香港

香港
香港 (シャンガン) (中国語標準語)
香港 (ヒョンゴン) (中国語広東方言)
Hong Kong (ホンコン) (英語)

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中国南部の広東省の南岸に位置する珠江デルタ地帯は、広大な中国でも一、二を争う人口密集地域として知られますが、その東端には香港島、ランタオ島(大嶼山)を中核とする島嶼部、そして南方に突き出た九龍半島と新界を含む大陸部を領域とする、「香港特別行政区」という特殊地域が置かれています。この地域は国際法上は中華人民共和国の一部でありながら、その特殊な歴史的経緯から、国防と一部の外交権を除いた高度な自治権を持ち、経済・文化政策においては半独立国並みの権限を付与され、一部の国際機関にも独自に加盟しています。このように本国の一部でありながら、本国とは別の制度で自治区画を形成している現在の香港の体制を一国二制度と言い、共産党支配下の中国本土では認められていない多党制のもとで、独特な文化を築き上げています。区自体は沖縄本島を少し小さくした規模の土地に、中堅国の総人口にも相当する700万人以上という人口を抱えた超過密地域で、慢性的な土地不足により横長な平屋を建てる余裕が無いため、人々の生活空間は自然と縦に伸び、数多の高層ビルが林立する現代的な景色が築き上げられました。特にそれらが様々な色合いでライトアップされる香港の夜景は、世界三大夜景の一つとされており、いわゆる「百万ドルの夜景」とも呼ばれるその壮観な景色は、多くの観光客を惹きつけています。

今でこそ世界的な金融センターとして、またアジア有数の国際自由港として、様々な物品、情報、金、そして人が集まる豊かな香港ですが、かつては蛋民(たんみん)と呼ばれる水上生活民の拠点として、細々と漁業が行われるだけの辺境の土地でした。4世紀からは大陸の歴代王朝の支配下に入り、香木の集散地、塩田の開発、真珠の採集、明朝期以降は水軍の拠点といった別の側面も帯びていったものの、この地が歴史上本格的に注目されるのは、1839年に当時大陸を統治していた清朝とイギリスの間で勃発したアヘン戦争、並びにその講和条約である南京条約(1842年締結)からです。この条約により、イギリスは香港島の永久割譲を清朝に認めさせ、植民地支配を開始。次いで1856年のアロー戦争でも再度勝利したイギリスは、香港島の対岸の九龍半島も獲得しました。その後もイギリスは弱体化していく清朝に圧力を掛け続け、1898年に両地域の後背地となる新界並びに周辺の島嶼部を99年の期限付きで租借し、実質的に香港植民地の一部として統治するようになり、現在の香港特別行政区とほぼ同様の領域を支配するようになったのです。このイギリスの統治下で、香港は国際自由港として飛躍的な発展を遂げ、経済的な重要度は増していく一方となり、清朝滅亡後も混迷と窮乏を極めていた中国大陸の情勢を尻目に、東洋屈指の「資本主義のショーウィンドウ」として、その名を馳せていくようになります。第二次大戦中はその重要性に目を付けた日本による占領も経験しましたが、戦後は再びイギリスが統治権を回復。従来の繁栄を取り戻すよう、一層の経済開発が進められる中、1949年に大陸で共産党が一党制を敷く中華人民共和国が成立すると、共産主義体制に反発して中国各地から逃げ出した人々が香港に大量流入し、庶民は労働力として、富裕層は資本力となって香港経済を回す原動力となり、香港の経済規模は飛躍的に拡大しました。現在も香港の製造業の一翼を担う機械部品の生産や、繊維産業が発展していったのもこの時期のことです。しかしこの頃になると、イギリスにとっては香港島と九龍半島以外はあくまで期限付きの租借地であるこということが懸念材料となっており、何度か租借期間の延長を申し出たものの、中国は応じませんでした。ここにきて遂にイギリスは植民地の維持を断念し、1984年には英中共同声明によって、香港植民地を構成する全ての領域を1997年に中国に返還することを表明。この決定による人口流出は相次いだものの、その後は返還の法的手続き、並びに返還後の香港の体制をめぐる交渉が幾度となく行われ、1990年には中国が返還後の香港の統治体制を定めた香港特別行政区基本法(区の憲法に相当)を制定。その中で返還から50年は従来の資本主義・自由市場経済体制を維持し、大陸に張り巡らされた共産党支配は当面、香港には適用されないこと、社会主義政策を敷かないことなどが定められました。そして1997年7月、イギリスは香港に対する主権を中国に委譲し、新たに「中華人民共和国香港特別行政区」が成立することとなったのです。

