ソマリランド

ソマリランド
Soomaaliland (ソマリ語)
صوماللاند) أرض الصومال) (アラビア語)
Somaliland (英語)

Flag_of_Somaliland.png (★See below)

東アフリカに位置し、インド洋に突き出たソマリア半島(別名、アフリカの角)には、古くからイスラム教を信仰するソマリ人と呼ばれる人々が居住しています。地域の大半が不毛な砂漠という厳しい環境からか、歴史的に他の勢力の進出が極めて限定的に留まったため、民族構成は均質性が非常に高く、ほぼソマリ人の単一地域と呼んでも差し支えがありません。そんなこの地域は19世紀末に北部がイギリス領、南部がイタリア領となり、主に沿岸の港湾都市を拠点に植民地支配が敷かれましたが、第二次大戦後の1950年に南部がイタリアを施政者とする国連信託統治領に移行し、10年後の独立が確約されると、北部でもソマリ人居住地域を統合した大ソマリ国家を建設しようという動きが盛んになりました。結局、1960年6月26日にまず北部がソマリランド国として独立し、5日後の7月1日に南部も独立したのに伴い両者は統合、ソマリア共和国が建国されました。

独立当初はサハラ以南のアフリカでは貴重な事実上の単一民族国家として、内紛の心配の無い安定的な統治と経済発展が期待されましたが、ソマリ人は民族よりもむしろその下部集団である氏族への帰属心が強く、しばしば同じソマリ人でありながら別の氏族であるという理由で対立を繰り返してきました。ソマリアが建国された後もその傾向は変わらず、1969年にクーデターで実権を握ったシアド・バーレ政権下では南部の氏族ばかりが重用されます。これには畜産品やバナナなど、ソマリアの主要な輸出品を生産している北部(特にイサック氏族)が反発し、搾取の禁止と格差是正を求めて1981年よりソマリ国民運動(SNM)を結成して反政府闘争を展開。1991年1月にバーレ政権が崩壊し、内戦の勃発で中央政府が消滅すると、SNMは隙を突く形で同年6月にソマリランド共和国の名で北部の再独立を宣言しました。その後、内戦に明け暮れるソマリア(旧南部)を後目に、ソマリランドは着々と独立国家としての体裁を整えながら実効支配を確立。2001年には新憲法を制定し、アフリカでは珍しく複数政党制に基づく民主主義体制が機能している国となり、比較的平穏な統治が行われています。しかし国際社会は、分離独立運動を抱える国がアフリカに数多く存在する事情と、独立を承認してしまえば分離運動を刺激して大陸全体の治安を不安定化させるという懸念から、この国の承認に踏み切れていません。一応、隣の内陸国エチオピアジブチ以外にも海への出口を確保する狙いからソマリランドと友好関係にありますが、そのエチオピアすら正式な国交樹立には後ろ向きであり、当分は「未承認国家」という曖昧な地位のまま存続していくものと見られます。

ソマリランドの国旗は独立宣言5周年を記念して1996年に新調されたもので、緑、白、赤の横三色旗にイスラム教の信仰告白(シャハーダ, 注1)と黒い星をあしらった意匠となっています。緑はイスラム教と繁栄、白は平和、赤は独立のために流された血を表し、黒い星はソマリアから分離した経緯から、かつて盛んに唱えられた大ソマリ国家の夢が、もはや過去のものとなったことを表します(ソマリア国旗の白い星と対比させているようです)。赤は炎熱の砂漠地帯であるこの国では特に色褪せやすい色のため、しばしば橙色に置き換えられることもあるとか。また、イスラム教の聖なる言葉が配された旗のため、半旗として使用することは禁止です。同じくシャハーダを用いた国旗を制定しているサウジアラビアと同じですね。

縦横比:1対2

【旧国旗】
Flag_of_the_State_of_Somaliland_(1960)_and_now_Somalia.png
1960年6月26日から同7月1日までの5日間だけ存在した、ソマリランド国の国旗です。この旗は南北統合に伴いそのままソマリア国旗に引き継がれましたので、詳細はソマリアの記事を参照して下さい。

Flag_of_Somaliland_1991-1996.png
1991年6月の独立宣言に伴い制定された国旗で、ソマリランド共和国としては初代国旗となります。平和を表す白地にイスラム教のシンボルである緑を円形に配し、その周辺にシャハーダが書かれたデザインとなっています。1996年、独立5周年を記念する国民会議で現国旗が制定されたため廃止されました。


ソマリランド共和国
Jamhuuriyadda Soomaaliland
جمهورية صوماللاند) جمهورية أرض الصومال)
Republic of Somaliland


