エルサルバドル

エルサルバドル
El Salvador (エル・サルバドール) (スペイン語)
El Salvador (エル・サルヴァドール) (英語)

Flag_of_El_Salvador_.png

エルサルバドルは南北アメリカ大陸の接合部を成す中米地域にある国です。国土面積はカリブ海の島国を除けば大陸で最も小さいものの、人口密度は高く、山がちな地形もあって居住域は都市部に偏っています。特に首都とその周辺の衛星都市から成るサンサルバドル都市圏は、エルサルバドルの総人口のおよそ1/3が集中する過密地帯であり、急増する人口に対応できる都市インフラの整備が長年の課題となっています。この国は、20世紀半ば頃までは中米随一の工業国として知られましたが、アメリカが支援する軍事色の強い右派政府と、ソ連やキューバを後ろ盾とする急進左派ゲリラの対立から、1980年に内戦が勃発。1992年の停戦までに死者7万5000人を記録し、都市部に集中していた工業も壊滅的な被害を受けてしまいました。そのため一時は、コーヒー、砂糖、綿花といった輸出用農産品に依存する旧来の経済形態に戻り、現在も完全な復興は成されていません。近年になってようやく、マキラドーラと呼ばれる保税区で輸出用に生産されている繊維製品(主に衣類)を中心に軽工業が発展し、今ではこれらの製品がエルサルバドル最大の輸出品目になるなど、緩やかながら再生への兆しも見えてきています。

エルサルバドルは他の中米諸国と同様、16世紀よりスペインの植民地支配を受けてきましたが、1821年にメキシコ帝国が成立すると一旦その一部となり、1823年には帝政崩壊を機にグアテマラホンジュラスニカラグアコスタリカと共に中米連邦を樹立しました。しかし連邦の政治は主導権争いのため不安定で、特に自由主義の風潮が強いエルサルバドルと、保守主義者の牙城であったグアテマラの対立は激しく、連邦は騒乱状態に陥ります。結局、こうした状況に嫌気がさしたホンジュラスが1838年に連邦からの分離を宣言すると、他の構成国もそれにならって次々と連邦から独立。最後まで連邦維持に固執していたエルサルバドルも1841年に連邦の解体を承認し、単独の国家としての道を歩むことになりました。その際、アメリカから合併を打診されたこともありますが、これに関しては拒否しています。

かつての中米連邦の国旗が青と白を使っていたことから、その名残として連邦を構成していた5ヶ国もこの二色を国旗に採り入れています。青はカリブ海と太平洋、白は国土と平和を表します。エルサルバドルは中米で唯一、カリブ海には面していませんけどね。一方、中央の国章には自由と平等を象徴するフリギア帽、中米連邦を構成していた5ヶ国の連帯を表す5つの旗と火山が描かれています。これらは14枚の月桂樹の葉に囲まれていますが、これはエルサルバドルを構成する14の県を示しています。三角形の下の小さなリボンには国のモットーである「神・統一・自由」がスペイン語で書かれており、これら全ての意匠は「中米のエルサルバドル共和国」という黄色いスペイン語の文字で囲まれています。また、旗の縦横比は189対335と非常に細かく定められていますが、これは公式な場ぐらいでしか使われず、民間では一般に3対5の比率の旗が使用されます。また、民間旗では国章も省くことが多いとのこと。実際の旗を遠目で見るとニカラグア国旗と区別が付きませんが、エルサルバドル国旗のほうが青が若干濃いとされています。

縦横比:189対335

【旧国旗】
El_Salvador_1844-1865.png
中米連邦解体後のエルサルバドルが制定したのは、このような青、白、青のシンプルな二色旗でした。現在の国旗と異なり中央には国章が無く、また青の濃さも今より若干薄めです。1865年廃止。

Salvadorian_Stars_and_Stripes.png
1865年に制定された国旗は、アメリカの国旗と極めてデザインが似た旗でした。当初はカントン部の星の数は9つでしたが、県の数によって星が増えるシステムも、州の数によって星が増える星条旗と同様であり、1875年から星の数は14にまで増やされています。1898年11月の一ヶ月間のみ青、白、青の旗が国旗とされる例外はあったものの、1912年に現国旗が制定されるまでの約50年にわたって使われました。


エルサルバドル共和国
República de El Salvador (レプブリカ・デ・エル・サルバドール)
Republic of El Salvador (リパブリック・オブ・エル・サルヴァドール)

Map_of_El_Salvador.gif

統計データは原則として2015年時点のもの。

[地理]
位置:北アメリカ (大陸部)
面積:約2.1万km² (四国よりやや大きい)
人口:約643万人
都市人口率:66.7%
首都・最大都市:サンサルバドル (西・英:San Salvador)
主要民族:メスティーソ(白人と先住民の混血)86%
       ヨーロッパ系白人12%
       少数の先住民(インディオ)、アフリカ系黒人など。
主要言語:スペイン語が公用語で、ほぼ全ての住民が母語としている。
       一部で先住民の諸言語(マヤ系諸語)も使われるが、スペイ
       ン語に淘汰され、使用人口は減少傾向にある。少数の移民
       系住民は家庭内では母国語を話すが、公的な場ではスペイ
       ン語を使用する。
主要宗教:キリスト教80%
        ローマ・カトリック教会47%
        福音派33%
       無宗教17%
       少数のイスラム教、ユダヤ教など。

