に独自の国防権は認められておらず、有事の防衛はデン
    マーク軍が担当するが、2009年の自治権拡大に伴い、沿岸警備
    隊の管轄権が自治政府に委譲された。沿岸警備隊は500人未満
    と小規模であるが、デンマーク軍のグリーンランド駐留部隊及び北
    部に駐留する米軍と共同で、周辺海域の警戒活動に従事する。

[経済・通信・その他]
中央銀行:無し (デンマーク中央銀行がグリーンランドも管轄)
通貨:デンマーク・クローネ (krone, DKK)
国内総生産(GDP):24億4100万米ドル
1人当たりGDP:3万6977米ドル
GDP構成比:農林水産業10~15%
        鉱工業約15~20%
        サービス業65~70% (2014年推計)
労働人口:2.6万人
失業率:10.3%
輸出額:7億3200万米ドル
輸出品:魚介類と加工品が9割半以上、他に船舶
輸出先:デンマーク47%、中国12%、日本10%、ロシア8%、アイスランド4%
輸入額:6億4500万米ドル
輸入品:機械類、穀物、精製石油、肉類、航空機、自動車、乳製品、鉄鋼
輸入元:デンマーク63%、スウェーデン9%、アイスランド6%、ドイツ4%、カナダ3%
固定電話回線数:1万6000回線
携帯電話回線数:6万1000回線
国別電話番号:299
ccTLD:.gl
インターネット利用者数:約3.8万人
車両通行:右側通行
平均寿命:72.5歳 (男性69.7歳、女性75.2歳)

(注1)
旧称のゴットホープ(Godthåb)と書かれる場合もあり、特にデンマーク語話者に顕著な傾向として見られるが、公文書ではデンマーク語でもヌークが用いられる。


《地域歌「我が祖国、汝は時を重ねり」》
制定:1916年
作曲:ヨナタン・ピーターセン
作詞:ヘンリク・ルント

我が祖国、白き髪をまといし汝は時を重ねり。
その胸に汝の子たる我らを抱き、海辺の富を与えたまえ。
我らは家族における青年の如く、
立派なカラーリット(先住民のこと)に成長した。
汝の誇りと名誉を前に、我らは自らを叫ばん。
燃え上がる情熱と共に、
汝が発展するために必要なものを与え、革新し、
前へ、前へ進まんとする我らの妨げとなるものを取り除こう。
我らの渇望せし目標、それは円熟した社会への道筋。
我らが見守らんとした、言語と文学の力。
卑屈に甘んじるな、カラーリットよ、立ち上がり、誇りを持て!
尊厳ある生活こそ我らの目標。勇ましく起て。

《地域名の由来》
グリーンランド語ではKalaallit Nunaat(カラーリット・ヌナート)と表記され、「カラーリットの土地」を意味する。カラーリットとは北米地域のイヌイット系先住民のうち、特にグリーンランドに住む人々のみを分けて示す言葉。カラーリット単体では「人間」や「人々」を表す。

他称であるグリーンランドは、デンマーク語のGrønland(グレンラン)に由来し、「緑の土地」を表す。赤毛のエイリークが10世紀にこの地に到着する前、既に別のヴァイキングによって南東に浮かぶ別の島にアイスランドという名前が付けられていたが、厳しい気候を想起させるその名称では入植希望者が集まらなかった。そのため、彼は北方への入植を奨励し勢力圏を拡大する必要上、アイスランドより後に発見したこの島に緑豊かな土壌を想起させる名称を付けたのだという。実際には、北極圏にすら達するグリーンランドの気候はアイスランドのそれよりも遥かに険しく、森林はおろか雑草すらほとんど生育出来ない不毛の土地であり、沿岸部のわずかな地域以外は人間の定住が不可能な氷の世界となっているが、島の実情が知られていなかった当時は少なからず入植者が集まったという。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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