(準州) ノースウエスト

ノースウエスト
Northwest Territories (NWT) (英語)
Territoires du Nord-Ouest (TNO) (フランス語)

Flag_of_Northwest_Territories.png

ノースウエスト準州は方角名がそのまま地名になっている通り、カナダの北西部を占める地域です。ヌナヴット準州、ケベック州に次いでカナダで3番目に大きな行政区画で、実に日本の3倍近くに相当する広大な土地を管轄下に置いていますが、領域の大半は凍てついた不毛の大地のため、人口はわずか4万人(しかも準州都イエローナイフに人口の約4割半が集中)と、希薄な人口と厳しい自然環境が特徴です。更に凍てついた陸地の多くは山岳地で、カナダの屋根と称される高い山々がそびえる中、カナダ最長の川であるマッケンジー川を中核とした数々の河川が土地を削って深い渓谷を作り出しているため、陸路での長距離移動には常に困難が付きまといます。しかしこのような自然環境は、同時にこの土地に特色ある豊かな自然と景観も生み出しているほか、北極圏内に位置する準州第3の街イヌヴィクでは夏の間太陽が沈まなくなる現象、いわゆる白夜が発生し、準州都イエローナイフは都市部でありながらオーロラ観測が出来るという利点を持つなど、普段はなかなか見ることの出来ない貴重な天体ショーが観測できる緯度もあって、ノースウエスト準州の各地には内外から多くの観光客や研究者が押し寄せています。

そんなこの地で最初に生活し始めた人類は、今から2万年以上前にユーラシア大陸から渡ってきた黄色人種の人々で、彼らは次第に勢力圏を拡大しながら、いくつもの部族に分かれつつ、漁業と陸での狩猟を軸とした独自の文化を構築していきました(いわゆるファースト・ネイションズ。詳細はユーコン準州の記事を参照のこと)。17世紀になるとヨーロッパ人が相次いで渡来し、地域の探索と先住民との毛皮交易、後に領域支配に乗り出すようになります。特に、1670年にイギリスが設立したハドソン湾会社は、19世紀には現在のカナダ西部並びに北部地帯の大半を私有地として支配し、イギリスに貴重な産品をもたらす国策会社となっていましたが、1867年制定のイギリス領北アメリカ法によって、カナダ各地に存在した植民地群が1つの自治領にまとめられると、1869年にハドソン湾会社の領地もイギリス本国が接収し、翌1870年にはノースウエスト準州としてカナダ自治領政府の直轄地となりました。当時はカナダ北部の寒帯地域全土を管轄する非常に広大な区画でしたが、準州南部は徐々に周囲の州の一部に組み込まれていったほか、1898年に西部がユーコン準州、1999年には東部がヌナヴット準州として分離し、現在の領域にまで縮小されています。なお、ハドソン湾会社はその後も存続し、毛皮交易からデパート経営などの小売業に業務を転換しつつ、現存する北アメリカ大陸最古の企業として、カナダ有数の大企業に成長しています(ただし本社はカナダ最大の都市であるオンタリオ州トロントに移転)。

ノースウエスト準州の旗は、カナダ全土から集められた公募作品の中から、現地議会が1969年に選定したものです。カナダ国旗をモデルとした縦三分割旗の中央に準州の紋章を配したデザインで、青は準州各地に流れる数々の河川と広大な湖を、白は降り積もる雪と大地を覆う氷河を表し、全体で人間の手が入っていない豊かな自然を象徴します。中央の紋章は準州旗制定前の1950年代、カナダを代表する美術家にして、後にカナダ紋章学協会の初代会長にもなったアラン・ベドー氏が作成したもので、1956年にイギリス女王(カナダ女王を兼任)エリザベス2世からノースウエスト準州の紋章として正式に下賜されました。上部の白と青の波線は、大陸北部に点在する島々の間を抜けながら大西洋と太平洋を結ぶ重要な国際航路「北西航路」を、緑は南部の氷結していない地域に広がる森林地帯を、赤は凍てついた北部のツンドラ地帯を表します。緑地の中にある黄色い長方形と赤地の中に置かれた銀狐の顔は、共にノースウエスト準州にとって貴重な資源である莫大な鉱産物と、伝統的な特産品である毛皮を意味しています。

縦横比:1対2


ノースウエスト準州
Northwest Territories
Territoires du Nord-Ouest


Location_of_the_Northwest_Territories.gif

統計データは原則として2012年時点のもの。

[地理]
面積:134.6万km² (カナダ全土の約13.48%)
人口:約4.1万人
準州都・最大都市:イエローナイフ (Yellowknife)
主要民族:ヨーロッパ系白人44%
       ファースト・ネイションズ31%
       イヌイット10%
       メティ(白人と先住民の混血)8%
       東南アジア系(主にフィリピン人)3%
       アフリカ系黒人1%
主要言語:英語とフランス語のほか、先住民系9言語を合わせた
       11言語(注1)が公用語。実際には母語率が8割近くに
       のぼる英語が、公用語の筆頭格として扱われている。
主要宗教:キリスト教70%(カトリック45%、プロテスタント諸派25%)
       無宗教28%

[政治]
準州成立:1870年7月15日
元首代理:弁務官
       カナダ政府(連邦政府)が任命。任期は無いが、
       1989年以来、在任期間は5年とする慣習が成立
       している。
政府:準州政府
    準州首相と閣僚は議会が選出し、弁務官が任命。
議会:一院制の立法議会
    直接選挙制。任期4年。
政党制:無党制 (注2)

(注1)
ノースウエスト準州で公用語に指定されている11言語は以下の通り。
●西欧系言語
 英語、フランス語
●ファースト・ネイションズ系言語
 ドグリブ語、南スレイヴィー語、北スレイヴィー語、チペワイアン語、
 グウィッチン語、クリー語
●イヌイット系言語
 イヌクティトゥット語、イヌインナクトゥン語、イヌヴィアルクトゥン語

(注2)
政党の結成そのものは禁止されていないが、1905年以来の伝統として政党制に拠らない政治運営が定着しており、議会選後に近しい主義の議員が集まって緩やかな会派を形成するに留まる。


《準州名の由来》
カナダの北西部に位置する地理的環境から、「北西」を意味する言葉がそのまま準州名となった。英語ではNorthwestと書かれ、ノースウエスト、またはノースウェストと発音される(後者のほうが原語表記に近い)。フランス語ではNord-Ouest(ノール・ウェスト)となる。

そのままではただの方角名なのか地名なのか判断できないため、通常はNorthwest Territoriesと正式名称と表記するか、その略称であるNWT、またはNTと書かれる。他の2つの準州と違い、TerritoryではなくTerritoriesと複数形になっているので注意。これはこの準州がかつて特定の地域ではなく、カナダ北部の広大かつ複数の領域を漠然と指す名称だったことに起因する。

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嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

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