香港の旗は1990年の基本法制定に伴いデザインが確定され、1997年の特別行政区成立に伴い正式に区旗として制定されたものです。この意匠は3年間にわたる公募と選定作業の中から、上海生まれながら後に香港に移住し、芸術や建築の分野で活躍していた何弢(か・とう)という人物が作成したものを採用したもので、地色の赤は香港が中国の一部であることを象徴します(中国国旗も地色は赤)。中央の花は中国では紫荊(しけい)、西洋的な表現ではバウヒニアと呼ばれるもので、香港の庭園によく見られる区花として親しまれています(香港蘭と呼ばれることも)。これらを紅白の二色で表現することで、香港が一国二制度のもとで独自性を持つ地域であることを表す一方で、その花弁の中の五つの星は中国国旗との共通性を強調したもので、愛国心を示すものとされます。なお、中国語では紫荊というと一般的にはハナズオウを指すため、日本の国旗関連の文献でも香港のデザインに用いられた花をハナズオウと紹介している場合がありますが、バウヒニアとハナズオウは同じマメ科ながら別の植物であり、明確な誤りです(ハナズオウを紫荊、バウヒニアを洋紫荊と表記するのが中国語の標準的な表記なため、仕方ないのかもしれませんが…)。


香港特別行政区
香港特别行政区 (シャンガン・タァビエ・ハンジョンチィ)
香港特別行政區 (ヒョンコン・タックピット・ハンチェンキョイ)
Hong Kong Special Administrative Region
(ホンコン・スペシャル・アドゥミニストゥレイティヴ・リージョン)


Map_of_the_Hong_Kong_SAR.png

[地理]
面積:1108km² (沖縄本島より少し小さい)
人口:約734万人
都市人口率:100% (区全体で香港という1つの都市)
区都:中西区 (英:Central and Western District)
民族:漢族92%
    フィリピン人2~3%
    インドネシア人2%
    ヨーロッパ系白人、南アジア諸国系、タイ人、日本人など。
言語:中国語と英語が公用語。中国語はもっぱら広東方言が用いられ、
    標準語(普通話)は政府機関など公的機関で広東方言と併用され
    る程度。
宗教:漢族古来の民俗宗教(神教)40~50%
    仏教15%
    道教14%
    キリスト教11%
     プロテスタント諸派6%
     ローマ・カトリック教会5%
    イスラム教4%
    ヒンドゥー教1%

[政治・軍事]
特別行政区成立:1997年7月1日
政治体制:共和制、一国二制度に基づく中国の特別行政区
元首:中華人民共和国主席
    本国の議会が選出。任期5年。3選禁止。
政府:行政会議(内閣に相当)
    区の長である行政長官は、各種職能団体や全人代の香港代表議
    員、香港内の各区の地方議会議員で構成される「選挙委員会」が
    選出し、国務院(本土の政府)が正式に任命する。任期5年、3選禁
    止。他の閣僚は行政長官の指名に基づき、国務院が任命する。
議会:一院制の立法会
    70議席。半数は直接選挙(比例代表制)で、もう半数は各種職能団
    体による間接選挙により選出される。任期4年。
政党制:多党制 (小党乱立の傾向が強いが、おおむね本土政府との関
           係を重視する建制派、香港独自の道を求める民主派に
           大別される)
兵役制度:無し (本土の兵役制度は適用されない)
兵員:国防は人民解放軍の現地部隊(約6000人)が担当する。

[経済・通信・その他]
中央銀行:香港金融管理局
通貨:香港ドル (dollar, HKD)
国内総生産:3099億2900万米ドル
1人当たりGDP:4万2328米ドル
GDP構成比:農林水産業0.1%
        鉱工業7.2%
        サービス業92.7%
労働人口:391万人
失業率:3.6%
輸出額:4651億米ドル
輸出品:機械類、衣類、履物、精密機器、金、宝飾品、プラスチック製品、医薬品
輸出先:中国51%、米国7%、日本5%、台湾4%、シンガポール4%
輸入額:5220億米ドル
輸入品:機械類、金、宝飾品、精密機器、精製石油、船舶、自動車、衣類
輸入元:中国49%、台湾7%、日本6%、シンガポール6%、米国5%
固定電話回線数:432万7000回線
携帯電話回線数:1673万6000回線
ccTLD:.hk
インターネット利用者数:約544万人
車両通行:左側通行
平均寿命:83.1歳 (男性80.3歳、女性85.8歳)


《地域名の由来》
簡体字・繁体字ともに「香港」と書くが、読みは中国語普通話(標準語)ではシャンガン、広東方言ではヒョンコンに近い。由来は諸説あるが、現在の香港島が、明朝期に珍重された南方の香木の一種である「莞香」の積出港として用いられたためという説が有力。

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嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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