[政治・軍事]
独立:1821年9月15日(スペインから)、1841年2月18日(中米連邦から)
国連加盟:1945年10月24日(原加盟国)
政治体制:共和制、大統領制
元首:大統領
    直接選挙制、任期5年、再選禁止。
政府:閣僚評議会(内閣に相当、首相職なし)
    閣僚は大統領が任命。
議会:一院制の立法議会
    84議席。直接選挙制(比例代表制)。任期3年。
政党制:多党制
国政選挙権:18歳以上の国民全て
兵役制度:志願制
国防費:2億2300万米ドル
軍組織:エルサルバドル軍
     陸軍1万4100人
     海軍750人
     空軍800人

[経済・通信・その他]
中央銀行:エルサルバドル中央準備銀行 (注1)
通貨:米ドル (dollar, USD, 注1)
国内総生産(GDP):258億5000万米ドル
1人当たりGDP:4217米ドル
GDP構成比:農林水産業10.7%
        鉱工業25.5%
        サービス業63.8%
労働人口:277万人
失業率:6.1%
輸出額:43億8100万米ドル
輸出品:衣類、砂糖、機械類、コーヒー豆、飲料、プラスチック製品、紙類、アルミ製品
輸出先:米国47%、ホンジュラス14%、グアテマラ14%、ニカラグア6%、コスタリカ5%
輸入額:93億2100万米ドル
輸入品:精製石油、機械類、繊維原料、医薬品、鉄鋼、自動車、天然ガス
輸入元:米国39%、グアテマラ10%、中国8%、メキシコ7%、ホンジュラス6%
固定電話回線数:94万5000回線
携帯電話回線数:933万4000回線
国別電話番号:503
ccTLD:.sv
インターネット利用者数:約235万人
車両通行:右側通行
平均寿命:74.8歳 (男性71.4歳、女性78.1歳)

[日本との関係]
国交樹立:1935年2月
相手公館:大使館 (東京)
駐日相手国人数:139人 (永住者54人)
相手輸出額:3090万米ドル
相手輸出品:コーヒー豆が8割、他に衣類、機械類
日本公館:大使館 (サンサルバドル)
在留日本人数:160人 (永住者65人)
日本輸出額:1億1600万米ドル
日本輸出品:自動車と部品、鉄鋼、機械類、ゴム製品、化学薬品、精密機器
現行条約:1964年 通商協定
       1968年 青年海外協力隊派遣取極
       1973年 査証(ビザ)相互免除取極
       2005年 技術協力協定

(注1)
エルサルバドルは2001年に米ドルを自国通貨に採用し、独自通貨エルサルバドル・コロン(colón, SVC)を廃止した。この措置により、エルサルバドル中央準備銀行は通貨発行権と為替市場を喪失したが、自国内の金融政策の決定については一定の影響力を保持している。


《国歌「エルサルバドル国歌」》
制定:1953年 (1879年より事実上の国歌。1953年に法制化)
作曲:フアン・アベルレ
作詞:フアン・ホセ・カーニャス
備考:歌詞中の「彼女」はエルサルバドルを指す。
    国家を1人の女性に見立てた比喩表現。

祖国に誇りをもって敬意を示そう。
我々が祖国の息子と呼ばれるにふさわしくあるために。
そして我らの活力溢れる命を、休みなく祖国に捧げることを誓おう。
祖国をより良くするために。

エルサルバドルは気高き夢を見る。
至高の幸福の中で平和を享受するため、
彼女の永遠なる計画に基づきそれを達成することを。
そしてそれを維持し、彼女が最大の賛辞を得ることを。

揺るがぬ信念、進歩への道筋と共に、
偉大なる伝説と、幸福な未来を得る道を彼女はたどる。
確固たる防壁により、彼女は悪しき不義から守られる。
彼女の旗が高々と掲げられ、その血には刻まれた。
「自由!」と。

《国名の由来》
El(エル)はスペイン語の定冠詞であり、Salvador(サルバドール)は「救世主」、つまりイエス・キリストを表す単語。かつてスペイン軍の司令官がこの地を征服した際、その成果を神に感謝するとして新都市サンサルバドル(「聖なる救世主」の意。現在の首都)を建設したことにちなむ。

フランス語など、言語によっては定冠詞Elを省略する場合もある。また中国語では本義を訳して救世主国と書く(サルバドールという音に基づいた薩爾瓦多という表記もある)。

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プロフィール

嫁ドリル

Author:嫁ドリル
国旗と酒をこよなく愛する関西女。
カイロ、ドバイ、カルガリー駐在員を経て、現在は関東で働きながら旦那と1女1男の4人暮らし中。

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