Map_of_Somaliland.gif

統計データは原則として2012年時点のもの。ほとんどのデータが推計値である。

[地理]
位置:アフリカ
面積:約13.8万km² (日本の1/3強)
人口:350~400万人
首都・最大都市:ハルゲイサ (ソ:Hargeysa, 英:Hargeisa)
主要民族:ソマリ人がほとんど。
主要言語:ソマリ語、アラビア語、英語の3公用語。ソマリ語はほとんどの
       国民が母語として用いる言語で、公私問わず幅広い分野で話
       される。ただし宗教行事や、中東諸国とのビジネスの場におい
       てはアラビア語が主に用いられ、多くの国民が第二言語として
       習得している。英語話者は都市部に偏っており、ある程度の教
       育を受けられるエリート層が使う言語と見なされている。
主要宗教:イスラム教(スンナ派がほとんど)ほぼ100%

[政治・軍事]
独立:1991年5月18日
国連加盟国からの国家承認:0ヶ国
政治体制:共和制、大統領制
元首:大統領
    直接選挙制。任期5年。3選禁止。
政府:閣僚評議会(内閣に相当、首相職なし)
    閣僚は大統領が任命するが、下院の承認が必要。
議会:二院制の国会
    ●長老院(上院)
     82議席。ソマリ人の伝統的な首長や有識者の中から選出。
     任期6年。宗教、伝統文化、社会制度に対する政策に助言
     を与える諮問機関で、立法権は持たない。
    ●代議院(下院)
     82議席。直接選挙制(比例代表制)。任期5年。
     通常の立法権はこちらが行使する。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:不明
国防費:不明 (500~1000万米ドルと推計される)
軍組織:ソマリランド軍
     総数3~4万人。陸軍と海軍の二兵種から構成されるが、
     内訳は不明。大半は陸上戦力と見られる。

[経済・その他]
中央銀行:ソマリランド銀行
通貨:ソマリランド・シリング (shilling, 通貨コード無し)
国内総生産(GDP):14億米ドル
1人当たりGDP:347米ドル
GDP構成比:農林水産業50~60%
        鉱工業0~10%
        サービス業30~40%
労働人口:不明 (150~200万人前後と推計される)
失業率:不明 (70~80%前後と推計される)
輸出額:不明 (3000万米ドル前後と推計される)
輸出品:家畜と畜産品、油料種子(胡麻やナッツ類など)、バナナ
輸出先:サウジアラビア、イエメンなど中東諸国が大半 (割合不明)
輸入額:不明 (2~3億米ドルと推計される)
輸入品:食料品、建築資材、衣類、化学製品、石油製品、機械類
輸入元:UAEなど中東諸国が大半 (割合不明)
ccTLD:なし
インターネット利用者数:不明
車両通行:右側通行
国別電話番号:252 (ソマリアと同一)

(注1)
信仰告白(シャハーダ)とは「アッラーの他に神は無く、ムハンマドはアッラーの使徒である」と個人が宣言すること。すなわち、イスラムの唯一神たるアッラーだけを神として認め、他のいかなる神も廃することに賛同する、と明言する行為のこと。この言葉を他のイスラム教徒や権威あるイスラム指導者が認める場で発した瞬間から、その人物はイスラム教徒として受け入れられ、イスラム共同体の構成員になるという(ただしシャハーダの口述はアラビア語で発した場合に限られる)。


《国歌「平和と共に生きよ」》
制定:1997年
作曲・作詞:ハッサン・シェイク・ムミーン

平和と共に生きよ、平和と共に生きよ、平和と共に生きよ。
祖国を美しく彩る旗を、高く掲げよう。
平和と称賛と共に生きよ。
我らは平和と共に生き、歓喜を以ってそなたを迎える。
犠牲となった英雄達の記憶を以って、そなたを迎える。

ソマリランド国民のために、
再興を告げる勝利の旗のために、
そして信頼する憲法のために。
我らは団結し、兄弟として、主権者として、
またムスリム(イスラム教徒)として、そなたを迎える。
平和と共に生きよ、平和と共に生きよ、平和と共に生きよ。

《国名の由来》
この国の人口の大半を占めるソマリ人(古代ヌビア語で「黒い」の意)の民族名に由来し、それに英語で「○○の土地」を意味するlandが付いて「ソマリ人の国」を意味するソマリランドとなった。公用語であるソマリ語でもlandは訳されずSoomaaliland(ソーマーリランド)と表記されるが、アラビア語では翻訳したأرض الصومال(アード・アッ=スマール)と、原語をそのまま文字化したصوماللاند(スーマーリラーンド)の2種類の表記が存在する。


★(c) 2009 Hellerick CC BY-SA 3.0 外枠付加

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

国旗に関しては、まずは基礎知識カテゴリを熟読して下さい。

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