(準州) ユーコン

ユーコン
Yukon
(英語、フランス語)

Flag_of_Yukon.png

ユーコン準州はカナダの北西端に位置し、アメリカの飛び地であるアラスカ州と西方で接する地域です。ほぼ直角三角形の領域内は概して山がちで、準州南西部にはカナダの最高峰であるローガン山(5959m)がそびえるほか、域内には準州の名の由来となった北アメリカ大陸第五の大河ユーコン川、およびその支流が縦横無尽に張り巡らされており、高い山肌が水流で削られることで形成された数々の渓谷が特徴的です。また領域の北端が北極圏内に入る高緯度の地域のため、非常に厳しい寒冷気候を持つことで知られ、準州内では比較的温暖なホワイトホース(準州都かつ域内最大都市)ですら真冬の平均気温は-22℃、日によっては-40℃から-50℃台を記録するという、極寒の地でもあります。しかしこれらは同時に、豊かな自然と美しい景観をユーコンの地に作り出し、ホワイトホースでは都市内に居ながらにしてオーロラが観測できるなど、極地研究や観光業にとって大きな恵みももたらしています。なお、数ある犬ぞりレースの中でも世界最高峰クラスに位置付けられる「ユーコン・クエスト」は、ホワイトホースとアラスカの内陸都市フェアバンクスを結ぶ約1600kmの長距離レースで、環境の厳しい極寒の山岳地を10~20日間もの長い時間を掛けて踏破することから、世界で最も過酷な犬ぞりレースとして有名です。

ユーコンの地は2万5000年ほど前、まだ氷河期でユーラシア大陸と北アメリカ大陸が繋がっていた頃に移動した黄色人種の人々が定住した地とされ、北アメリカ大陸で最初に人類の生活が営まれた場所と言われています。彼らは後に南北アメリカ大陸各地に広がり、白人と対比してインディアン(中南米ではインディオ)やネイティヴ・アメリカンと呼ばれる先住民系諸民族として、独自の文化や部族国家を形成していきましたが、カナダの場合は「最初の民族たち」を意味するファースト・ネイションズ(First Nations)と呼ばれ、現在でも準州内で一定の影響力を保持しています。19世紀に入ると大陸各地に勢力圏を築いていたイギリス人がユーコンにも到達し、先住民との間で毛皮の交易を主体とした通商関係を結ぶようになりましたが、やがて交易だけでなく、地下資源の入手を念頭に領土的野心を抱くようになり、1870年にはノースウエスト準州の一部としてユーコンを併合しました。1896年には北西部のクロンダイク地方で有力な金鉱山が発見され、ユーコンの地はゴールドラッシュに沸き、白人入植者の数が激増。それに伴い住民はこの地域独自の地方政府の設置を求めるようになり、1898年にこの地域はノースウエスト準州から分離され、クロンダイク地方の中心都市ドーソンシティを準州都とするユーコン準州が成立したのです。しかし準州成立翌年には早くもクロンダイクの金が激減し、1903年までにゴールドラッシュは終焉。ドーソンシティはかつての活気を失い、ユーコン準州の中核地域も南部へと移動していき、準州都も1953年には正式に南部のホワイトホースへと移されました。その後、連邦政府との合意に基づいてユーコンの権限は拡大され、1978年にはそれまで連邦政府が任命する弁務官によって統治されていた政治体制が、地元議会から選出される準州政府による限定自治へと変わり、弁務官の権限は名目的なものに限られるようになりました。更に2003年に制定された「ユーコン法」によって、ユーコン準州には州とほぼ同様の高度な自治権が与えられ、ゴールドラッシュ後も豊富に眠る鉛、亜鉛、銀、石油などの天然資源への管轄権を獲得しています。これは州に比べて自治権の弱い準州の中では、ユーコンにのみ先掛けて認められた事柄ですが、他の2つの準州もユーコンと同様の権利を地元政府に認めるよう、連邦政府に働きかけています。

カナダは1867年に制定されたイギリス領北アメリカ法によって、大陸北部の複数の植民地が連邦を組み、1つの自治領となったことを国家の起源としていますが、それから百周年を迎えた1967年、国家の大記念事業の一環として、ユーコンで地域旗の公募が行われました。翌1968年に地元議会で採用されたのは、ユーコン大学の卒業生であるリン・ランバートの作品で、カナダ国旗に範を取った縦三分割旗の中央に、準州の紋章をあしらったデザインとなっています。地色の三色は緑が豊かな森林を、白が大地に広がる雪原を、青が域内を流れる河川と点在する湖を象徴します。紋章は準州旗が制定される前の1956年から既に用いられていたもので、旧宗主国イギリスの構成国の1つであるイングランドの国旗の中央に、古くからの特産品である毛皮をモチーフとした文様を描き、その下にはユーコンを代表する地形である川と山岳が置かれ、それらを準州花に指定されているヤナギランが支える形となっています。最上部に描かれているのはアラスカン・マラミュートと呼ばれるスピッツ種の犬で、寒さの中でも軽快に動き回るその強靭な生命力、そして数ある犬種の中でも特に人間になつきやすく忠実であることから、イヌイットの部族の1つであるマラミュート族が犬ぞりや狩猟の友として伝統的に重宝してきた存在です。

縦横比:1対2


ユーコン準州
Yukon Territory
Territoire du Yukon


Location_of_Yukon_Territory.gif

統計データは原則として2012年時点のもの。

[地理]
面積:48.2万km² (カナダ全土の約4.83%)
人口:約3.4万人
準州都・最大都市:ホワイトホース (Whitehorse)
主要民族:ヨーロッパ系白人71%
       ファースト・ネイションズ21%
       メティ(白人と先住民の混血)3%
       イヌイット1%
       中国系1%
主要言語:英語とフランス語が公用語。
       他に先住民諸部族の固有言語の使用も公認されている。
主要宗教:キリスト教55%(カトリック33%、プロテスタント諸派22%)
       無宗教40%

[政治]
準州成立:1898年6月13日
元首代理:弁務官
       カナダ政府(連邦政府)が任命。任期は無いが、
       1995年以来、在任期間は5年とする慣習が成立
       している。
政府:準州政府
    弁務官が議会第一党の指導者を準州首相に任命。
    他の閣僚は準州首相の指名に基づき、弁務官が任命。
議会:一院制の立法議会
    直接選挙制。任期5年。
政党制:多党制


《準州名の由来》
域内を流れる大河ユーコン川の名から。ユーコンとは先住民部族の1つグウィッチン族の言葉で「巨大な川」や「大きな水流」を意味する。

なお、2003年の自治権拡大によって地域の正式名称は、付属地という含意のあるユーコン準州(Yukon Territory)から、地名のみのユーコン(Yukon)へと変更されたが、現在でもYukon Territoryの名は分野を問わず幅広く使用されており、カナダを構成する各州・準州に割り当てられた地域名短縮コードでも、ユーコンはYukon Territoryを略したYTと表記される。

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嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

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